BCA土曜学校のコラムVol.20 ~ごちそうさま~
BCA土曜学校では、食育の一環として給食での挨拶を大事にしています。
今回は「いただきます」に続き、食事を終えたときの挨拶「ごちそうさま」について触れたいと思います。
「ごちそうさま」を漢字で書くと、「御馳走様」四つの文字です。
「御」は、敬語を作る接頭辞です。もとは、皇帝に関係する物事に「御」をつけることで敬意を表す語でしたが、現在は一般的な敬語として使われるようになりました。
「馳」は、馬偏がついていますので、馬を走らせる・馬に乗って走り回る・速く走る・広まる・気持ちを向けるなどという意味を持ちます。
「走」は、両手を振って走る人の形からできた文字で、一生懸命にはしる・ゆく・すすむという意味です。
「様」は、敬称としての接尾語です。その人に対する尊敬や丁寧の意を表し、相手へ非礼がないようにと配慮された語です。
「馳」「走」両文字とも「走る」という意味ですね。
「走る」という意味の漢字を二つも重ねて、敬意の「御」と「様」を前と後においています。
「馳走」は、仏教に関連した言葉で、仏陀のために方々を駆け回り食材を集めてきたことに由来すると言われています。そこから、お客様に食事を出すために駆け回って食材を集め、食事を作りもてなす意味につながり、その労に対して「御」「様」をつけ、感謝の気持ちを表す言葉となりました。それが「ごちそうさま」なのです。
馬を走らせて食材を集めた昔の調理は、今では考えられないくらい大変だったことでしょう。
現在の生活でいうと、食卓の料理は、食材を育てるために走る人・食材を集めるために走る人・食材を料理するために走る人・料理を運び並べるために走る人など多くの人が駆け回って、私たちの前に料理として並んでいるということです。
言葉の意味を理解すると、ご馳走をいただく時に、食事ができるのは「馳走してくれた人」がいるからだと思えますね。何気なく使う言葉から、食ベ物や作り手への感謝の気持ちが持てると思います。
食事は人をつくり、心をつくります。
「ごちそうさま」は、感謝の気持ちを表現する大事な挨拶言葉です。
しっかりした挨拶から豊かな心を育んで欲しいと思います。