BCA土曜学校のコラムVol.46~切羽詰まる~
12月1日、BCA2を会場としてシアトル熱中小学校のオープンハウスが開催されました。
その中で、シアトル夢想会刀剣研磨師今野龍彦さんの貴重な授業が提供されました。
本物の刀を間近で見せて頂きながら、美術品としての刀の魅力をたっぷりあじわうことができた時間でした。
知っているようで知らない刀の世界や武士道について教えて頂き、日本人の気持ちの根底にあるものを考えてみるいい機会になりました。
中髙の生徒さんと「慣用句「ことわざ」「故事成語」の学習をし、
慣用句は、二つ以上の言葉が結びついて、もともとの意味をは別の意味を表す言葉。
ことわざは、古くから言いならわされてきた、生活上の知恵や教訓が込められた言葉。
故事成語は、中国の古典に由来し、歴史的な事実や言い伝えをもとにつくられた言葉。
というように、先人の言語感覚や知恵が込められた言葉という認識でいましたが、今野さんが「切羽詰まる」を実際に見せてくださった時、言葉の意味がすとんと胸に落ち、その衝撃に身が引き締まる思いがしました。
「切羽詰まる」とは、物事がさしせまってどうにも切り抜けられなくなることや、追いつめられて身動きがとれなくなることを意味します。
「切羽詰まる」の「切羽」は、日本刀の部品の一部で日本刀の鍔(つば)の両面に添える薄い楕円形の金物のことです。これが詰まると刀が抜けなくなります。
日本刀同士で立ち会って、刀の根元ぎりぎりの切羽の部分で相手の刀を受けている状態、そのような状態が切羽詰った状態です。追い詰められた時に「切羽」が詰まると、逃げることも刀を抜くことも出来なくなるため、もうどうにもならなくなるといった意味となったそうです。
その意味が、会場に響く「刀」と「切羽」の音とともに心に残っています。ずっと刀を愛し続けてきた人の言葉はずっしりと重いものでした。
単刀直入(たんとうちょくにゅう)、反りが合わない(そりがあわない)、鍔迫り合い(つばぜりあい)、鎬を削る(しのぎをけずる)、相鎚を打つ(あいづちをうつ)、急刃凌ぎ(きゅうばしのぎ)など、刀に関わる言葉が他にもたくさんあります。
美術品としての刀から生まれた言葉にふれたこの感動を、子ども達にも伝えていきたいと思います。