急逝した仲間の事を、ずっと考えている。 彼女は本当に誰にも優しく、およそネガティブな感情とは疎遠な人だった。 仲間内の一人は、彼女の事を「他人の悪口など一切言わない人だった」と、称賛していた。 でも、あっしは少し違和感があった。 最近は、やれアンガーマネジメントだなんだ、取り沙汰されるけど。 怒って何が悪い! 悪口や愚痴、言って何が悪い! 妬み、嫉み、有って何が悪い! そんなドロドロしてるのが人間。 殉職して二階級特進、みたいな、そんな称賛だったら、要らねぇよ! ネガティブな感情、俺ら、仲間内には晒して、たまにはガス抜きして、はけ口にしてくれれば良かったじゃないか! そんな、黒いところを見せたって、それでも俺らは一緒にやっていける仲間だったじゃないか! 死んでしまったら、この怒りをぶつけることも出来ないじゃないか! 馬鹿野郎が。