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東京生まれの東京育ち (カーネル笠井)

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東京生まれの東京育ち (カーネ...
 毎年この時期になると思い出すことがあります。それはずい分と昔のことになるのですが、東京生まれの東京育ちの友人が毎年この時期になると「東京には秋がない。」といつもぼやいていたことをです。確かにその頃の東京には動植物が少なく、田舎のような紅葉やススキ、それに実りの秋を楽しむことはできませんでした。ただ灰色の秋といった印象でした。しかし一歩郊外に出ると燃えるような紅葉を楽しむことはできたのですが。しかし近年になると都内のいたる公園でも紅葉がじゅぶんに楽しめるようになってきました。東京都の樹木のイチョウの木もまだまだ幼かったものが立派な樹木に成長し、見事な黄葉を楽しませてくれるのです。明治神宮外苑のイチョウ並木の黄葉じゅうたんや立川の昭和記念公園のイチョウが、周りの風景にもあいまって素晴らしいと思います。

 わが家の近くにも『大イチョウ』と呼ばれるイチョウの老木があります。老木の証とも言える乳根が枝のいたる所から垂れ下がっています。鎌倉の鶴岡八幡宮の大イチョウにも引けは取らないものと思います。銀杏の落ちる頃になると、何人もの人がそれを拾いに来るためほとんど拾えません。でも風の強い日に行くと、拾われてしまった後でも平気なのです。1〜2分おきにボトッ、ボトッという音を立てて落ちてくるからです。ひまなときに20〜30分待てば充分に収穫できるのです。

 銀杏拾いは毎年私の恒例行事として1〜2回行っています。拾うのはこの大イチョウではなく、多摩センター通りにあるイチョウです。多摩センター通りには車道の中心に広い中央分離帯があります。どこも幅が10m前後もある広いもので、ここにイチョウの木が植えられておて、秋になると見事な黄葉を見せてくれます。私のテリトリーとしているのは500mくらいの区間にあるもので、そのうち大きな実をつける5〜6本の木を目当てにしています。早朝に行き、まだ他の人に拾われていないと1本の木で20〜30個は拾えます。もし先に拾われてしまっていてもあきらめません。悪いことなのですが、少し助走をつけてその木に体当たりするのです。するとボト、ボト、ボト、と4〜5個落ちてくるのです。何回か繰り返して他の木に移動するのです。

 銀杏はビニール手袋をして、くさい果実の中から種子だけを取り出して持ち帰ります。これを丸ごと持ち帰り、家の庭の土の中に埋めて周りの果実をくさらせて種子を取り出している人もいます。子供の頃、川に流れてくるクルミの果実を集めて、土に埋めて2〜3日後に取り出すと周りの果実が炭のようにカサカサに腐っていて、簡単に取り出せたのと同じ方法のようです。土の持っている不思議な力ですね。種子にはまだくさい果実がこびりついているので、これを牛乳パックに水と共に入れて振るのです。すると種子同士がぶつかり合ってこれがほとんど取れてしまいます。これを天日で2日ほど干して出来上がりです。

 これを焼くのも私の仕事で、フライパンで焼くと一番おいしく仕上がります。でもこれは中々面倒です。ですから大抵はオーブンで5分間焼いてから殻を割って実を取り出して食べています。もっと手を抜くときには茶封筒に入れてレンジに1分かけてできあがりです。茶封筒に入れるのは、ポップコーンのようにはじけるものもあるからです。銀杏は風の予防に効果があるようなので、毎日5粒くらいはこうして食べています。ですからあまり味にはこだわらないことにしています。
 
(カーネル笠井)
#自然

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