399. 受精卵の遺伝子治療
Nov
23
有無を検査できる
着床前スクリーニング(アレイCGH法等)
により、
移植前に、
受精卵の全染色体(遺伝子の塊)の
検査が可能になってきています。
この検査は、
卵の良し悪しを選ぶための
精度の高い検査ですが、
卵そのものの治療を目指す
「ヒト受精卵の遺伝子改変」 の試みが
2015年4月に中国から発表されました。
「命の聖域」 にまで踏み込んだ研究です。
超えてはいけない一線と考えられるため、
欧米の主要医学誌は発表を拒否しましたが、
中国の医学誌が発表したのです。
その内容は、
血液の病気の原因となる
遺伝子の異常の部分を、
正常な遺伝子に置き換えることを
目的としています。
86個のヒト受精卵の遺伝子を改変し、
そのうちの54個が分析できたとのこと。
その結果、
54個中4個だけが改変できましたが、
それらが分割した細胞には
遺伝子が正常化していないものもあり、
また、
目的とは別領域の遺伝子が
変化してしまった受精卵も多く、
あらためて、
遺伝子治療の問題点が
明らかにされました。
しかし、この秋、
英科学者が
不妊症研究のため、
受精卵の遺伝子改変の研究を
計画していることが判明しました。
過去を振り返ってみると、
1978年(約37年前)の、
試験管ベビーと呼ばれた体外受精児の
出産は衝撃的でした。
そのニュースは英国からでした。
現在では、世界中で約400万人の子供が
体外受精によって誕生している
と言われています。
日本では、2012年時点で
27人に1人が体外受精児として
誕生しています。
ヒト受精卵の遺伝子治療についても、
生命倫理を十分議論したうえで、
また、十分な規制のなかで、
進歩していくのかもしれません。