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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(57)『ふるさと銀河線』高田郁(双葉文庫)

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今年の読書(57)『ふるさと銀...
<朝井まかて>の『落花狼藉』を読み、江戸時代の遊郭「吉原」が舞台ということで<高田郁>の『みおつくし料理長』の主人公「みお」と幼馴染の「あさひ太夫」の感動的な幕引きを思い出し、そういえば『花だより』以後の作品を読んでいないことに気が付き、手にしたのが本書『ふるさと銀河線 軌道春秋』です。文庫オリジナル作品として2013年11月17日に発売され、購入した文庫本には「大阪ほんま本大賞」受賞の帯が付いた2022年8月25日14刷版で人気の高さがうかがえます。

本書には、両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めますが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた、表題作の『ふるさと銀河線』を始め9篇の短編が収められています。

苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながらやさしい目線で人生のさりげない場面を舞台に愛情ある目線で描いています。

大阪~神戸の私鉄沿線から見えるつつましやかな部屋を舞台とする『車窓家族』、内容から下町側の「阪神電車」沿線かな?。また、大阪環状線の私鉄と接続するT駅(てんま・玉造・鶴橋・寺田町とT名は多いのですが、私鉄と接続ということで天王寺駅かな?)を舞台とする『ムシヤシナイ』など、「大阪ほんま本大賞」受賞という作品にふさわしい内容でした。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(56)『落花狼藉』朝井まかて(双葉文庫)

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今年の読書(56)『落花狼藉』...
著者<朝井まかて>は、デビュー作『実さえ花さえ、この葉さえ/(改題):花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』(2008年)をはじめ、シーボルトを描いた『先生のお庭番』や植木屋稼業の『ちゃんちゃら』など植物好きとして《植物系小説》として読み始めましたが、小気味よい文体で読みやすく、近作では江戸時代の介護問題を扱った『銀の猫』が面白く楽しめました。

本書『落花狼藉』は、2019年8月に刊行され、2022年8月7日に文庫本として発売されています。

戦国の気風が残る江戸時代初期、徳川幕府公認の傾城町・吉原が、西田屋の「甚右ヱ門」の働きにより誕生しました。吉原一の大見世「西田屋」女将の「花仍」は、幼いころに迷子として西田屋に身を寄せ大きくなりました。自身の商いは二の次で町のために奔走する夫「甚右衛門」を支えながら、店を切り盛りしています。

幕府からの難題、遊女たちの色恋沙汰、陰で客を奪う歌舞伎の踊子や湯女らに悩まされながらも、何度かの大火に会いながらもやがて町の大事業へと乗り出していきます。<朝井まかて>ならではの切口で、江戸随一の遊郭・吉原の黎明と、そこに生きる人々の悲喜交々を描き出しています。

𠮷原ならではの「しきたり」や「太夫」関連の描写では、<高田郁>の『みおつくし料理帳』の主人公「澪」と水害で離ればなれになった幼馴染の「あさひ太夫(野江)」を思い出しながら読んでおりました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(55)『反=恋愛映画論』佐々木敦・児玉美月

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今年の読書(55)『反=恋愛映...
好んで観る「恋愛映画」ではありませんが、社会の中で変化し、多様化してきた恋愛という営み、それをつねに反映してきた 無声映画時代の名作から最新の話題作まで数々の恋愛映画を取り上げ縦横無尽に語り合う、一風変わった恋愛/映画論『反=恋愛映画論』が(Pヴァイン)から刊行されています。

映画、音楽、文学、美術、演劇などジャンルを超え、執筆を続けてきた批評家の<佐々木敦>と、LGBTQ映画を中心とした批評で注目を集める映画執筆家の<児玉美月>の「恋愛映画に距離を感じている」というふたりが新旧の恋愛映画を語り合っています。

全8章で構成されており、第1章「リアリティと作為性――2010年代の日本映画」では、『花束みたいな恋をした』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』など、第2章「多様化する恋愛像――2010年代の外国映画」では『はちどり』『テイク・ディス・ワルツ』『ロブスター』『お嬢さん』など、第3章「恋愛映画の巨匠?――ホン・サンス」では、<ホン・サンス>(61)が手がけた『逃げた女』『それから』・『川沿いのホテル』・『カンウォンドのチカラ』などが取り上げられています。

