父はバレンタインによくチョコレートを貰って帰ってきた。
理系の大学教授なので、職場は女性の割合は多くなかった方だったと思うけど、
教授だからなんだろうか、色んな人がくれるようだった。
母はそれをちゃんと数えておいて、ホワイトデーまでに百貨店でお礼のお菓子を買っておく。
かわいいもの美しいものが好きな母らしく、
いかにも女性が好きそうな気の利いたお返しを準備する。
くれたものよりいいものだったりするくらいだったと思う。
母は、
「もしお父さんが職場で倒れたりした時に、
ちょっとでもいい印象持ってた方が助けてくれる可能性が高いでしょ。わいろよ」
と、冗談にして笑ってた。
私はいい奥さんだなあ…と思っていた。
昨日ふと、「紀ノ川」を読んでいて、母はお礼のお菓子によって父の職場で存在を示す意味もあったのかなと思った。
だって、バレンタインにチョコレートを贈って、
ホワイトデーにその妻が選んだちょっと豪華なお返しを貰ったら、ちょっと近づけない気がする。
昨日まで思いもしなかった。わりと朴念仁なので。
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