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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(46)『見残しの塔』久木綾子(文春文庫)

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今年の読書(46)『見残しの塔...
建築設計を生業としていますので、副題の「周防国五重塔縁起」という文字に興味を持って読んでみましたが、寺院建築に関しての大工と木造建築の用語が散りばめられていて、面白く読み終えれました。

本書が著者のデビュー作品であり、取材に14年、執筆におよそ4年、推敲に1年を費やし、89歳の作品と知り、驚きを隠せません。

室町時代中期に建立された香積寺の「瑠璃光寺五重塔」の解体修理にあたり、斗に描かれた「此のふでぬし弐七」の墨書きの文字から、宮大工を志す九州の隠れ里出身の青年<左右近>を主人公に仕立て、また、<新田義貞>の血を引く若狭新田家の姫<初子>の身の周りの話を平行に置き、五重塔建立に命をかける番匠たちを見事に描いています。

文中に出てくる僧侶<恵海>の、「大工たちは神の手と、仏の慈悲と忍耐を持っている。でなければ、こんなに人の心を打つ堂塔伽藍は建ちあがらぬ」という言葉が、モノ造りをする立場への戒めとして心に残る一冊でした。
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今年の読書(43)『フラッシュモブ』遠藤武文(光文社)

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今年の読書(43)『フラッシュ...
副題の「警視庁情報分析支援第二室<裏店>」は、迷宮入りした事件の資料が捜査継続中という名目のもと各地から送られてくる部署で、そこには変人キャリアの<安孫子>警視正ただひとりが所属している部署です。

本書は 『炎上』 に次ぐ<安孫子>を主人公とする第二冊目に当たり、五つの事件が収録されています。

相も変わらず尊大で気難しく、誰に対しても無礼な命令口調で、しかも面と向かって相手に言い続ける態度には、閉口させられます。
また職務そっちのけで日夜、怪しい研究実験を<裏店>で行っていますが、一度事件に首を突っ込みますと、あざやかな推理で事件を解決してゆく手際の良さを見せつけてくれます。

憎めないキャラクターとして、これからシリーズ化されていきそうな<安孫子>警視正の事件簿として、小気味よい文章で楽しめました。
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今年の読書(42)『たそがれ歌麿』佐伯泰英(新潮社文庫)

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今年の読書(42)『たそがれ歌...
<新・古着屋総兵衛>シリーズとして、前作第8巻目の 『安南から刺客』 に次ぐ、第9巻目が本書です。

前作で江戸に戻った<大黒屋総兵衛>は、川を挟んだ向かい側の炭問屋「栄屋」の屋敷を買い取り、古着市の会場に使う算段をしながら、橋の架け替えに乗じて二つの屋敷を繋ぐ秘密の通路の算段を進めていました。

そんな折、大目付<本庄義親>邸に赴いた際、居候をしている浮世絵師<北川歌麿>なる人物を紹介されます。屋敷から帰宅中に<総兵衛>は、<歌麿>と間違われ、何者かに襲われます。

橋の架け替え工事が進むなか、江戸に未曾有の野分(台風)が襲い、江戸の町は大被害を受けてしまいます。
町の復旧に奔走する<総兵衛>ですが、<歌麿>が将軍<家斉>を揶揄するような浮世絵を描いているとの知らせを受け、関わった<本庄>の身を案じ、<歌麿>を探し出すべく「影」として動き出します。

実在の浮世絵師<歌麿>を物語にうまく取り込みながら、幕府の「影」としての裏の貌の活躍で、無事に事なきを得た<総兵衛>でした。
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今年の読書(41)『安南からの刺客』佐伯泰英(新潮文庫)

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今年の読書(41)『安南からの...
<新・古着屋総兵衛>シリーズとして、第一巻の 『血に非ず』 に始まり、長年の宿敵薩摩藩との和睦が進んだ第七巻の 『二都騒乱』 まで読み続けています。

