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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

揺れて流され

thread
寒かった不安は
すでに背に汗が流れる

曇ったガラスの向こうに
風だけが生きています
触ることのできない
知っている感覚に少し苛立って
ため息なんて吐き出しています

この揺れはどこへ行くのでしょう
本人がわかっていないのだから
笑い話しにもなりません

右耳のイヤホンが抜けてしまい
周りの人たちの潰された胸から出る
うなり声が漏れて聞こえてきます
同じ落胆は落ちて足もとを重たくし
振動に弱い身体になります

私は誰でどこへ行くのでしょう
何も解りたくない気持ちは
ドアの向こうで響く靴音に怯え
立ち止まってしまうだろう

見たいモノがないというのは
とても辛いことであります

#詩

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揺れて流され

thread
寒かった不安は
汗として背を流れました

曇ったガラスの向こうに
風だけが生きています
触ることのできない
知っている感覚に少し苛立って
ため息なんて吐き出しています

この揺れはどこへ行くのでしょう
本人がわかっていないのだから
笑い話しにもなりません

右耳のイヤホンが抜けてしまい
周りの人たちの潰された胸から出る
うなり声が漏れて聞こえてきます
同じ落胆は落ちて足もとを重たくし
振動に弱い身体になります

私は誰でどこへ行くのでしょう
何も解りたくない気持ちは
ドアの向こうで響く靴音に怯え
立ち止まってしまうだろう

見たいモノがないというのは
とても辛いことであります

#詩

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#2・26事件詩

thread
学童保育でアルバイトをしていた時
勉強、運動ができる一年生の男の子が
学童への道のり仲間の僻みに袋叩きを受けた

悔し涙で膝を抱えた

次の日、ガキ大将を待ち伏せ
叩き返し泥だらけで学童へ帰って来た

拳は勇気と正義で握られていた

#詩

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未魂体

thread
抜け殻に成りかけている
仰臥した空洞な身体の主幹に響いた
消えてしまう微弱な電気は
最悪を感じずに受け入れても良い、と

此処までか、此処までか

燃焼は何処まで行われたか
悔やみを朦朧に任せ流している
未だ枯渇していない精魂が彷徨う

不完全を納得するまで到達せず
痺れた感触の此の世に半分ある手を
床に突っ張り重力と痛みに

何処までか、何処までか、と

#詩

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現在

thread
例えば草むらに倒れてみれば
このまま死を待つ妄想に更けて
望み進む場所への感触を手繰り寄せ
人間が抜けてゆく心は
やはり吸収される細胞の窪みに恐れ
生きていると死んでゆく共存に
妄想が覚め始める

#詩

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やばばばいのばい

thread
やばばばいの
ばいのばい
このままじゃすぐに
終わっちまうよ

えっ
なにが終わるって?

そりゃ
人生しかないだろ
髪をかきあげたら
禿げてくるし
歩き出したら
腰が曲がり
家に着く頃には
地面にあごがつきそうだよ
それに
コケたら立ち上がれない
とにかく時間が
なくなってやばい

じいさんも
世のため人のために
やってきたんだろ
十分じゃないか

そんなことはない
わしは何も成していない
まだ
ぴよぴよぴよぴよの
ひよこちゃんなんだよ

笑えるじいさんだな
それで死ぬまでに
いったい何がしたいんだい?

