今年の読書(10)『ボランティアバスで行こう!』友井羊(宝島社文庫)
Jan
17
本書は東北大震災を背景に据え、津波で被災した山浦(架空の町)にバスをチャーターして援助活動を企画した大学生<大石和磨>を中心として、ボランティアの動機が違う登場人物たちが6話で登場、津波被害のもたらした被害やボランティア行為に対する考察が、それぞれ立場が違う登場人物を通して語られていました。
連作短篇として登場人物たちの人間関係が交錯するなか、第一話に登場する<遠藤幸樹>が山浦で遭遇する4歳の園児<さっちゃん>との結びつきが秀逸で、震災は悲惨な出来事ですが、最後の章で未来に期待できる明るさと感動が待ち受けていました。