マンガの話で申し訳ないけれども、梶原一騎氏が原作を書いていた「空手バカ一代(以前にも記事にした⇒
男が命かけた拳)」という極真空手の大山倍達の自伝マンガにこういうくだりがあった。
アメリカでの武者修行を終えて、自分の空手が世界に通用することを確信した大山倍達が、香港で功夫の達人と言われる老人の運営する道場を訪問した時のこと。
絶対に自分の方が強い、けがさせないように対戦しなければと思っていたその道場主の中国人の老人に、大山倍達はかすることもできなかった。
挑みかかっても打撃を与えることができない。
向こうからの攻撃も受けないけれども、自分の拳もけりもその老人に触れることなく交わされ続けていく。
いつか空振りに疲れ果てた大山は老人に負けを認めて教えを乞う。
その時に老人が答えたのは、「大山さん、あなたの方が圧倒的に強いよ。」という言葉。
老人は大山の打突をギリギリで交わしながらもけっして優位に立っていると感じていたわけではないという。
「ただ単に私の方が足の運びであなたの知らない技を知っていただけで、あなたがそれを覚えたら私は手も足も出ないだろう。」
そうして老人は大山に滞在を許し、彼の持つ様々な技を教えてくれる。
その時に老人はこうも言っている。
「大山さん、私は今、私の弟子の若者に勝てるとは思えない。彼は私の技を知り、そして私にはもはやない力を持っている。あたりまえだけれども、同じ技を身に着けたときには力の強い方が勝つものだ。力は大事なのだよ。」
自分が手も足も出なかった技の匠に力の大切さを教えられて、そこから初めて、大山は力を増強していくことも積極的に考え、取り組んでいくようになっている。
「技は力の中に在り」
これはすべてのことに関わるんじゃないか、というのは、武道に限らず、知的活動においてもそうだよねと。
「発送は知識の中に在り」
・・・先日の日馬富士の記事を書いていて思い出したことだった(笑)。
人身事故