先日、教室に置いてあった左利き用のハサミを使ってみてびっくりしました。紙が真っ直ぐに切れないのです。ゆっくりと真っ直ぐに切ろうとしても、切り口がどうしてもギザギザになってしまい、挙げ句の果てにはあらぬ方向に切り進んで行ってしまうのでした。ハサミの刃の山が逆にできていて、上下を逆に重ねてあるだけでこんなにも使いずらいのです。これを体験して、ほとんどが右利き用に作られている道具や機械を、左利きの人が使いこなす大変さが良くわかりました。すると、文字に関しては更に大変なのではないでしょうか。左利き用の文字なんてないのですから。
以前指導していた生徒に、四天王寺学園のイギリス校を志望していた子がいました。合格したら中・高の6年間をイギリスに留学し、その国の子供達と一緒に過すことになります。いったんイギリスに行くと、中学2年の夏休みまでは帰国できないのだそうです。その理由は、やはりほとんどの子がホームシックになり、中学1年生の夏休みに帰国すると、もうイギリスには戻ってこなくなってしまうからだそうです。ところが高校を卒業すると、イギリスの大学に入ったり、会社に就職したり、結婚をしたりで、今度は約半数近くの子供が日本にはもうもどってこなくなってしまうそうです。自分の子供にはそんな教育は全く想像もしていなかった私ですが、やはり英語力と国際性も身につけて欲しいという親の願いのようで、何となく理解できました。
そんな学校の受験を目指していたI君は、受験の2ヵ月前になってブランコから1回転して転落し、右うでを骨折するという大けがをしてしまいました。そして全治2ヵ月との診断が下されたのです。まだ合格するだけの力がなかったためお母さんは落胆されていました。しかし、本人もお母さんもあきらめ切れなかったのです。そこで、問題文を読むなどお母さんができる限り手伝うということで受験勉強を続けることになりました。字も左手で書けるように少しずつ練習することになりました。初めはぎこちなく書いていたI君。左手で書けるようになるなんてことは至難の業とも思えました。ところが1週間後、I君は意外なほどスラスラと書ける様になっていたのです。そして、見事合格することができたのです。
この頃、私立の小学校の多くでは、情操教育に問題をきたすとの観点から、文字を書く左利きを右利きに変えることを否定していたのです。しかし私が見聞きしたケースでは意外と簡単に変更することができているのです。そして、苦労する目安は約1週間です。
以前私は、箸の持ち方が子供みたいだと言われていました。しかし、何の不便もなく、むしろこの方がうまく箸が扱えると考えていました。そんなある日、何気なく箸を正しい持ち方に変えてみようかなと思い立ったのです。そして1日目、やはり何かが変で食事の味もちがって感じられました。でもあきらめずに2日目、何とかなりそうだなと感じました。そして3日目、無意識のうちにもう正しい持ち方になっていたのです。人間の体というものは不思議なものです。無理かなと思えることが意外と簡単に変えられるのですから。
カーネル笠井
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