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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『黄桜の季節に君を想うということ』歌野晶午(文春文庫)

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『黄桜の季節に君を想うというこ...
本書は「2004年版このミステリーがすごい!:第1位」・「2004本格ミステリベスト10:第1位」・「第57回日本推理作家協会賞受賞」・「第4回本格ミステリ大賞受賞」と、素晴らしい評価を受けている作品で、読み終えて「なるほど」と納得する構成力と一気に読ませる著者の文章の快活さに脱帽しました。

冒頭から精力旺盛な主人公<成瀬将虎>の性生活の描写から始まりますが、このときから著者の策略にはまってしまう読者になってしまいます。
自称「何でもやってやろう屋」ということで、パソコン教師やガードマン等の仕事をこなしながら、フイットネススタジオで汗を流していますと、高校の後輩<キヨシ>から、想いを寄せているメンバーの<久高愛子>の相談に乗ってほしいと頼まれ、話を聞くと<愛子>の身内が轢き逃げ事故で亡くなり、悪徳商法業者「蓬莱倶楽部」によって保険金詐欺が行われたと思うので調べてほしいと依頼されます。

<成瀬>は高校卒業して2年間ほど探偵事務所に勤めていた経験があり承諾、同じころ地下鉄駅で自殺を図ろうとした<麻宮さくら>を助け、以後デートを重ねる仲になっていきます。

ミステリーですので、詳しくは書けませんが、「えっ!!」と思わせるどんでん返しの伏線がきれいに埋め込まれており、「なるほど」と再度ページを戻っておもわず確認したくなる展開に、ミステリーの賞を総なめにしたのが頷ける力作でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『銀の檻を溶かして』高里椎奈(講談社文庫)

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『銀の檻を溶かして』高里椎奈(...
主人公は師匠と呼ばれる茶髪の超美形少年<深山木秋>ですが、見たところ20代後半の青年<座木(通称:ザキ)>、元気いっぱいな赤毛の男の子<リザベル>の3人です。

彼ら3人は<深山木薬店>を営んでいますがみな妖怪で、ボランティア的に人間の手では負えない厄介な出来事を解決してくれます。

本書は二部構成になっていますが、第一部では小学6年生の男の子<小海ハジメ>が、「雪の妖精」と呼ばれる現場で遺体として見つかるところから物語は展開していきます。

一見関係がないような事件の解決依頼が続くのですが、それが第二部になり複雑な関係の背景として生きてくる構成は、第11回メフィスト賞受賞作の面目躍如といった感がありました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『まひるの月を追いかけて』恩田陸(文春文庫)

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『まひるの月を追いかけて』恩田...
異母兄弟のルポライターの兄36歳の<渡部研吾>が、取材先の奈良で消息を絶ったと、たった二度しか会ったことのない<研吾>の彼女である<君原優佳利>に誘われ、わたし<静>は二人で兄を探しに東京から奈良まで出かけていきます。

<研吾>の取材ルートにそって消息を尋ねていきますが、偶然<優佳利>と称している人物が<研吾>と<優佳利>の高校の同級生<藤島妙子>だとわかり、<静>は<優佳利>の自動車事故死が<研吾>の彼女への嫉妬心からの自殺ではないかと感じ始め、<妙子>は5歳年下の<静>が<研吾>の思いを寄せている人物ではないかと考えています。

父が亡くなった葬儀の場所で、幼い<静>は腹違いの兄<研吾>がいることを知らされますが、以後<静>の母は二人に対して差別することなく接してきていたことがひとつの伏線になり、また<研吾>は童話や寓話を手帳に書き留めて集めていましたが、文中に『愛のサーカス』という話しが、読後にこれまた大きな伏線であることに驚かされてしまいました。

歴史ある奈良の街を舞台に、<男と女>の恋愛感情をミステリー仕立てに構成させ、最後の結末に余韻を残しての終わり方はなんとも切ない気分に陥ります。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『月蝕の窓』<建築探偵 桜井京介の事件簿>篠田真由美(講談社文庫)

