仕事でアメリカ人に「わびさび」説明(汗)
Sep
10
仕事でアメリカ人クリエーターたちに「わびさび」について説明しなければならない機会がありました。
アメリカの美といえば華やかで賑やかな、言ってみれば非常に分かりやすいものが多いので、「不完全さ(Imperfection)」から感じる美を説明するのは結構大変でした。
「不完全なのに美しいってどういうこと?」――来ました。本当、なぜ不完全なのに心惹かれるのでしょうね。
松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」が名作と言われる理由などを一緒に話し合ってみたりもしましたが、やはりもっと直接的な説明の方が良さそうです汗
例えば画家のゴッホ。
皆が惹かれるのは、もちろん第一は作品の素晴らしさゆえですが、彼の最大の願い――作品が認められること――が死ぬまで叶わなかったことにもあるのではないでしょうか。
「彼の貧しく悲しい“不完全な”人生に、なぜ私たちは惹き付けられるのでしょう」「皆が憧れるような、富や名声を手にした人生ではなかったゴッホに」。ここでようやく皆の顔が当惑から納得に変わりました。
若い人々がこのImperfectionの表現を取り入れている例も取り上げました。Netflexのリアリティーショー「Motel Makeover」です。この番組では2人のカナダ人女性が人気ホテルを誕生させるまでの過程を追っているのですが、彼女らがロビーに飾ったネオンサインが「Wish you were here(あなたがここにいたらいいのに)」(上写真)でした。
あえて「足りないもの」を主張するこのネオンサインを背景に宿泊客が写真を撮った時、そしてそれを大切な誰かとシェアした時、単なる写真にほのかな寂寥が宿ります。「あなたがここにいたら…」――これは「わびさび」のモダンな活用法と言ってもいいかもしれません。
9/4「インドの集団免疫獲得に思う」
https://jp.bloguru.com/RuCommunications/414493/2021-09-04
8/17「再びマスクのラスベガス」
https://jp.bloguru.com/RuCommunications/412869/2021-08-17
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猪股るー:広告&翻訳代理店「Ru Communications有限会社」代表。広告代理店のコピーライターを経て、『るるぶ』『三都物語』などの編集者、女性向け情報誌『アヴァンティ』副編集長に。著書に日本植民地時代を生きた台湾のお年寄りを取材した『愛する日本の孫たちへ』(桜の花出版)、韓国で発売された日本語教材『チョロムンイルボノロマルハジャ(今時の日本語で話そう)』(サラミン出版)などがある。現在はアメリカ在住。
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