《時節感慨・・呟記・・》 ヤマブキソウ(山吹草);花が ヤマブキに似ているのが名前の由来。 だがヤマブキは花弁5枚、ヤマブキソウは4弁。 近い仲間に葉の切れこみが深いセリバヤマブキソウがある。 ケシ科の草本で全草が有毒。半日陰になる林縁や疎林内に生育する。 草丈3~40cm程、茎を立てて上部の葉腋に1~2個の花をつける。 花径4~5cm、結構目立つ鮮黄色の4弁花。 葉は、長さ10~15cmの広卵型で先端が三角形状、縁には鋸歯がある。 多摩丘陵は、以前各所で群落が見られたが、1980年以降、自生は消滅した。 ニリンソウ(二輪草); 一つの茎に2つの花がつくので付いた名前、最初に一つが咲き後に2つめが咲く。 中に一個しか咲かないものもあるが、これを一輪草とは言わない。 花弁(花弁に見えるのは萼片)5枚~6枚 、茎葉は3個輪生、小葉が羽状に深裂する。 3個がそろって丸い葉のように見え、葉の表面に白い斑紋が見える。。 同じ花期のイチリンソウは、葉の裂片の幅が狭く花も1個ずつつき、大きくて目立つ。 花も葉もおひたし等にして食べれる。くせのない味で山菜としても有名。 カタクリ(片栗); 昔は片栗粉を、この花の根から作っていたので付いた名前。 若葉が味のいい山菜なのはあまり知られていない。 白い花は、シロバナカタクリ(form. leucanthum)と呼ぶ。雨の日は花を閉じてしまう。 花が咲くようになるまで7~8年かかる。庭で育てるにはかなり根気が必要。 高さ15cmほどの茎の先に、径4~5cmもある大輪の紅紫色の花を開く。 葉は淡緑色で表面には紫色の斑紋があるが生育地によっては全くないものもある。 種子にはエライオソームと呼ばれるアリが好む物質が付いており、 アリによって運ばれ散布される。春を告げるスプリング・エフェラメルの1つ。 りん茎から良質のでんぷんがとれるため片栗粉の材料とされたが、 現在市販されている片栗粉はじゃがいもやとうもろこしのでんぷんである。 ムラサキケマン(紫華鬘); ムラサキケマンのケマン(華鬘)とは仏殿の欄間などの装飾具のこと。 白花のシロヤブケマン、 ユキヤブケマン。 黄色のミヤマキケマンやヤマキケマン、キケマンもある。 やわらかく、無毛の越年草で傷つけるとやや悪臭がありやや湿ったところに生える。 茎は高さ20-50cmでいくらか角ばり、葉は2~3回羽状に細かく裂ける。 花は茎の上部にびっしりと総状につき、紅紫色、まれに白花もある。 花弁は4個で、外側の2個と内側の2個は形が異なっている。 外側の花弁のうち上の花弁は後ろが袋状になってつきでる、内側花弁2個は先端が合着している。 品種として先端に紫色があっての白花をシロヤブケマン(Corydalis incisa f. pallescens)、 完全な白花をユキヤブケマンという。 同じような姿の草にジロボウエンゴサクがある。 姿は小型で、地下の塊茎は丸く葉の切れ込みが少なく丸い。 * * * * * 里山にも春到来、桜の花見を早々に切り上げ散歩すると、 落ち葉の絨毯の中から顔を見せる草花達。 桜の樹の下で盛り上がっているのも楽しいが、 林床の中で魅せる草花、森林浴の極致だ。 林や竹藪の中を通る風の風合いを「細香」と称する。 古い仏法典の中に出てくる。「和」を意識できる表現だ。