人気作家のシリーズですので、書店で急に入手できないことはないと安心していますが、ようやく第八巻目として読みつなぎました。

京都に出向いていた<大黒屋総兵衛>一行は、七か月ぶりに江戸へ戻ってきました。
戻り次第< 総兵衛>は、川を挟んで向かい側にある破産寸前の炭問屋の屋敷を買い取り古着市の会場として利用することを考えながら、本店の大黒屋と地下通路で行き来できるようにと、石工の<魚吉>に算段を考えさせます。

3月に始まる古着市の準備の最中、<糸屋染左衛門>に反発する同業者二人が刺殺され、<総兵衛>は古着市を攪乱させる一派のことをで悩んでいましたが、どうやら自分自身の出身地である安南政庁からの刺客の存在を確認、新たな強敵に立ち向かわざるを得なくなります。

安南に「イマサカ号」や「大黒丸」が交易のために出向いたままですが、まだまだ続くシリーズですので、のんびりと読み続けたいと考えています。
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今年の読書(40)『マスカレード・イブ』東野圭吾(集英社文庫)

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今年の読書(40)『マスカレー...
本書は、(集英社文庫)として前作の 『マスカレード・ホテル』 に次ぐオリジナル文庫本です。

中短篇4篇が収められていますが、「ホテル・コルテシア東京」のフロントクラークとして勤め始めた<山岸尚美>を主人公とする『それぞれの仮面』や『仮面と覆面』、警視庁の捜査一課の新米刑事として上司の<本宮>と組み、捜査のイロハを身に着けていく<新田>刑事を主人公とする『ルーキー登場』、そして本書のタイトルにもなっている『マスカレード・イブ』は、<山岸>も経験を重ね、新しく開業した「ホテル・コルテシア大阪」のフロント業務の教育に派遣され、<新田>刑事は所轄の生活安全課勤務の<穂積里沙>と組んで、大学教授の殺人事件の捜査を担当しています。

時系列的には前作 『マスカレード・ホテル』に登場する<山岸>と<新田>の新人時代が描かれており、最後のエピローグは 『マスカレード・ホテル』の事件につながる伏線として、前作を読んだ読者は「ニンマリ」とする終わり方でした。
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今年の読書(39)『ホテルロイヤル』桜木柴乃(集英社文庫)

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今年の読書(39)『ホテルロイ...
本書は2013年上半期・第149回の「直木賞」受賞作品です。

短篇7篇が収められており、北海道の釧路湿原を見下ろす場所に建つラブホテル「ホテルロイヤル」を舞台として、ホテルの経営者、その家族、従業員、出入り業者、そしてホテルを利用する男女に繰り広げられる心の機微を、鮮やかに描き出しています。

あまり小説の舞台として登場しないラブホテルだとおもいますが、裏通りにひっそりと建つ非日常的な空間に身をおく登場人物たちの心のさまを、無駄のない的確な文章で紡ぎ出し、生活感あふれる登場人物たちを語り繋いでいきます。

短篇7篇は、時系列的に現在から過去にさかのぼり、読者は廃墟のホテルの場面からホテル建設の背景まで辿る7篇が見事に連続する構成力に、筆者の並々ならぬ力量がうかがえます。
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今年の読書(38)『ぬけまいる』朝井まかて(講談社文庫)

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今年の読書(38)『ぬけまいる...
タイトルの『ぬけまいる』は、江戸時代に伊勢神宮に雇い人や家族に断りもなく参拝しても、お咎めが無かった「抜け詣り」(御蔭詣り)から付けられています。

登場するは、若い頃に「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれた28歳の、<お以乃>、<お志花>、<お蝶>という江戸娘三人組です。
それぞれに個人の悩みを持ち鬱積した日々を重ねていた三人は、突然仕事も家庭も掘り出して「お伊勢参り」に繰り出し、その珍道中が描かれています。

