人間が生きていく上で欠かせない睡眠は、単に身体の活動を停止するための時間ではありません。
それは、高度の生理機能に支えられた積極的な適応行動であり生体防衛技術なのです。
とりわけ、発達した大脳をもつ高等動物である人間にとっては、睡眠の適否が高次の情報処理能力を左右するのです。
すなわち、質の良い眠りをとらないと、質の高い生活はできません。よりよく生きることは、とりもなおさず、よりよく眠ることでもあるのです。
動物でも、実験で強制的に断眠を続けると、体調に何らかの異状をきたして、ついには死亡してしまいます。
同様に、人間においても、断眠実験を行うと、断眠時間に長短の差はあるものの、いずれは、がまんしきれなくなって眠ってしまいます。このように、人間にとって、睡眠は生きるために必要不可欠のものなのです。
人間は大脳に頼って生きておりますが、その大脳を創り、育て、守り、修復し、よりよく活動させることこそが、睡眠の役割なのです。そして、睡眠不足に最も弱いのが大脳なのです。