134. 不育症の治療の原点は約60年前の精神療法にあり
Jul
23
1800年代の後半の米国産科学教科書の中に、すでに、
極度な不安、悲しみ、怒りという感情が、
流産の 習 慣 性 と密接に関係している
ということが記載されています。
そんな背景の中、
世界で初めて、
アメリカのジェバート医師らが、1949年に
3回以上の連続流産を 「習慣流産と定義」 し、
1954年に
「ストレスと習慣流産」
という題の論文を発表しました。
この論文が、
不育症(2回以上の連続流産・死産)の治療の原点なのです。
この論文において、
32人の習慣流産婦人が調査されており、
その19%が神経症と診断されています。
そして、
世界で初めて、
その後の流産予防のための治療として、
「 支 持 的 精 神 療 法 」
が行われ、
92%が生児を獲得したと報告されています。
その27年後、
1981年に、
原因不明の習慣流産患者さんに対する
白血球成分輸血療法と夫リンパ球皮内免疫療法
の有効性が
イギリスのテイラー医師らとアメリカのビアー医師らから
それぞれ発表されました。
この治療法は、
移植免疫学からの理論的根拠から開発されたものです。
さらにその2年後、
1983年に、
抗リン脂質抗体陽性の習慣流産患者さんに対しては
低用量アスピリンとステロイドの併用療法が有効であると、
ニュージーランドのルッベ医師らから発表されました。
上記の三つの大きな研究成果が、
今日の
精神・薬物療法、
夫リンパ球免疫療法、
ピシバニール免疫療法、
大量ガンマーグロブリン療法、
ステロイド療法、
低用量アスピリン療法、
ヘパリン療法
の理論的原点となっているのです。