女性の江戸時代を背景とした道中記は珍しく、読みながら<田辺聖子>の 『姥ざかり花の』 を思い浮かべていました。

道中の背景は、当時(1845年:弘化2年)の史実に基づき綿密ですし、植木職人の世界を描いた 『ちゃんちゃら』 や、植物学者<シーボルト>を描いた 『先生のお庭番』 など植物の世界にも造詣が深い著者で、江戸時代に流行した「変化朝顔」などの話題も登場、なかなか楽しめました。
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今年の読書(37)『大人の説経』山本一力(文春文庫)

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今年の読書(37)『大人の説経...
1997年『蒼龍』で「オール読物新人賞」を受賞して作家デビュー、2002年『あかね空』で「第126回直木三十五賞」を射とめている著者です。

本書は二部に分かれており、第一章は『天理時報』(天理教道友社)、第二章は『時字随想』(読売新聞)と『1194』(三井ビルテクノサービス)に書かれたエッセイ集です。

数多くの転職経験のある著者が、まっとうな大人の振る舞いを説いていますが、どれも心優しい目線を感じる内容です。

特に市井で細々と商売をされている、中華料理屋「来々軒」や市場の肉屋さん、アサリ売りのお婆ちゃん、蕎麦屋の店員さん、熱海の食堂の女将さんなどの逸話は、庶民派のエッセイとして心に残り、ホッコリとした気分にさせてくれます。
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今年の読書(36)『天命の扉』遠藤武文(角川文庫)

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今年の読書(36)『天命の扉』...
副題として<県警捜査一課・城取圭輔>とあり、また長野県警があまり小説には登場しない舞台設定ということで読んでみました。

事件は長野県庁で行われてた県会の定例議会中に停電が起こり、演説中の議員が射殺されますが、閉鎖された議場と傍聴席の中での事件だけに逃げた者もおらず、また凶器も発見されません。

議会開会前に県知事に不可解な短歌のメールが届きますが、同じ内容のメッセージが、射殺された議員のポケットからも発見され、<城取>は捜査を始めます。

<城取>は過去にパチンコ店強盗事件犯として検挙した<竹内>が、冤罪ではないかとの不安を持っています。今回の事件も、その彼がアリバイに使った善光寺の本尊に絡む宗教や歴史的記述が多く、正直ミステリーに必要な内容だとはおもえず、また犯人の動機自体もどうかなという設定でした。

善光寺の歴史性を楽しむにはいいかもしれませんが、刑事を主人公に据えた小説としては、評価できる内容ではありませんでした。
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今年の読書(35)『ブルーマーダー』誉田哲也(光文社文庫)

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今年の読書(35)『ブルーマー...
刑事<姫川玲子>を主人公とするシリーズとして、『ストロベリーナイト』『ソウルケイジ』『シンメトリー』『インビジブルレイン』『感染遊戯』 に次ぐ文庫本最新刊が本書です。

本書で<姫川>は本庁捜査一課の主任から、池袋署の刑事課強行犯捜査係の担当係長になっています。
その池袋署管内の雑居ビルで、出所したばかりの庭田組組長<河村丈治>の撲殺死体が発見され、さらに同一犯と思わせる手口で、半グレ集団である「新東京連合」や中国人グループ「主華龍(スカル)」のOBたちが、連続して殺害されていきます。

<下井正文>警部補と組み池袋の繁華街を捜査中、フイリピンから出稼ぎに来ている女性から、<ブルーマダー>と呼ばれる殺人者の存在を知らされ、裏社会の人間が20人以上消されている事実を突き止めていきます。

本書は第一作目の『ストロベリーナイト』の<姫川>は29歳、その4年後のアンサー編的な筋立てをしており、まだこのシリーズを読まれていないかたは、ぜひ『ストロベリーナイト』だけは読んで、本書を読んでいただきたいです。

17歳の夏に起こった<姫川>の暴行事件を核として、恋心を持っていた元部下の<菊田>巡査部長や、天敵の<ガンテツ>こと<勝俣健作>警部補も健在で、<姫川>ファンとしてはおおいに楽しめた一冊でした。
#本 #読書

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