福島第一事故で、国と東電の責任を問い損害賠償を求める裁判で、
仙台高裁は30日、改めて国の責任を強く認める判決を言い渡した。
1審の福島地裁を含む各地の地裁判決で国の責任を認める判決が出ていたが、
今回、2審の高裁でも国の責任を認めた判決が出た。
しかも、国も東電と同等程度の責任があると、責任の範囲を広げた形となった。
高裁で国の責任を大きく認めたのは大きい。
今の原発の安全責任は電力会社が主体だと、現政権は逃げ腰の理論を打つが、
そんな政府の言動にも釘が差さる。
今後の原発稼働についても、また一つ枷をはめる事ができたと言えるだろう。
日本原子力産業協会が9月4日、日本の原発の運転・建設・廃炉状況を発表した。
日本原子力産業協会資料:日本の原子力発電炉(運転中、建設中、建設準備中など)
資料右の表では、廃炉となった原発一覧が載っており、
「ふげん」や「もんじゅ」含め、これまで27基が廃炉となった事がわかる。
しかし、その廃炉は昨年9月の福島第二原発から増えていない。
既に運転開始から40年に達する老朽原発が、まだ廃炉になっていない。
原子力規制委の審査を受けない原発も多く、廃炉予備軍は多い。
今後はこれら原発も早く廃炉としていくべきである。
国際エネルギー機関(IEA)は、毎月の各国のエネルギー比率を公表しており、
今月は6月までのデータを公開した。
IEA:Monthly electricity statistics (P22参照)
このデータによれば、今年1~6月は新型コロナウイルスの影響もあり、
日本の消費電力は5%以上減少した。
これに対し、再エネはこの半年で18%以上増加。
結果、日本の電力の再エネ比率は、6か月平均で20%を超える事が判明した。
しかも6月単月で見れば、再エネ比率は全体の28%にも達している。
今後も再エネは伸びていく事が見込まれている。
2030年までの政府目標を、10年前倒しで達成する勢いだ。
日本も再エネ目標値を見直さざるを得なくなるだろう。
今後は2030年に50%を超えよう、の様な挑戦的な目標を掲げるべきである。
現在の発電所の能力維持のため、国民から電気料金に上乗せして資金を集め、
その資金を発電能力毎に応じて電力会社に振り分ける仕組みが、2024年から始まる。
将来のエネルギー確保という名目だが、
これでは再エネに消極的な大手電力に、多くの資金が流れる事になる。
それは今の火力発電が大勢を占める現状を、将来も維持するという事になる。
地球温暖化対策のためには、今以上に再エネ拡大を図らねばならない。
必要なのは火力発電の維持ではなく、蓄電能力の拡大だろう。
この電力の容量市場の仕組みは、考え方の根本が間違っていると言えるだろう。
中国国家主席の習氏は22日、国連総会でのビデオ演説で、
中国が2060年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしていくと発表した。
また2030年までに、右肩上がりで増加中の排出量を減少に向かわせるとも述べた。
なんと衝撃的な発表だろうか。
今現在の温室効果化ガス排出量は中国が断トツ1位、世界全体の3割を占める。
その中国が真に排出量ゼロに動き出せば、その効果は絶大である。
他国も負けじと排出量ゼロの前倒しに動き始めるだろう。
世界で増加中の再エネの、更なる急拡大を期待したい。
9月23日、日本の総合スポーツ用品メーカーであるアシックスが、RE100に加盟したと発表した。
アシックス:電力を100%再生可能エネルギーへ切り替え 国際的な環境イニシアチブ「RE100」に加盟
アシックスは2030年までに事業で使用する電力の再エネ比率を60%にする目標を掲げており、
既に神戸にある本社やスポーツ工学研究所では再エネ100%を達成している。
今回RE100に加盟し、2050年までに全事業の電力を再エネ化するという目標を加えた。
世界のトップアスリート達の情報発信力を私達は知っている。