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『月蝕の窓』<建築探偵 桜井京...
今年2冊目の読書は、建築設計を生業としていますので、仕事との直接の関係はありませんが、好きな<建築探偵 桜井京介の事件簿>シリーズを選びました。
『未明の家』(1994年4月:講談社ノベルス)を第一作目として、本書で10作目、番外編を除けば本編として8作目に当たります。

栃木県那須に明治時代に建てられた洋館「月映荘」を舞台として、物語は進みます。
過去に「印南家事件」として二人の女性が「月映荘」にて殺害され、未解決事件として時効を迎えようとしています。

<桜井京介>は、この建物調査に関わり、昔の未解決事件に首を突っ込むことになりますが、殺人現場の当時の生き残りの<印南茉莉>の記憶を中心として、屋敷にまつわる女たちの悲しみと苦しみ、涙と血の歴史にはまりこんでいきます。

いつもは冷静な<桜井>ですが、本書では独り舞台的な視線で物語が展開、建築的な時代考証の部分も少なく、一味変わった構成で楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『QED 百人一首の呪』高田崇史(講談社文庫)

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『QED 百人一首の呪』高田崇...
2008年も幕開け、お正月には欠かせない風物詩として「百人一首カルタ取り」がありますが、年明けの一冊目として、<高田崇史>の『QED 百人一首の呪』を、今年の読み始めとしました。

正月早々子供4人と秘書2人と食事中に、気分が悪くなった「サカキ・トレーディング」の社長<真榊大陸>は、自室に戻ると途中に幽霊を見たと騒いだ後、自室にて何者かに花瓶で殴られて殺されてしまいます。

<真榊>は『百人一首』の収集家でもあり、死ぬ間際に一枚の札を握りしめていました。
捜査一課の<岩築竹松>は部下の<堂本>と共に捜査に乗り出しますが、犯人を見つけ出すことができないうちに、長女<玉美>が首吊り死体で発見されます。

片や主人公である<桑原崇>は、新聞記者である<小松崎良平>から事件の話しを訊き、ダイイングメッセージともとれる『百人一首』の謎を解くべく、<藤原定家>の秘められた真相を解き明かしていきます。

著者の分身ともいえる博覧強記の<桑原崇>が解き明かす『百人一首』の醍醐味と、殺人事件を平行に描きながら、最後まで興味の尽きないミステリーとして楽しめました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘(ちくま文庫)

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『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘(...
どこか郊外の町「月船町」の十字路の角にある、ちょっと風変わりな洋食店の暖簾には店名が無く、たまに十字路に起こるつむじ風に因んで「つむじ風食堂」と呼ばれています。

本書は8篇の短篇が連作でつながり、登場人物は、人工降雨を研究している「雨降り先生」こと<私>を中心として、「つむじ風食堂」の無口な店主とお手伝いの<サエコ>、店で飼われている体の左右が黒と白色の猫<オセロ>、そこに集まる帽子屋さんの<桜田>、30歳の売れない舞台女優<奈津子>、星を観にイルクーツクに行きたい果物屋の若者、<私>が「デ・ニーロの親方」と呼んでいる古本屋の店主などが登場、それぞれの人間関係がほのぼのと描かれていました。

なんとなく<宮沢賢治>を彷彿させる語り口に、読後は静かな余韻に浸れる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『異邦人』パトリシア・コーンウェル(講談社文庫)

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『異邦人』パトリシア・コーンウ...
検視官<スカーペッタ>シリーズ第15作目が本書です。

全米女子テニス界の16歳のスタープレーヤー<ドリュー・マーティン>が、旅行先のローマで殺害され、くりぬかれた眼窩には砂が詰め込まれていました。
<スカーペッタ>は心理学者の<ベントン>と共にローマに飛び、事件の調査に乗り出します。

ローマでは<ベントン>から婚約指輪をもらった<スカーペッタ>ですが、20年来にわたり彼女の仕事を補佐し想いを寄せている<マリーノ>は、交際中の<シャンディ>の陰謀にはまり、<スカーペッタ>の指輪を見て、酔った勢いで彼女に襲い掛かります。

