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- 197. 「情理」 と、「根拠(エビデンス)に基づく医療」 との類似性
ある法曹界の方からお聞きしたお話です。
裁判は法に基づいて、判決が下されます。
しかし、
むかしは、
たとえば、江戸時代では、
大岡裁きのように、
「情理」 をもって、
判決が下されたようです。
「情理」 とは、
人情・事情も加味した道理(法) のことだそうです。
「情理」 とは、
人間味があって
特に、むかしの日本人には支持されたようです。
医学界にも、
「情理」と類似した定義が、近年、注目され、
支持されてきています。
「根拠(エビデンス)に基づく医療」
という概念です。
1991年、カナダのマックマスター大学の
ガヤット教授(一般内科医)により、
提唱されました。
「根拠(エビデンス)に基づく医療」 とは、
現時点で最も信頼できる
医療情報(根拠=エビデンス)を踏まえて、
個々の患者さんにとって最善の治療を行う、
という考えです。
よく誤解されていますが、
根拠(エビデンス)を実践することではありません。
治療ガイドラインに基づく医療をすることでもありません。
もちろん、根拠(エビデンス)は根本的に重要ですが、
「根拠(エビデンス)に基づく医療」 を実践するためには、
(1) 根拠(エビデンス)
(2) 患者さんの臨床症状
(3) 患者さんの価値感
(4) 医療者の臨床経験
の4つが考慮されるべきとされています。
(Haynes RB, BMJ 2002; 324: 1350)
根拠(エビデンス)が医療界の法と考えると、
法だけを適用するのではなく、
事情(臨床症状)と、
人情(価値感)を加味した
「情理」 という概念は、
「根拠(エビデンス)に基づく医療」
という概念と、
よく似ていますよね。
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