その選手達をサポートするスポーツ用品もまた、それを支えている。
アシックスには、スポーツを背景に、環境配慮の情報も発信し続けて欲しいと思う。
21日、地中海の小国マルタが核兵器禁止条約を批准し、批准国は45か国となった。
条約発効まであと5か国。
遠くに見えた発効成立が近づいてきている。
日本は条約に後ろ向きな政権が長く続いたため、取り残されているが、
世界は核廃絶に向けて着実に進んでいる。
人が今後も存続していくためにも、世界の核は無くしていかねばならない。
オーストリアで開催していた国際原子力機関(IAEA)の総会で、
21日に日本の内閣府特命担当大臣である井上氏は、
トリチウムを含む放射性汚染水の海洋放出について現実的だと説明した。
これに対し韓国の科学技術情報通信部第一次官の鄭(チョン)氏は22日、
海洋放出に対し環境への懸念と国際社会の不安が高いと指摘。
日本が放出を決定する前に、国際社会と透明性のある会話が必要と述べた。
日本は充分に説明したと再反論しているが、本当にそうだろうか。
国内でも反対意見が多い中、国内外で一方的に大丈夫と言っているだけではないのか。
もし放射性トリチウム汚染水が本当に安全と言うのなら、
輸送も安全だし、東京湾や大阪湾内での放出も安全と言う事になる。
それを証明したいのなら、汚染水の一部でも良いから湾内に放出してみれば良いのだ。
都府民から猛反発を受け、説明すると言う事がどういう事かがその時分かるだろう。
海洋を害する放射性汚染水を日本だけの決定で海洋放出する事は慎まねばならない。
海は世界に繋がっており、国際協力無しに汚染水問題を解決する事はできない。
そんな当たり前の事を諸外国に言われねば分からない事こそが問題でる。
8月4日、味の素グループが国際的な環境イニシアティブ「RE100」に参画すると発表。
2050年までに事業活動で使用する電力の100%を再エネで賄う事を目標として設定した。
味の素プレスリリース:味の素グループ、国際的な環境イニシアティブ「RE100」に参画
また8月27日には、積水化学工業が「RE100」への加盟を発表。
2030年に購入電力を100%再エネに転換し、
2050年には全事業活動での温室効果ガス排出量ゼロを目指すとした。
積水化学工業新着情報:国際イニシアチブ「RE100」に加盟
暫くRE100へのチェックをしていなかったが、
コロナ禍でも着実に、環境を考え再エネ100%を目指す企業は増え続けている。
再エネ拡大への動きは今後も続きそうである。
東電は今月から、福島第一原発構内に大量保管している放射能汚染水について、
トリチウム以外の放射性物質を基準値未満まで下げる、浄化処理試験に着手した。
福島第一原発には、120万トンもの放射能汚染水を抱えている。
当初、東電も政府も、これらは除去が困難なトリチウムのみが存在する処理水だと言っていた。
ところが、その処理水の7割に、トリチウム以外の放射性物質が溶け込んでいる事が判明。
多くの国民から情報開示の在り方に疑問を持たせる事になった。
そのタンクに溜まった放射能汚染水について、
やっとトリチウム以外の物質を除去する試験を開始するという。
処理施設はあるのに、なぜ今まで手を付けて来なかったのか不思議だ。
早く試験を終了させ、本格運用でタンク内の放射性物質の量を減らしていくべきだ。
日立製作所は16日、英国の原発建設プロジェクト事業から完全撤退すると公表した。
日立:英国原子力発電所建設プロジェクト事業運営からの撤退について
日本政府と協調して海外原発事業に乗り出したが、安全対策費の膨張で先行き不透明に。
連携していた企業も抜けて、昨年1月に事業の一時凍結を表明していた。
それから約1年半、再開を模索したが投資が集まらず、ついに完全撤退を決定した。
公表内容では、新型コロナウイルスによる投資環境の悪化も原因の一つとしているが、
そもそも巨額投資回収の目処がつかない原発に投資が集まる筈もない。
完全撤退は必然的な流れと言うべきだろう。