第4章 「クリシェとそれを超えるもの――キラキラ青春映画」では、『君の膵臓をたべたい』『殺さない彼と死なない彼女』『私がモテてどうすんだ』 、第5章「 肉体と精神/リアルとフィクションードロドロ性愛映画」では、『愛のコリーダ』・『火口のふたり』・『愛の渦』・『ニンフォマニアック』・『倦怠』 など、第6章 「恋愛/映画」に惹かれるものーオールタイム・ベスト恋愛映画・日本編」として、『あなたがすきです、だいすきです』・『unloved』・『ともしび』・『渚のシンドバット』 など、第7章 「恋愛/映画」に惹かれるもの――オールタイム・ベスト恋愛映画・海外編」では、『カルメンという名の女』・『牯嶺街少年殺人事件』・『ポンヌフの恋人』・『燃ゆる女の肖像』など、第8章 「恋愛映画の現在――2022年公開の新作では、『アネット』『チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『TITANE チタン』『リコリス・ピザ 』などが取り上げられています。

映画ファン必読の(2640円)の一冊です。
#ブログ #単行本 #映画 #読書

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今年の読書(54)『301号室の聖者』織守きょうや(双葉文庫)

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今年の読書(54)『301号室...
著者<織守きょうや>は元女性弁護士で、<木村&高塚弁護士>が登場した連作小説集『黒野葉月は鳥籠で眠らない』につらなる、長編小説が本書『301号室の聖者』で、2016年3月に単行本が刊行、2022年8月7日に文庫本が発売されています。

新米弁護士の「木村龍一」は、所属する事務所の顧問先「笹川総合病院」の、ある医療過誤訴訟をめぐる損害賠償請求事件を担当します。訴訟にむけた調査や準備を進めるなか、誤嚥が原因で亡くなった患者がいたその病院の、その301号の病室で、短期間のうち立て続けに、他患者の急死、不自然な医療事故が起きます。看護師の過失か、医療器具の不具合か、あるいは何者かの意志による犯行か。先輩弁護士の「高塚」の助言を受けながら原因を探る「木村」でした。

冒頭病棟違いで301号室を訪ねた「木村」は、その部屋で14歳の「早川由紀乃」と知り合うことになります。タイトルと「早川由紀乃」の登場で、ミステリーファンとして先走り、彼女が関連しているのではと先走りましたが、見事にはずされてしまい、意外な結末になるほどと感心してしまいました。

末期の患者とそれを見守る家族、担当医、看護師の目線を通して病院を舞台とするリーガルサスペンス、弁護士という職能を通して本職らしい描写が垣間見られ、面白く読み終えました。シリーズ化期待の主人公の登場です。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(53)『珈琲店タレーランの事件簿8』岡崎琢磨(宝島社文庫)

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今年の読書(53)『珈琲店タレ...
巻かれていた帯に「10周年記念」とありましたので、この「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズも『珈琲店タレーランの事件簿』(2012年8月4日発行)が発売されてから10年が過ぎたようです。

前作の『珈琲店タレーランの事件簿7』は、全7話の短編集でしたが、2022年8月18日に文庫書下ろしとして発売されました本書『珈琲店タレーランの事件簿8』は、長編推理小説になっています。

珈琲店「タレーラン」のバリスタ兼店長である「切間美星」と、恋人として正式にお付き合いを始めた「アオヤマ」でした。そんな折、イベント会社「サクラチル」の企画する京都で開催されるコーヒーの飲み比べイベントに出店することになります。企画を担当する「中田朝子」にアドバイザーとして付いているのが、『珈琲店タレーランの事件簿3』で登場したかつて関西バリスタ大会で競った「イシ・コーヒー」の問題ある人物の「石井春夫」ということもあり、「切間美星」はトラブルが起きなければと参加を決意します。

「美星」の予想通り岡崎公園で二日間行われるイベントの初日から、妨害事件が起こり、二日目には、「タレーラン」の販売ブースや3店舗目にも妨害事件が起こりますが、参加6店舗の関係者12人の中に犯人がいるとにらんだ「美星」の洞察力と推理力で、犯人を突き止めていきます。

平安神宮が近くにある京都岡崎公園のロケーションをうまく取り込んだ構成が、京都を舞台とする本シリーズとして生かされていました。
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今年の読書(52)『イマジン?』有川ひろ(幻冬舎文庫)

