泣きながら会いに来た人々(レスキューの話)
Jan
29
愛犬バクスター君が亡くなってもうすぐ2年です。大丈夫になってきた?ーーイエスとも言えますし、ノーとも言えます。先日、夜、一人で車を運転しながら「バクスター!」と大きな声をあげてみたら、なんだかバクスターと周波数が合ったように思えました。それで家に着くまで20分間、ずっと「バクスター!バクスター!」と叫んでみました(狂気?)。
義姉の愛犬は亡くなった後、そのまんまの姿で空の雲になって出てきました。まさか思い込みでは?と思ったのですが、雲を写した写真を見せてもらったら、まさに彼女の愛犬そのものでした。
そんな写真を見ると、「バクスター!あなたはいつ雲になって私を喜ばせてくれるんですか?」と聞きたくなります。しかしそう思った瞬間、どこからともなく「難易度が高い...練習してるけど無理かも」という情けない声が聞こえた気がしました。
と、2年経っても未だナメクジのようにしゃんとしない私ですが、公営シェルターでパニックになっている犬を自宅に一時避難させるボランティアは「バクスター活動」として続けています。バクスターがくれた愛を他の不幸な境遇の犬に分けることができたら...。
この公営シェルターのフォスターボランティアではSNSなどで預かった犬の宣伝をし、ポテンシャルアダプターと積極的に会っていかなければなりません。これまで何人もの人が犬を見にやって来ましたが、その多くの人たちに共通の一点がありました。それは、ほとんどの人が「泣きながら会いにくる」ということでした。
かつて犬を飼い、犬が大好きで、犬と暮らしたい、でももう二度と犬を亡くす苦しみは味わいたくないと何年間も迷った後の第一歩。
最後に会った方とは公園の丘の上で待ち合わせました。遠くから彼女がやって来るのが見えます。お互いに目に涙を溜めながら。まだ何も言葉を交わしていないけれど、だけど涙ぐみながら「初めまして」。彼女の目を見ただけで、彼女の苦しみが分かりました。「4年経ちました。ようやく心の準備ができました」。そう言いながら、亡くなった愛犬の写真を見せてくれました。
この「バクスター活動」を通じて、私は意外にも、同じ悲しみを持つ人たちと数多く出会いました。会った瞬間に、涙ぐみ、お互いに肩を叩き合うような、そんな不思議な体験こそ、雲が作れなかったバクスターからの最大の贈り物かもしれません。