日本からの原発輸出は、全てが止まっている。
世界はもう原発の時代では無い。
日本は長期に渡った政権の驕りで、国民の声を聞く政治を忘れてしまっていた。
だが、それも終焉を迎え、同じ政党下ではあるが、新たな政権が始まろうとしている。
新政権の初期は、皆の声を聞かねば動き始める事ができない。
今までかき消されていた言葉が、日の目をみる様になるだろう。
今まで事ある毎に押さえ込まれていた脱原発と再エネ拡大への多くの人の思いは、
この機に新たな局面を迎える事になるかもしれない。
小さくとも、少しづつ変わっていく事を期待したい。
14日の自民党総裁選で、菅氏が新総裁に選ばれた。
2日後の16日には臨時国会が召集され、菅氏が首相に就任する予定だ。
自民党の、それもほぼ国会議員の票で大勢が決まる首相決定までの道筋は、
国政選挙などと違って何だか軽々しいと感じてしまう。
安倍路線の継承を訴えて選ばれた菅氏だが、
人が変わったのだから、ゆっくりとだろうが政策も変わっていくに違いない。
今までの世界の潮流に背を向けてきた政策も、少しは変わっていく事を期待したい。
復興庁は、東日本大震災の8月11日現在の避難者数を発表した。
その数、約4万3千人。
9年半も経過するというのに、何という多さだろうか。
復興庁:全国の避難者数
復興庁の資料は、東日本大震災での避難者となっているが、
ほぼ全員が福島第一原発事故の放射能汚染の被害者である。
これは福島第一原発事故での避難者として公表すべきだろう。
国は自主避難者や、故郷へ帰る事を諦めた人の数をカウントしていない。
本当の意味での避難者数は、さらに多い。
これらの人々は、今も原発事故の最中にいる。
この事実は、改めて原発事故が、人の営みを破壊するものであると教える。
もう真夏や真冬でさえ、日本で電力が不足する事は無くなった。
取り返しが付かなくなる前に、全ての原発は廃炉にせねばならない。
核のゴミと呼ばれる、原発の使用済み核燃料や放射性廃棄物の最終処分地として、
寿都町(すっつちょう)町に続き、神恵内村(かもえないむら)も検討を始めるという。
来週の村議会で、国に応募を伝えるかを審議する。
寿都町も神恵内村も、札幌市の西方、泊原発の50km圏内に位置する。
どちらも、将来の町村運営に不安を抱えている。
最終処分地の文献調査に応じる事による、国の補助金を当てにしているようだ。
だが、いつまでも原発稼働の為などに税金を使わせてはならない。
原発の稼働が続く間は、原発を持つ大手電力がカネを出すべきだ。
もし国の税金を使うのなら、まず全原発を廃炉にしてからにして欲しい。
関電資料抜粋
定期検査中の大飯原発3号機で、
原子炉一次冷却系配管に深さ4.6mmの亀裂が発生していた事が判明した。
関電資料:大飯原発3号機 加圧器スプレイライン配管溶接部における有意な指示について
だが、関電はこの亀裂に関して、
原子力規制委に「配管系統に有意な指示がある」という名の報告書を提出したが、
配管に亀裂が発生したという言葉を使っていない。
関電自身のホームページにも、プレスリリースにも載せていない。
炉心に近い配管の不具合なのに、きちんと公表する気は無いのだろうか。
高浜原発3号機に続いて、大飯原発3号機でも配管の不具合が発生しており、
原発の老朽化度合が顕著になってきている。
そのうえ公表に対する消極的な姿勢を見れば、関電の原発稼働を不安視せざるを得ない。
電力の原発比率は低く、無くても誰も困らない。
関電の危険な老朽原発は、早く廃炉にすべきだろう。
今月も、家庭向け電力自由化後のスイッチング件数推移をグラフ化してみた。
・スイッチング支援システムの利用状況について(8月31日時点)
春先は新型コロナの影響もあり、スイッチング数は一旦減ったが、
すっかり元の件数に戻ったようだ。
東京電力パワーグリッドのスイッチング件数は6・7月に一旦急増したが、それも元に戻った。
いろいろあったが、どの電力会社からのスイッチング件数も
結局一直線のグラフとなっている。
