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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(56)『説教師』カミラ・レックバリ(集英社文庫)

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今年の読書(56)『説教師』カ...
<エリカ&パトリック事件簿>シリーズとして、前作 『氷姫』 に次ぐ第2作目が本書です。

親の遺産整理に生まれ故郷のフィエルバッカに戻った35歳の伝記作家の<エリカ>は、前作でかっての親友<アレクス>の殺人現場に遭遇、幼馴染の刑事<パトリック>と捜査に関わり、事件を解決します。

本書で<エリカ>は<パトリック>と生活を始め9か月の妊婦になっていますが、「クスグスクリュタン(国王の洞窟)」と呼ばれる場所で、若い女性の全裸死体が発見され、その下には古い白骨化した2体の骨が発見されました。
検視の結果、白骨化したのは23年前に行方不明になった女性二人だととわかり、俄然捜査は複雑さを増していきます。

<メルバ>署長は、捜査の指揮を<パトリック>に任せ、なぜか珍しく小言も少ないなか、17歳の少女がまた行方不明になる事件が起こります。
カリスマ説教師の一族を巡る複雑な人間関係を主軸として、本書でも<エリカ>の妹<アンナ>の家族問題が絡んできます。

本書で<エリカ>は、大きなお腹と夏の暑さが相まって、仕事らしい仕事もできない状態で、苦労しながらの孤軍奮闘の<パトリック>の敏腕な捜査が楽しめる構成で、618ページを面白く読み終えれました。
#本 #読書

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今年の読書(55)『氷姫』カミラ・レックバリ(集英社文庫)

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今年の読書(55)『氷姫』カミ...
副題に<エリカ&パトリック事件簿>とあり、本国のスウェーデンでは人気のシリーズのようで、同じスウェーデン作家<スティーグ・ラーソン>の 『ミレニアム』 シリーズ (1)(2)(3)に次いで読んでみました。

女性の伝記作家である35歳の<エリカ>は両親が亡くなり、ストックホルムから生まれ故郷のフィエルバッカの実家に、遺品整理を兼ねて帰郷してきます。
帰郷早々、23年前に突然姿を消した親友<アレクス>が、自宅の浴槽で手首を切り死んでいるのを発見、彼女の両親から新聞に追悼文を書いてほしいと頼まれ、事件にかかわっていきます。

<アレクス>の夫や共同画廊経営者と接していく過程で、幼馴染の<パトリック>が地元の警察署に勤務していることが分かり、好奇心旺盛な作家として彼と私生活を絡めながら事件の捜査に乗り出していきます。

<エリカ>の妹の<アンア>は、夫から暴力を受けているにも関わらず両親の家を売り出すことを要求してきますし、昔のボーイフレンド<ダーン>は、殺された<アレクス>と不倫関係にあるのがわかるなど、小さな漁師町を舞台として複雑な人間関係が絡み合う重厚な構成に仕上がっています。

鼻持ちならない<メルバリ>署長とは対照的に、同僚の女性事務員<アンニカ>の高い資料作成能力に助けてもらいながら、<パトリック>の地道な捜査は思わぬ結末にたどり着きますが、本国の人気がよくわかるミステリーでした。
#本 #読書

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今年の読書(54)『クローバー・レイン』大崎梢(ポプラ文庫)

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今年の読書(54)『クローバー...
元書店勤めの著者は、2006年5月 『配達あかずきん』 で作家デビュー、書店や出版会社の業界物は安心して読めるジャンルです。

本書も大手出版会社<千石出版>の編集部に勤務する29歳の<工藤彰彦>を主人公に据え、出版業界の裏側がよくわかる内容でした。

とある出版パーティで<工藤>は、酔った作家<家永嘉人>をタクシーで自宅まで送り届けます。その時に書き上げられていた『シロツメクサの頃』の原稿を読み、夜間中学を舞台にした素晴らしい小説に惚れ込んでしまい、周りを巻き込みながら何とか出版しようと努力を重ねていきます。

作家<家永>の<娘>(冬実)との関係、ライバル会社の編集員<国木戸>、10歳しか違わない伯父<尚樹>の過去などの人生ドラマを横糸に絡めながら、一冊の本に掛ける<工藤>の情熱がヒシヒシと伝わってくる一冊でした。
#本 #読書

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今年の読書(53)『リアル・シンデレラ』姫野カオルコ(光文社文庫)

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今年の読書(53)『リアル・シ...
何気なく手にした本が、地元神戸と関連した内容であったり、前回に読んだ本と関連することなどがたまにあり、不思議な繋がりを感じるときがあります。
今回も『リアル・シンデララ』の主人公<泉(せん)ちゃん>こと<倉島泉>のお誕生日が、1950年4月29日の天皇誕生日(現・昭和の日)であり、日付の巡り合わせに驚きました。