並行して幼い女の子をプールで亡くした<リデイア>が行方不明、前作で登場した精神科医<マリリン・セルフ>と担当医の間で取り交わされたメールから、犯人はもとイラク派遣兵の<ウィル・ランボウ>だとわかりますが、彼は<マリリン>の息子でした。

複雑な親子関係を軸として、フロリダからサウスカロライナのチャールストンに引っ越し周辺環境の違いに戸惑いを隠せない<スカーペッタ>の心情が見事に描かれた一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『探偵は吹雪の果てに』東直己(ハヤカワ文庫)

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『探偵は吹雪の果てに』東直己(...
北海道札幌を舞台とする<ススキの探偵>シリーズとして、『探偵はひとりぼっち』 に次ぎ本書が第6作目になります。

馴染のスナックのトラブルを解決した帰り、ヤクザの待ち伏せに合い入院する羽目になった<俺>は、偶然入院先で20年前に別れた15歳年上の<純子>と再会、彼女に頼まれて斗己誕の町に住む元町長の<奥寺>へ手紙を届ける依頼を受けます。

斗己誕の町は、17歳の高校生が金属バット事件を起こし行方不明になった町として有名になった所で、<俺>は取材に来たマスコミ関係者と間違われますが、閉鎖的な田舎の雰囲気に馴染めないなか、<純子>に託された手紙を盗まれてしまいます。

20年前の<純子>との思い出を改装しながら、危険を承知で再度斗己誕の町へ乗り込んでいく<俺>ですが、事件解決の後のほろ苦い結末は、45歳の<俺>に哀愁が漂いホロッとさせられました。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『探偵はひとりぼっち』東直己(ハタカワ文庫)

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『探偵はひとりぼっち』東直己(...
札幌市の「ススキノ」を舞台とする<ススキノ探偵>シリーズの 『向う端にすわった男』 に次ぐ、第5作目が本書です。

自宅マンションの駐車場で、人気者の46歳のオカマ<マサコ>が、滅多打ちにされて殺されましたが、なぜか警察の捜査は遅々として進みません。
<マサコ>と友人だった<俺>は、義憤に駆られて調査を始めますと、地元出身の60歳の代議士<橡脇巌蔵>の名が浮かび、若い頃<マサコ>と愛人関係にあった噂を耳にします。

調査を進めていくなか、正体不明の男たちに襲われたり、金の匂いを嗅ぎつけた怪しげな<堤芳信>などが登場、見張られている自宅に帰れない<俺>は、ホテルやサウナを転々としながらも核心に迫っていきます。

ホモの世界や政治の裏側でうごめく裏の世界を横糸に、30歳を過ぎた<俺>の心情が軽快に展開、恋人の中学校の教師<安西春子>との関係もどうなるのかと、次巻に引き継ぐ形で本書は終わっています。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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『緋友禅 旗師・冬狐堂』北森鴻(文春文庫)

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『緋友禅 旗師・冬狐堂』北森鴻...
「旗師」とは、店舗を構えずに顧客と顧客の売買で利鞘を稼ぐ古物商のことですが、主人公<宇佐美陶子>もその一人で『冬狐堂』という屋号で商売をしています。

本書は<旗師・冬狐堂>シリーズとして 『狐罠』 ・ 『狐闇』 に次ぐ第3作目で、4篇の中短篇が納められていますが、どの作品も奥深い古美術業界の知識が散りばめられており、著者の博識に驚かされると共に、モノづくりの作家としての執念を感じながら読み終えました。

萩焼に取りつかれた作家にまつわる、<宇佐美>の師ともいえる人物が登場する『陶鬼』、古墳等の埋葬品を、無許可で掘り出す「堀り師」と呼ばれる男が主体の『永久の笑み』、染色剤に自分の血を注ぎ込んでまで緋色にこだわり続ける作家を扱った表題作の『緋友禅』、生涯に12万体を彫ったと言われる<円空>の仏像に関わる贋作にまつわる殺人事件を解決する『奇縁円空』と、どの作品も騙し合いと駆け引きが横行する骨董業界を舞台に、美麗の一匹狼としての<宇佐美>の活躍が楽しめる一冊です。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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