前巻の 『おまえさん』(上) に次ぎ、辻斬りされた<久助>と生薬屋「瓶屋」の主<新兵衛>の事件を調べ始めた同心<井筒平四郎>は、養子と考えている14歳の<弓之助>の聡い推理で、犯人は<新兵衛>の娘<史乃>と、隣家に住み込んでいた医師見習いの<松川哲秋>だとわかりますが、<史乃>に恋心をもった同心<間島信之輔>のまずい対応から、二人を逃してしまいます。
二人の行方を追うのですが、なかなか突き止めることができないなか、岡っ引き<政五郎>を里親とする「でこ」こと<三太郎>の母親<おきぬ>の再婚先での以外な結末や、痴話騒ぎでお縄になった<仙太郎>が住む十徳長屋の<丸助>を中心とした市井の生活が描かれていきます。
連続辻斬り事件は解決しますが、それを取り巻く登場人物たちの喜怒哀楽が見事に描いた(上・下)巻で1200ページを超える大作ですが、最後まで楽しく読み切れる内容でした。
<井筒平四郎>シリーズとして、『ぼんくら(上・下)』 ・ 『日暮らし(上・中・下)』 と続いていますが、今後の<弓之助>の身の振り方が気になりますので、きっと続編が出てくるものだと期待しています。
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