ネットにある情報は当てにならないことが多い
Jan
12
「Uberのタクシー運転手による悪質な犯罪行為※が年間で数千件存在する。だからUberはだめだ」という話が最近報じられ一部ネット上で話題になりました。[1]
※これはUberの運転手または乗客も含めた犯罪件数のようです。以下、Uber運転手の犯罪件数(全体の93%)として記述していますが、Uber運転手の被害(全体の7%)もその内に含まれるものとしてお読みください。
しかしながら、北米のタクシーサービスの現状を知る私からすると、「何を言っているんだ」と自然とそうなります。
例えば、ネットで事前にタクシーの先払いをしておけば、後から不正に高額料金を要求されるようになることはありません。(領収書もネット経由でアプリ上に記録されるので、一般に不正請求の仕様がありません)
北米特に米国では、白タクに限らず、詐欺タクシーが日本の常識では信じられないほど多発しています。北米のタクシー会社の腐敗ぶりは常軌を逸した次元にあり、このタクシー会社だから大丈夫、というようなことは一般にありません。民間タクシー運転手による料金の不正請求に限らず、ドラッグ、暴行、拉致、監禁などの犯罪案件は少なくとも日本とは比較にならないほどの高率なわけです。
(そもそも米国では夜間ダウンタウンのセブンイレブン店内で、麻薬の売買が未だに行われているような国です。)
このような事情があるため、多くの米国民はもはや一般タクシー会社などを利用せずにUberのような料金先払い型の配車サービスを利用するのです。
実際に、米国人に聞いてみればわかるかとは思いますが、一般のタクシーよりもUberの方がむしろ安心安全だと多くの人が言うことと思います。
Uberへの今回の非難は当てつけのようなモノであり、一種のネガティブキャンペーンのようなものだと私は感じました。
というのも、報じられたレポートの内容が片手落ち、だからです。
例えば、大手メディアで報じられた記事の内容によると、Uberタクシー運転手による年間犯罪件数についてのレポートのみがそこには書かれており、それと比較する民間タクシー会社運転手による年間犯罪件数のレポートは対としてこの報道では併記されていませんでした。
そもそも比較の対象がなければ、「それがどれほど酷いのものであるのか」知りようがないでしょう。
(利用者数が天文学的に多くなれば、当然ながら犯罪の発生率は高くなります。Uber運転手による年間犯罪件数は全乗車客13億人に対して0.0002%に過ぎない。)
少なくとも、こうした報道では、比較対象が併記されていない限り、いくら大手メディアが報じようとも、この種のレポートは三流のままです。
例えば、Uber運転手による年間犯罪件数のみではなく、民間タクシー会社運転手による年間犯罪件数、犯罪率また乗車した利用者数の総計も明記されていない限り、正直、何とも言えないのが実情であり、これでは筋が通っていない片手落ちの見解だと言われても仕方がなくなります。
Uberが問題を抱えているのは間違いのない事実でしょうが、それは一般のタクシー会社も同じことであり、米国のタクシー事情に精通する私個人の実感としては、これでは一般タクシー会社など利用する人はいなくなり、みんな料金先払い型ネット予約のUberまたはそれと比肩(ひけん)するLyftのような配車サービスを利用するようになるだろうなと感じます。というのも、極めて劣悪なタクシー配車サービスが北米全体では横行しているのです。
(特にニューヨークだとかシカゴのような米国の都市部。カナダはずっとマシ。)
このように、ネットにある情報は当てにならないことが少なくないと、私は感じています。
私はある世界的有名人が絡んだスキャンダルの真相を知っているのですが、ネットでは嘘八百ばかりが飛び交っており、真相に触れた主張、類推は私が見た限り、全く存在していませんでした。
(驚くほど真実に肉薄する情報はありません。)
ネットは伝言ゲームのように、一次情報が劣化し、不正確な2次情報、3次情報・・・・・・として、指数関数的に拡散していきますから、事実とは異なっている情報の場合が少なくないわけです。
結局、自分の頭できちんと考えるしかこの状況を個々人が脱する術はないわけです。
沖仁宏
参考文献:
[1]:https://www.nytimes.com/2019/12/05/technology/uber-sexual-assaults-murders-deaths-safety.html