Vol.1 どうで死ぬ身の一踊り

西村賢太の短編集。私淑した作家、藤沢清造への思いや彼の展墓によって関わっていく菩提寺の住職とのやり取り、同棲する女性へのDV、借金、実家の顛末、彼の弱さ狡さを赤裸々に綴っているが、流石は芥川賞作品、文章は美しい。そして笑ってしまうのだ。

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11年前に芥川賞を獲った西村賢太氏。受賞時のあの名言と容貌が相まって、ちょっと気になる人物だった。
とは言え、段々老眼も進み来て、12年ほど前から老眼鏡を時々使用するようになり、めっきり活字離れが進んでいた私は、特に氏の作品を手に取ることもなかった。そこに、先日の訃報である。驚いた。その一言だった。まだ54歳の若さでの突然死。借金生活で食いつなぎ、もう人生詰んだかと言う時の一発逆転芥川賞。人生これからじゃん。

彼のことを少し知りたくて、「どうで死ぬ身の一踊り」と言う作品をネットで購入。電子書籍は、字がでかくて読みやすい。でも、中古品がないから高い~。生前西村氏は「図書館の本を読む人はファンと言わない」と言っていたそうなので、お線香1本分にでもなれば嬉しいので購入。そして読む…面白い。
ああ、これは好きな作家だわ。太宰治を思い起こさせるが、もっとなんと言うか男らしい。男らしい屑っぷりが良い。頭の良さが伝わってくる。もっと早く読んでおけば良かった。もう西村賢太の新作は、この世に出ることはない。

彼は無念だったろうか、死を諦観しただろうか。一瞬のことで何も分からなかっただろうか。
助かっていれば、私小説家の彼にはこの体験は、もう一財産作れるものになっただろう。
芥川賞受賞から死までの11年。楽しく踊れることができたのか、訊いてみたくてたまらない。

#コミック #書籍

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