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今年の読書(52)『イマジン?...
2019年2月、<有川浩>から読み方は同じ<有川ひろ>に筆名を変えられた最初の作品『イマジン?』(2020年1月・幻冬舎)がようやく文庫本として2022年8月5日に発売されています。

有川ファンとして498ページ、ワクワクしながら一気読みできる内容の面白さでした。

主人公「良井(いい)良助」は、大分県出身の27歳。子供の頃ゴジラ映画を見て地元の大分の町が舞台となっている場面に感動して映画の世界に憧れ、東京の映像専門学校に入り、各社の面接を受けますが、唯一受かった会社は計画倒産で業界から消えてしまい、歌舞伎町で客引きのアルバイトをしていました。

そんな中、先輩の「佐々」から、映画製作会社「殿浦イマジン」のアルバイト話が持ち込まれます。

憧れの映像の世界に飛び込んだ、「良井良助」で、映画作成の現場でのトラブルを乗り越えていくお仕事小説と、ちょっびりロマンスを交えながらの奮闘する姿が、映画業界の裏側を描きながら、映画ファンとしても<有川>ファンとしても楽しめた5篇の世界でした。

<有川ファン>にとっては、特に自衛隊三部作に続く『空飛ぶ広報室』『図書館戦争』シリーズ(6冊)や『植物図鑑』を連想させる場面が散りばめられており、映画化された作品も多い著者ですので映画関係の描写も写実的で、まさに<有川ワールド>が詰まったおすすめの一冊です。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(51)『死神さん 嫌われる刑事』大倉崇裕(幻冬舎文庫)

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今年の読書(51)『死神さん ...
刑事小説好きとして、タイトルに惹かれて手にしました『死神さん 嫌われる刑事』は、文庫本書下ろしとして2022年7月10日に発売されています。

本書には、無罪判決の出た事件の再捜査を専門とし、相棒となった警察官の未来を奪うというところから「死神さん」と呼ばれている警部補「儀藤堅忍」を主人公とする4篇が収められています。

第1話『死神対天使』では、筋弛緩剤を患者に投与した安楽死事件の看護師が無罪となり、「死神」が当時の事件を検視した「川代翔子」と組み、本当の犯人を追い詰めていきます。
第2話『死神対亡霊』では、周りから疎まれている刑事「宇佐見一成」ですが、強盗犯が家主を殴打したと思われた事件の解決に挑みます。
第3話『死神対英雄』では、二人組が金欲しさにスーパーの店長を刺した事件を、警察を辞め現在そのスーパーで働いている元交通課の婦人警官「冨藤歩」を相棒として、事件の真相を探り出します。
第4話『死神対死神』では、一家三人が殺された事件で男が逆恨みから一家三人を襲ったと警察が結論付けた殺人版が明日死刑が執行されるという段階で、最高裁判事の一人が、あれは冤罪ではないかと「死神」に持ち掛けてきます。

相棒と2人で再捜査で未解決事件の真相を突きとめることができるのか。死神と疎まれる警視庁の一匹狼「儀藤堅忍」が証拠を一から洗い直す執念と比類なき推理力で事件を紐解き解決する警察小説でした。

非常にテンポよく読み進められる文章で、飽きることなく最後まで面白く読め、続編を期待したいなと感じたのですが、今秋Huluにて<田中圭>主演で連続ドラマ化されるようで、さもありなんです。
#Hulu #ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(50)『神奈川県警「ヲタク担当」細川春奈3』鳴神響一(幻冬舎文庫)

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今年の読書(50)『神奈川県警...
<鳴神響一>の『神奈川県警「ヲタク担当」細川春奈』シリーズとして第1作『神奈川県警「ヲタク担当」細川春奈』・第2作『神奈川県警「ヲタク担当」細川春奈2湯煙の蹉跌』に続く第3作目『神奈川県警「ヲタク担当」細川春奈3夕映えの殺意』として、2022年7月10日に文庫本書下ろしとして発売されています。

28歳にしては童顔で小柄。女子大生か、時には女子高生に見間違えられる神奈川県警江の島署の「細川春菜」に異動の辞令が出たのが新シリーズの始ま紙です。新たな部署は本部刑事部の事件を解決するための専門家の協力を依頼する窓口「捜査指揮・支援センター」でしたが、期待と不安を胸に新天地に赴いた彼女を待っていたのは、一癖も二癖もあるその道の「ヲタク」の同僚たちでした。