わからんから困る
なんせ頭の中は年をとらず
身体がすぐに老ける

じいさん
それって意外と幸せって
やつかもしれないぜ
楽しい時間はあっという間に
過ぎて行くって言うし

わしは浦島太郎でないが
なんか足りていない
人生のような気がして……

おーい
帰るのかいじいさん
わりとしっかり歩けているぜ
ああ
もう聞こえてないようだな
まだなんか言っている

やばばばいの
ばいのばい
このままじゃすぐに
終わっちまうよ

やばばばいの
ばいのばい
やばばばばい……

#詩

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#天地詩

thread
誰が比べているんだ

君には届かない月
泥を被った僕はすっぽん

生まれた時から
やる気を失っているのは

誰かが比べているからなのか

それとも捻くれ者なのか

そんな僕でも
美しい心が欲しいと思っている

僕の中にもある
比べる心を消しながら這って

#詩

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反省

thread
初心を忘れたミス
言い訳をすればするほど
端折った業務の怠惰の露呈

頭を下げた時に
自分の中にいる神さまを初めて知る

何が大事でどうあるべきか
聞こえ始めては
過ちを素直に受け止めて

#詩

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金魚鉢な三丁目

thread
どうしたの
いつもの君とは違うね

ふーん
金魚になったんだ
一点を見つめて
ゆったりと泳いでいる
その姿も悪くはないけど
突然のことで僕は開いた口が
塞がらないよ

えっ
僕も一点を見つめているって
あれっ
腰がくねくねしてきた

あれれあれれ
金魚になったのか

なっちまったようだ
人間さよならってことなのか
こんな日が来るとは……

しかし狭い世界だね
そして僕らは
水槽から出られないのか……

ああ
この運命を受け入れよう
君と一緒だから大丈夫だよね

おいおい
向こうから黒マントの金魚が来るぞ
でかい目をして大きな図体
ありゃ間違いなくボスだ
怖いから知らんぷりをしよう

誰かが僕らを覗いている
とんとんと
ガラスを叩いているけど
なんだろうねあれっ
こっちはストレスが溜まるんだよ
やめてほしいなあ

おお
その少女も一点を見つめているぞ
ああ
口も開いた
もうじきこっちへ来そうだな

ようこそ金魚の街へ
仲良くやって行きましょう

そんなに悲しい目をしないで
お話をしましょう

そうそう
黒マントには気をつけた方がいい
どうやら奴がボスのようだから

ほらほら
また人間がこっちを覗いているぞ

ようこそ金魚の街へ

#詩

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まるん 5

thread
へへっ
へへっへっ

たぶんそれっ
ヘっヘっ

さたでーもーにんぐ
聴いているよ

雑務を
丸テーブル載せ

へへっ
いえっいえっ

たぶんそれっ
いええっ

瞳は
丸テーブルに反射させ

進むよ進むよ
さらさらへへっ

締め切りを
丸テーブルに載せ

たぶんそれっ
いえっいえっいえっ

へっへっ
じゃすとふぃーりんぐ

#詩

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#バレンタイン詩

thread
おはよう

チョコ、どうぞ

昨夜からの
コンビニバイトの若い兄ちゃんと
早朝に挨拶を交わす
赤髪の兄ちゃんは二年くらい
二日に一回ほど働いている
なかなか出来ないことだ
大学生かバンドをやっているのか
いつも明るく元気をもらう

レジ袋にチョコがふた粒
ありがとうと揺れて

#詩

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大寒

thread
ずいぶんと若さも
なくなった気がする

この寒さの中に
放り出されたままなら
すぐにでも死に絶えそうだ

しがみついて生きている
まだ自分の存在に
他者からの存在に

ひとりの存在ならば
寒いとも思わないだろう
すぐにを望むだろう

それでいいんですか
そんな言葉などは
吐く息のように消えるだろう

まだ温もりを求めている
寒さを感じるほどに
生きている足音が響く

寒い寒い寒い寒い



#詩

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遅すぎた街

thread
静かな静かな静かな街で
ひとり哀しい心が歩いている

望んでいたのかもしれない
望んでいなかったのかもしれない
もう忘れてしまった始まりに
降り始めている寂しさに哀しい

賑やかな賑やかな賑やかな街で
僕は汗をかき走っていた

振り返ることなど知らずに
大事にしていたのは無邪気とか無能
そのまま進めたのなら
孤独なんて寄せつけなかっただろう

馬鹿のままでは居られない
その気づきの震え
静かな静かな静かな街で
ひとり哀しい心が歩いている

#詩

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#福詩

thread
天から手がずるずると伸びて来て
布団の中にいる私の首と腰を撫でていった
なんとも温かくやさしい手

もう歩くことなど出来ないと思っていたが
あの日から痛みが溶け出して
身体が動きだした

確かあれは手術して一週間後のこと
よく知っている手の感触だった

#詩

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#笑顔詩

thread
空から落ちてくる哀しみ
受け止める傘など役に立たず

空から落ちてくる哀しみ
君が居ないというのに
紛れ落ちてくる君の笑顔

落ちてくる哀しみと君の笑顔

#詩

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情緒上乗

thread
月曜の通勤時間だというのに
朝から詩なんか書いて
涙を流しているんだから
今週、大丈夫か自分

ああ、かっこ悪いから
指で拭ってみると
そんなにきれいな涙ではなく
だんだん哀しさに冷め
今度は微笑んでいるんだから
今週、大丈夫か自分

たぶん大丈夫
きっと大丈夫さ

今まで根拠のない自信に
助けられて生きてきた訳だし
このスタイルは変えられない
もしかしたら
これが自分の強さなのかも
そう思い込める馬鹿さを

ずっと、ずっと、そのままで

#詩

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十三回忌

thread
余命も知らず
君が逝ってしまったことを
どうしてなんだよ
と、今でも言いたい
私がただ自分の気持ちばかり
考えているからだろう
けれど、どうしても
君の優しさは友として
納得できていない
そして、君にとって私が友でないという
馬鹿なことを考えたりする
おい、なんとか言ってくれよ

#詩

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距離

thread
自分が可愛いという体裁の言葉を
あなたから投げ掛けられた気がして
それをどうやって優しさだと思い込み
聞けば良いのだろうか

本音を全て向けられて
あなたとの社会が壊れてしまう方が
もしかしたらスッキリと生きられるかもしれない

しかしそれほど自分が強くもないのだから
切れるわけもなく変わることもなく
羽織っているのは薄っぺらな衣の重ね着
そしてあなたも同じ格好で立っている

#詩

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#ニオイ詩

thread
その記憶はいいイメージだ
公共の場であのニオイを嗅ぐことがある
もう五十年近く前のことだが
誘う記憶から幼稚園児だった頃にあった不安定の中
安心に触れるような空気感が蘇る
淡く甘い懐かしいニオイの元は探らない
名も知らないニオイと顔の思い出さない先生でいい
先生のいいニオイ

#詩

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