小さな編集プロダクション「ベイエリア」に勤める女性ライターの<私>は、各国の「シンデレラ」物語に付いて調べていたところ、編集長の<矢作>から会社設立当初に会計を担当していた<泉ちゃん>の長篇ノンフィクションをまとめないかと持ちかけられ、彼女が生まれ育った長野県諏訪市に出向き、親族や知人たちを取材していきます。

一つ下の妹は病気がちですが、勉強もでき容姿も優れ、両親に溺愛されています。
<泉>は、彼女を知らない人にとっては仏頂面や無愛想な顔と見られる少女時代を過ごします。紆余曲折の末、結婚して湯治旅館<たから>の女将になるも、夫<亨>は従業員の<奈美>と関係を持ち、離縁するときも騒がず、素直に身を引いてしまいます。

読者は多くの登場人物が語る<泉>の人生をなぞることになりますが、女の倖せとは何か、人生の豊かさとは何かを自ら問わずにはおれない構成でまとめらています。

12歳の時、一人秘密基地で泣きながら「自分周りにいる自分じゃない人にいいことがあったら、自分も嬉しくなるようにしてください」という彼女の願い事が、最後の一ページに出てきますが、<泉>の人生を凝縮した言葉として涙を誘います。
#本 #読書

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今年の読書(52)『いちばん長い夜に』乃南アサ(新潮文庫)

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今年の読書(52)『いちばん長...
刑務所務めの過去を背負いながら、谷中根津界隈で細々と暮らす30歳の<小森谷芭子>と、一回り年上の42歳の<江口綾香>を主人公に据えた、『いつか陽のあたる場所で』『すれ違う背中を』 に次ぎ、本書が3作目で完結篇に当たります。

本書には6篇の短篇が収められていますが、<芭子>は刑務所で覚えた裁縫を生かしたペットの服作りも順調に動き出し、<綾香>はパン屋の開店を目指して頑張っています。

本書では2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の出来事が、二人の人生に大きな転機を迎えさせる構成で、「あとがき」を読みますと著者自身が当日に本書の取材中だったことが書かれていて、ほぼ実体験が生かされています。

<芭子>は<南祐三郎>という弁護士と仙台で知り合い、過去を打ち明けながら静かなお付き合いが始まり、<綾香>は生まれ故郷の被災地でボランティア活動を始めます。
つつましく仲良く過ごしていた二人ですが、それぞれが自分の考えに基づき歩み出す人生に、応援の言葉を掛けたくなる気分で読み終えました。
#本 #読書

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今年の読書(51)『春告げ坂』(小石川診療記)安住洋子(新潮文庫)

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今年の読書(51)『春告げ坂』...
繊細で佇まいの美しい文章で人情の機微を描き出し、手触り感のある細部の描写が素直に伝わる著者の作品は、新潮文庫として 『日無坂』『いさご坂』 と読んできており、本書が3巻目になります。

物語の舞台は、享保7(1722)年12月、将軍<吉宗>の時代に設立された「小石川養生所」を舞台に繰り広げられる短篇5篇が収められています。

主人公はお家のために詰め腹を切らされ、医師<高橋宗庵>家に5歳のときに養子に出された23歳の若き医師<淳之祐>を主人公に据え、病人の身の回りを世話する者たちとの交流と、不治の病の病人たちとの関わりを通して、彼の人間的な成長と医師としての成長が平行しながら描かれています。

藩の不正をただすために自ら切腹をした父<誠太郎>の気骨さが、息子の<淳之祐>にも通じる場面が多々あり、目先の利益を考えない一途な行動に爽やかさを覚えながら、気持ちよく読み終えました。
#本 #読書

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今年の読書(50)『しんがり』清武英利(講談社+α文庫)

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今年の読書(50)『しんがり』...
本書は1997(平成9)年11月22日、自主廃業に追い込まれた<山一証券>の清算業務に携わった<嘉本隆正>常務を中心とする12名のノンフィクションです。
当時の<野澤正平>社長の涙の会見はまだ記憶に新しく、また海外メディアにも大きく取り上げられました。

りっぱな本社ビルとは違い、目だたない場所に建つビルに監査部門があり、最後まで清算業務と会社内部で行われたいた<あんこ・花替え・飛ばし・握り>といった不正を調査しまとめたのは、社員たちからは「場末」や「姥捨て山」と呼ばれた部署の社員たちでした。

