55. 流産手術の回数6回以上は難治性不育症
Sep
17
抗リン脂質抗体症候群であったとします。
その治療として、
ヘパリン、アスピリン等の世界的標準治療法をしたとします。
その治療内容としては、最善であったとします。
しかし、過去に流産手術を6回以上受けていた場合は、
5回以下に比べて、
その成功率は非常に低いものとなります。
リンパ球免疫療法も含めた、
その他の一般的に行われている治療法についても、
同じ結果です。
すべての不育症治療において、
その成功率を左右する最も大きな因子は、
ご夫婦の年齢ではなく(45歳以下の場合)、
過去に受けた流産手術の回数
であると考えています。
このことは、
2001年、シカゴで開催された
アメリカ生殖免疫学会の特別講演で発表しました。
なぜ、そうなるのかについては、
三つの仮説を立てています。
一つ目は、
流産手術による、
正常の子宮内膜組織への度重なるダメージ〔炎症〕です。
内膜組織が荒れるというイメージです。
二つ目は、
流産手術による、
ご自身でも制御できない、
「妊娠イコール流産」 という反射的ストレスです。
これにより子宮内膜内のらせん動脈が
萎縮してしまうと考えます。
三つ目は、
流産手術とは無関係ですが、
染色体レベルではなく、
何らかの遺伝子の異常の存在です。
一つ目と二つ目は、
強力な子宮内膜環境の再構築治療と、
強力な薬物療法を含めた精神療法により、
改善すると確信しています。
しかし、三つ目は、
不育症の治療としては不可能です。
その場合は、
赤ちゃんを抱きしめること以外の、
ご夫婦のきずなの大切さ、
ご夫婦のいたわりの気持ちの大切さ、
今までのいっしょに頑張ってきた時間の尊さ、
人生はわずか80年ちょっと、
人生は結果ではなく、
その日々の過程に大きな意味がある
という哲学、
等を感じ取っていただけるように、
ただただ、祈るような気持ちで、
今後の人生が、
より豊かでありますようにと、
お送りしています。
Posted at 2009-10-13 08:09
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