第1作目は「鉄道ヲタク」、第2作は「温泉ヲタク」が絡む事件を解決していきますが、第3作はいまや日本の文化ともいえる「アニメヲタク」が絡んできます。

捜査一課の「浅野」主任が美貌の新米刑事を伴って専門捜査支援班にやってきます。捜査が難航している二件の事案への協力を「春菜」に要請で、その打ち合わせの最中、聞き耳を立てていた「春菜」の同僚の「葛西」が、二つの殺人現場はいずれも人気アニメ『ラブライブ!』の「聖地」で関連性があると言い出します。そのひと言で軌道修正された捜査は思わぬ方向へと進展してゆきます。

本来「理・医・薬学専門」の「葛西」でしたが、「アニメヲタク」でもありました。捜査の過程で人気アニメの情報や劇場映画版の話題も豊富に登場してきますので、事件とは関係なく楽しめる構成で、面白く読み終えました。
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今年の読書(49)『焦眉』今野敏(幻冬舎文庫)

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今年の読書(49)『焦眉』今野...
多くの楽しみなシリーズを持つ<今野敏>ですが、この「警視庁京後半係・樋口顕」もそのひとつです。本書『焦眉』は、2020年4月16日にシリーズ6冊目として単行本が刊行されており、文庫本として2022年7月10日に発売されています。今年3月16日にシリーズ7冊目の『無明』が刊行されていますので、文庫本発売まで、また2年ほど待たなければいけません。

東京都世田谷区の高級マンションの駐車場で投資ファンド会社を経営する<相沢和史>が刺殺され、捜査一課の「樋口顕」班が現場に急行します。

警視庁が所轄の北沢署に特別捜本部を設置すると、東京地検特捜部の検事<灰谷卓也>が、二課の係長と同行して現れます。
<灰谷卓也>は与党の大物議員を破り当選した野党の衆議院議員<秋葉康一>を政治資金規正法違反容疑で内偵中でした。

市民運動家の<秋葉康一>は殺された<相沢和史>と大学時代から親しかったらしく、過去に選挙資金規正法に関わる関係を疑われた経歴があり、殺害現場付近の防犯カメラには<秋葉康一>の秘書<亀田至>が映っており、それらの事実だけを理由に<灰谷卓也>は、<樋口顕>が証拠不充分を主張するも秘書を逮捕してしまいます。

選挙と警察組織、地検と警察との対峙などを縦軸に、自己評価が低く、上司の顔色を窺い、部下を気遣い、一人娘「照美」を気遣う等身大の刑事の生き様を照らし出す「樋口顕」の人間性を横糸として織り込みながら、骨太の警察小説が楽しめました。
#ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(48)『人格者』佐藤青南(中公文庫)

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今年の読書(48)『人格者』佐...
<佐藤青南>行動心理捜査官「楯岡絵麻シリーズ」として第1作の『サイレント・ヴォイス 』(2012年11月 宝島社文庫)から第8作の『ツインソウル』 (2020年3月 宝島社文庫)を読み進めていますが、新シリーズとして『連弾』(2021年7月 中公文庫)に続く刑事「音喜多弦」と「鳴海桜子」のコンビが再登場、文庫書下ろしとして2022年7月25日に刊行されています『人格者』です。

都内で殺人放火事件が発生します。被害者は著名な楽団のコンマスをも務める男性ヴァイオリニスト<久米充>でした。

捜査一課の「音喜多弦」は、音楽隊志望の声楽科出身の玉堤署の変わり者刑事「鳴海桜子」と、再びペアを組んで捜査を開始します。

怨恨が犯行動機と睨んだ捜査本部ですが、関係者は皆、<久米充>への敬愛追慕を語るのみでした。誰からも愛された音楽家としても人間的にも〈人格者〉としての姿しか見えない彼の行動を確認していく過程で、楽団という音楽業界の裏側の世界を面白く取り込んでいます。

楽団員のオーディションにまつわる話題から、事件の糸口を見つけようと奮闘する二人でしたが、思わぬ人物が自首してきたことで、(推理小説ファンは誰も考えない展開ですが)事件は一気に解決なのかなと思える中、その裏側で〈人格者〉とは思われぬ要因が潜んでいました。
#ブログ #文庫本 #読書

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