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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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#自動

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自分の社会を雲にして
ぷかぷか浮かせ
何のためが遠すぎる場所は
死に近いだろうと
誰も知らない答えを
決めつけアラームが鳴る

#詩

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#サイクリング詩

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僕の自転車は27段変速
もちろん直角に昇る道路だって
スイスイと上って行く

僕の自転車は27段変速
真っ逆さまに降りる道路だって
スムーズと下って行く

僕の自転車は27段変速
理屈なんてどこ吹く風になって
キラリンと走って行く

#詩

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23:27

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夜遅く上りの電車
この車両には誰もいない
僕すらいない気がして
内外を見せるガラス
重なる対面

生きてきた僕が白黒で
色を何処かに忘れてきた
その顔は無愛想で
コントラストさえ弱く
静かな車両には
鉄の波が聞こえるだけ

確かにあった
盛り上がりのない物語
それでも淡い青を感じては
涙を流したこともあった

欠けている
中途半端に欠けている
僕らしく崩れ
微笑む勇気がまだない

#詩

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#ことば詩

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高校生の時
話す言葉を失った同級生がいた
「お前の声、気持ち悪い」
と小学生の時に言われて以来ずっと

声を出さないことは
日常生活で支障が大きく
かなりのストレスがあっただろう
しかし、それ以上に
自分の声は醜いのだから、と

返事ひとつしない
彼は声を取り戻しただろうか……

#詩

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蚊人

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蚊人
朝に詩を書く……
#詩

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言葉採集

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言葉がぷかぷかと
浮かんで来たところを
虫取り網を振り回し
飛び跳ね引っ掛かった
鈍間な言葉たちを虫かごに入れ

隣村に住んでいる詩人さんへ
今日の収穫を見せに
せっせと歩いて行った

山をひとつ越えるので
足には熊のマメが出来た
熊が身体を引っ張ってくれて
楽に進むことができた

詩人さんは家の前で
大きなへの字を滑り台にして
難しい漢字を滑らしながら
にやにや笑っていた

虫かごを詩人さんに見せると
への字の滑り台を立てて
くの字の登り棒にした

これに登らせなさい
と言うので虫かごの蓋を開けた
言葉たちは勢いよく登り始めたが
曲がったところで団子になり落ちた

#詩

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#けっきょく笑える

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三十年前の私が
最近、書いている詩を読んだら

何を甘っちょろいこと
言っているんだよ

と、笑うだろう

三十年前の私が書いた
詩を思い出して

何を甘っちょろいこと
言っているんだよ

と、笑っている

笑いの質は違うけど……

#詩

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#家族詩

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#家族詩

実家の母に
最近、スマホを使って
もらっている

アプリは
電話、カメラ、写真、ライン

八十歳を過ぎて初スマホ
使えないと電話がくる
あーだのこーだの説明
苦戦しているが
写真が送ってきたり
テレビ電話したり
なんだかんだ楽しんでいる

今日も花の写真がおはようと
笑ってやってきた

#詩

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#温度計詩

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僕の身体は知っている
君の温かい手を

この優しさが
僕の信じるこの世の
絶対的な温度

もし君の手が
冷たくなったら
少し低めだけれども
握ってあげたい

君らしさを
僕はずっと計っていたい

#詩

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感謝を知る

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私は逝ってしまったのだろうか
拝まれている

目の前には誰からも慕われる
八十歳を過ぎた詩人がホームに立つ
私は「お疲れ様でした」と
電車に乗り込み頭を下げていた

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……」
何が始まったのだろう
大先輩の詩人は突然に手を合わせ
大きな声でお経を唱え始めた
なぜか私に

明日の事など分からないが
順番で言えば大先輩が先に逝くよな
そう心の中で呟いていたが
けして嫌悪感を抱くことはなかった
これにはきっと意味があるのだからと

電車の扉が閉まり
大先輩はまだ両手を合わせていた

車内にもお経が聞こえていたのだ
乗客たちは
降臨した者を見るような目をしていた
いったいこの状況は……

不思議な心持ちのまま自宅へ帰る
大先輩の詩から私が拝まれたヒントが
あるかもしれないと

百八名の詩が綴られた詩集を開いてみた
もちろんその大先輩の詩を拝読

ほとけさま

この詩の題目に思わず唸った
私に関することが綴られているかも
そんな馬鹿げた思考になりつつ
言葉を追いかけて行った先に
「ほとけさまが立っていた」と括られ
ありがとうの気持ちを
仏さまに伝えるだろうところで
終わっていた

大先輩のお経を唱える姿を思い浮かべ
私も今日一日の出来事に
ありがとうを伝えたくなり
手を合わせ南無阿弥陀仏と唱えた

#詩

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写詩

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書き上げたと思える詩に
違和感を感じる時
またひとつ
自惚れに気がつく

なろうとする自分と
現実の自分がずれ

貧弱な裸体を晒すけれど
詩は新しい衣を
いつも用意してくれる

#詩

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大型連休から

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ジャスミンが香る頃
大型連休へ滑り込みながら布団に倒れた
どれだけ身体が動かないだろう
仕事の時より四肢の痺れを感じながら
風は日々をめくっていった

自分の心を探る時間は不安へ傾く
寿命と身体、自分がこれから出来ること
思考は終わる前にという
前向きのような、後ろ向きのような
折り返して時が過ぎている実感
冷静に見つめる日々があった

それでも靄がかかった道は見えてきた
自分を見つめる時間は貴重だ

進むべき先ははっきりしていないが
痺れを感じながら歩くこと
苦痛は味わう勲章として自分につけ
勢いよく下っていけばいいのさ
もう自分の道に立っているのだから

ああ、連休明けの朝日だ

#詩

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ふたり

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寂しいから
辛いから
生きている喜びを
分かち合いたいから
君と微笑んでいたいから
生きている

君が微笑むから
僕が微笑むから
生きている不思議を
分かち合いたいから
幸せを願いたいから
生きている

そして
たわいもない日々に
感謝する時
生きていることで
いっぱいの幸せになる

#詩

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