おやじ=拝啓父上様 その一 一 たいしたものだよおやじの奴は 背中の筋肉見りゃわかる 俺にはできない何かがあって 聞こえないふりしてる 二 おそれいるよおやじの奴は 歩く姿みりゃわかる 到底踏み込めぬ何かがあって 見てないふりしてる 威厳というものびりびり感じ 恐れながらと話しかけると 「わかったわかった」と 「それでいいそれでいい」と 心を自由にしてくれた こころが解けていく 三 たいしたものだよおやじの奴は 話すことばを聞きゃわかる 悟ったような何かがあって 言わないようなふりしてる こわさというもの近くで感じ やさしさというもの遠くで知る 「やるか やるか」 「そうだな そうだな」と 繰り返し語り二人は酒を飲む