705. アスピリン、ヘパリン治療が危険な人
Dec
21
消化管出血もある人が、
当院を受診されました。
抗リン脂質抗体が陽性であり、
他院でアスピリン治療を受けていましたが、
消化管出血がひどく、
妊娠の継続ができなかった人でした。
このような場合、当院では、
従来の抗凝固治療はお勧めしません。
水分をこまめに一日1.5リットル以上
飲んで、
体を冷やさず、
赤ちゃん関係のことはできるだけ
考えないようにするために
いつもの忙しい生活を維持して、
体をよく動かす生活を
指導しています。
場合により、
精神安定剤を頓服で少量
服用するよう
お話ししています。
その医学的根拠として、
最近の多くの研究報告では、
抗リン脂質抗体が強陽性でないならば、
ヘパリン治療は必要なく、
アスピリン単独治療で十分という内容です。
私も同じ見解です。
さらに、
特殊な研究報告ですが、
抗リン脂質抗体のアスピリン治療を
世界で最初に報告したニュージーランド
(Lubbe, WF, et al. : Lancet, 1:1361, 1983)
から、
抗リン脂質抗体が陽性の患者さんに
アスピリン治療しなくても、
十分な生活指導と
妊娠中のこまめな医学的サポート
(支持的精神療法)により、
アスピリン治療患者さんと同程度の
高い治療成績が得られたことが
報告されています。
(Pattison, NS, et al. :
Am J Obstet Gynecol, 183:1008, 2000)