電力会社の変更に何らかの制限をかけているのだろうか。
ともあれ、今後も順調にスイッチング件数は伸びていくだろう。
電力会社を選択するという行為は、既に一般的になったと言えるようだ。
関西電力は7日、定期点検中の高浜原発3号機で、
原子炉内の蒸気発生器配管中の1本に亀裂が見つかったと規制委に報告した。
また、同配管内に2個の金属異物があった、との報告も行った。
関西電力:高浜原発3号機の定期検査状況について
配管内にあった金属片は2cmから4cmの小さなものだが、
複雑な回路内の異物は、思わぬ事故を引き起こす。
また配管にいくつか亀裂や内部摩耗が見られており、老朽化も進んでいる。
建設当時には堅牢に作られていても、40年も経てば脆くなる。
当然、事故の発生確率も高くなる。
しかも、異物が中に入っているようでは、安全性は担保できない。
二度と日本で原発事故を起さないためにも、このような老朽原発は廃炉にして行かねばならない。
4日の午前9時過ぎ、福井県北部を震源として震度5弱の地震が発生した。
福井県南部には、高浜・大飯・美浜の原発が並ぶが、震度1で異常は無かった。
また、廃炉となった増殖炉もんじゅなども存在するが、影響は無いという。
地震の度に、異常が無いと報道されるのを見るが、
そのそも原発が無ければ、地震による影響を心配する必要もなくなる。
事故時の巨大災害のリスクを考えるなら、早く原発を無くすべきだ。
北陸電力は9月1日、風力発電を中心とした再エネの拡大を目指すとして、
「再生可能エネルギー開発チーム」を新たに設置したと発表した。
北陸電力:再生可能エネルギー導入拡大に向けた取組みについて
北陸電力は長期ビジョンとして、水力やバイオマスなどを含む再エネを、
2030年までに20億kW増加させる事を目指している。
今回はその一環として、風力を中心とした再エネチームを結成したという。
豊かな自然に恵まれた北陸地方は、再エネの宝庫でもある。
北陸電力はその資産を、本格的に活用し始める体制を整えてきた。
他の大手電力に先んじて、再エネを主力とした電力会社に変わって欲しいと思う。
韓国に上陸した台風9号により、新古里1・2号機と古里3・4号機の各原発が停止した。
台風による電力系統の異常が発生し、自動停止したようだ。
この事による放射能の漏洩は無いという。
韓国では24基の原発が稼働中だが、政府は脱原子力政策を進めている最中である。
今回の台風での異常停止で、より脱原発へ向かって行って欲しいと思う。
原子力規制委の2日の会合で、青森県むつ市にある核燃料貯蔵施設が、
新規性基準に適合していると判断される事になった。
この貯蔵施設は、リサイクル燃料備蓄センターと呼ばれる。
原発の立地施設外で、初めて許可を受ける核燃料中間貯蔵施設となった。
原子力規制庁:リサイクル燃料備蓄センター審査の概要
だが、核燃料サイクルの崩壊した今、核燃料をリサイクル燃料と呼ぶのは無理がある。
使用済み核燃料がこの施設に搬入されれば、二度と出ていく事は無いだろう。
中間貯蔵と言われているが、これ以降の持って行き先は無い。
今の原発は、使用済み核燃料の置き場所が狭く、もうすぐ運転できなくなる。
それを回避するため、急ぎで貯蔵する場所が欲しいだけである。
先の無い原発の稼働の為の施設はこれ以上増やさないで欲しいものだ。
今年の夏は暑かった。
各地で気温が40℃を超える日が続き、
8月17日には静岡県浜松市で国内最高気温に並ぶ41.1℃を記録した。
エアコンの前で、日がなぐったりしていた日が続いた。
来年以降も、さらに気温が上がっていくのだろうか。
ぼうっとする頭で、地球温暖化の事を考えていた。
9月に入り、急に暑さが解消してきた。
が、今度は温暖化影響による台風の大型化が気がかりだ。
人による温暖化の厄災は、これらかの人々の行動で解消していけると信じたい。
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