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- 夏の集中学習法 3 「右脳を上手に使う」 (カーネル笠井)
先日、テレビの番組で版画家の棟方志功さんが生前に制作に取り組んでいる姿が紹介されていました。かなりの近視なのでしょう。版画からわずか10cm足らずの位置に顔を置き、四つんばいになって彫っていました。右手でさかんに彫刻刀を動かし、左手もそれに連動してしっかりと版画と体を固定し、むしろ体全体で彫っているという感じでした。人間が1つのことにもっとも集中しているときの姿で、見事なものでした。
子供達は時々、左手をぶらりと下げたままの姿勢で、右手だけで漢字の練習をしたり算数の問題を解いているときがあります。ある意味ではとてもリラックスできている感じがします。それに、言語や算数の問題を考えるのは左脳の仕事ですから右手が動いていれば問題がないようにも思えます。しかし、本気で漢字を覚えたり、難しい算数の問題を解こうとするときには自然と体全体がそのことに立ち向かう姿勢になるはずです。ですからそんなときには左手が遊んでいるはずがないのです。実際、左手をぶらりとさせていることが多い子供でも、時々その左手の指が問題文の大事な部分を指差しながら右手で式を書いたり、計算をしている姿を目にします。やはり、真剣に問題に立ち向かっているときには左手も遊んではいません。
少し前、問題を解くときやまとめをするときに図や表に表しながらすると、やり方を忘れてしまっても、その図や表を思い出し、解けるチャンスができるという方法を紹介しました。左脳が忘れてしまっても右脳がそのときの図や表を覚えてくれていたのです。ですから、問題を解くときには必ず右脳もまき込んで、体全体で問題に取り組まなければなりません。受験生にとって、左手を遊ばせておくなどとはもっての他なのです。
高校生のころ“にぎっているだけで学習の効果が上がる”という理由で、固いクルミの実を持ち歩き、勉強するときにはこれを左手ににぎったままする、なんてことが流行ったことがあります。今考えてみると、こうすれば左手の手のひらを刺激することにより右脳も働かせることができるという意味では、あながち気休めではなく理屈にあったことだったのですね。
小学生だとまだまだ右脳と左脳を思うように扱えないことがほとんどではないでしょうか。もし、頭の中が何となくバラバラで、集中して勉強に取り組めないようなことが多い人は、クルミをにぎったまま勉強するなんて方法も役に立つかも知れません。思い当たる人はこんな方法も試してみて下さい。もしかすると夏休み明けには、集中力の達人になっているかも知れません。
6年生の夏休み中の学習の成果は、翌春の受験の結果にとても大きな影響を与えます。しかし頑張りすぎて燃え尽きるにはまだ早過ぎる、難しい時期でもあるのです。ですから、勉強はだらだらと長時間やらず、集中して短時間ですますことが一番大切になります。そのためにはいつも右手のすぐ近くに左手を置いて、体全体で問題に取り組む姿勢が必要になります。
カーネル笠井
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