248. 流産した原因を知ることは自己満足のためではありません
Oct
7
その原因を知りたいと思ったら、
流産手術の時に
「流産絨毛の染色体検査」 を受ければ、
流産の原因がわかります。
検査を受ける利点は、
1)結果が異常だったら、
運命を全うした流産であったことがわかり、
受け入れてあげるしかないことがわかります。
その異常の多くは、染色体の数の異常ですから、
たまたまの偶然による異常なのです。
ご夫婦から遺伝している異常は、
染色体の構造の異常ですが、
本当に少ないですよ。
結果が正常だったら、
子宮内環境異常による流産ですから、
助けられた赤ちゃんであったと判断でき、
すでに治療していたら、
その治療法では効果がなかったことがわかります。
ですから、
別の原因を見つけて、
違う治療法が必要であることがわかるのです。
2)また、どうして流産したのか、
はっきりと納得できますので、
必要以上の恐怖心がなくなり、
次の妊娠への覚悟と対策ができるのです。
検査を受ける欠点は、
1)自費の検査ですから、費用が高額です。
一般的に、5万~10万円かかります。
2)結果が異常であっても、
染色体の異常については治療できません。
偶然の異常による流産は、
妊娠の10~20%に起こります。
頻度は少ないですが、
ご夫婦からの遺伝の異常による流産は、
妊娠の最大約50%に起こります。
ただ、現実的には、
どの病院、どのクリニックでも
希望すれば検査ができるわけではありません。
検査を希望されるならば、
事前にお問い合わせください。
当院では、開院して5年間に、
215件の流産手術を行いました。
そのうちの157件(73%)の方が
「流産絨毛の染色体検査」 を希望されました。
157件中1件のみが培養不良で結果がでませんでしたが、
156件中108件(69%)が染色体異常でした。
また、手術しないで、
自宅で子宮内容物が排出し、
流産絨毛の染色体検査を希望された方が21件ありました。
21件中3件が培養不良で結果がでませんでしたが、
21件中13件(約62%)に異常が認められました。
流産した原因を知ることは
ある意味で、勇気がいることです。
決して、自己満足のためではありません。
納得して、
前へ進むための検査であると、
私は考えています。
ブログNo.167と、No.32も参考にしてください。