1997年12月19日に調査委員会が正式にスタート、1985年から約13年間にわたる会社の歴史を実名で検証していきますが、自らの就職活動も行わず無給で9か月、清算と社内調査をまとめる経過が委員会メンバーの家庭事情を挟みながらまとめられています。

清算チームの一員であった<長澤正雄>の「コンプライアンスは難しくない。常識的であることだ」の言葉が、三菱自動車による燃費不正問題があっただけに、印象に残りました。
#本 #読書

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今年の読書(49)『Nのために』湊かなえ(双葉文庫)

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今年の読書(49)『Nのために...
高級マンションに住む資産家の夫<野口貴弘>42歳は燭台で撲殺、妻の<奈央子>29歳は包丁で刺殺される事件が、自室で起こります。

現場に居合わせたのは大学生の男女4人、<貴弘>のDVから<奈央子>を助け出そうと計画したのですが、<貴弘>が<奈央子>を刺したあと、作家志望の<西崎真人>が、身近にあった燭台で<貴弘>を殴ってしまい、懲役10年の刑期が言い渡されます。

事件のあと10年が経ち、現場にいた<杉下希美>は余命半年の宣告を受け入院中ですが、<奈央子>の救出を考えた経過を振り返り、真実はどうだったのかを回想していきます。
<貴弘>の勤務する商事会社に入社した<安藤望>、<杉下>の高校の同級生<成瀬慎司>たちの回想も順次登場、それぞれ4人の人間関係を描写しながら、登場人物のイニシャルがすべて「N」であるなか、読者に謎解きが投げかけられていきます。

<杉下>の「究極の愛とは罪の共有」という言葉が重く横たわる、愛とは何かを感じさせるミステリーでした。
#本 #読書

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今年の読書(48)『モンスター』百田尚樹(幻冬舎文庫)

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今年の読書(48)『モンスター...
瀬戸内海に面した鄙びた田舎町に生まれた<鈴原美帆(田淵和子)>38歳は、20年ぶりに故郷に戻り、ある思いを込めてフランスレストラン「オンディーヌ」を開店させます。

<鈴原>は、子供のころから畸形的までに醜い顔で、周囲からバケモノ扱いされ続け、心を寄せていた初恋の相手<高木英介>にも裏切られ、事件を起こして追われるように東京の短大に入学しますが、家族とは縁を切られてしまいます。

面接を受けてもことごとく落とされ町の工場に勤めますが、目の二重の手術を行ったことにより整形手術の魅力に取りつかれ、費用を稼ぐためにSMクラブに勤め出し、やがてホテトル嬢からソープランドへと転身、莫大な費用をかけて完璧な美人に変身していきます。

男の美貌に対する痛烈な批判を込めながら、女の微妙な心理を絡め、昔足蹴にされた男たちを手玉を取るように扱う<鈴原>の行動は理解できますが、哀れさも感じてしまいました。
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今年の読書(47)『転迷:隠蔽捜査4』今野敏(新潮文庫)

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今年の読書(47)『転迷:隠蔽...
<隠蔽捜査>シリーズとして、前作の 『初陣:隠蔽捜査3.5』 に次ぎ、本書が5巻目になり、前作は警視庁キャリアの同期<伊丹俊太郎>が刑事部長という立場で主人公になりましたが、本書では大森署長としての<竜崎伸也>の活躍で読者を楽しませてくれます。

外務省職員<若尾>の惨殺死体が隣の署内で発生、管内では62歳の無職<八田>が轢き逃げ事件が発生、緊急配備にも関わらず轢き逃げ犯人を取り逃がしてしまいます。

娘<美紀>は、交際相手の<忠典>がカザフスタンに出張中に、搭乗するという飛行機が墜落、詳細情報を求めて警視庁時代のコネを使って外務省の知人に、父親という立場で連絡を入れるも、計らずも殺人事件と轢き逃げ事件の被害者が外務省の関係者で、コロンビアとの麻薬絡みの事件が浮かび上がります。

そんな折、厚労省の麻薬取締官<矢島>が、内偵捜査の邪魔をしたと怒鳴り込んでくるのですが、国家公務員は国のために働くという信念を揺るがすことのない<竜崎>は、縦割り行政の役所方式を批判してやみません。

そして連続放火犯の捜査にのめり込んでいるはみ出し刑事<戸高>が、相変わらずの個性を発揮するなか<竜崎>は、署長という立場でありながら外務省絡みの二つの事件の陣頭指揮を、執ることになっていきます。

警視長の肩書のまま降格処分で大森署長に納まっている<竜崎>ですが、持ち前の頭脳と決断力での事件の取り組みは、心地よい安心感を与えてくれる主人公の一人です。
#本 #読書

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