盲目セーラ―岩本光弘さんのセミナー
Nov
20
岩本先生とアシスタントのゆきローキーさん。
13歳から徐々に視力を失い始め16歳で全盲に。当時の衝撃や心の動揺がいかばかりであったかは、想像を絶するものがあります。お話を伺うに野球などスポーツをさかんにやられていたようで、徐々に球を拾えなくなる、打てなくなるのでチームメイトに責められる。でも「見えなくなっている」とは言えなかったそうです。しかし、全盲になり親にもようやく打ち明けます。苦しみ、親を恨んだこともあったそう。一度は死ぬことさえ考え橋の欄干に足をかけるが力が入らない。何度かけても入らない。休憩しようと横になった時、岩本さんを慕っていた他界されていた叔父さんの声が聞こえたそうです。「お前が目が見えなくても頑張って生きている姿を見てみたい」そこから「見えない自分にも、生きている意味があるのかもしれない」という考えに少しずつ変わっていったそうです。いつでも褒め支えてくれたお母様やご姉弟には感謝しているとおっしゃっていました。
岩本さんは、二年前にアナウンサーの辛坊治郎氏と共に茨城県いわき市から出発、太平洋横断に挑戦しました。メディアの影響もあり5000人に見送られるも、六日目にまさかの鯨との衝突。船は沈没、二人は自衛隊に命からがら救助されました。このようなご自身の経験から岩本さんが勧める人生を良くする五つのヒントには、Direction(方向、目標)・ Relationship(人との繋がり)・Environment(環境)・ Action(行動)・ Meaning(生きる意味)があります。
夢に向かって進むにあたり時には方向転換も必要。セーリングでは、無理やりに自分の進みたい方向に舵を取ろうとするとオートパイロットが壊れることもあると言います。太平洋横断の時には、台風に追われ南へ下ることを余儀なくされました。人間関係で大切なことは、Dream Killer(そんな夢はばかげている、出来っこないと言う人)ではなく、Dream Supporter(それ面白そうだね、やってみればと言ってくれる人)を探そう。親だったら子供にはDream Supporterになってあげよう。たとえ失敗するのが目に見えていたしても。
夢を実現させるためには、常にアンテナを張っていることも重要だし、タイミングというのもある。岩本さんが、ヨットとマラソンで世界一周したタレントの間寛平を支えたマネージャー比企氏、およびその時に使ったヨット、エオラスと出会うことが出来たのは、彼が日頃ヨット雑誌「舵」をボランティアの人に音訳してもらっていたことや記事を寄せたこともあったことなどがきっかけでした。全盲者と健常者の二人セーリングとしては世界初の試みが実現したのです。
日本では、年間一万人もの自殺者がいると言われています。それらの人達が置かれている環境には様々なものがあると思いますが、環境を変えることは難しい。しかし、自分を変えることは出来る。幸せは自分の心がもたらしてくれるもの、そう考えることができたら。勇気を出して最初の一歩を踏み出してみよう。岩本さんも、初めて杖をついて外に出た時の恐怖を今でも覚えていると言います。
岩本さんのセーリング活動を支える団体See What I Sea
岩本さんのブログ
岩本指鍼術療法(指でツボを刺激することで全身の気の流れを促進)
絶望的な状況でも、光を見つけることが出来る。全盲セーラーの岩本さんの言葉が多くの人たちに届きますように。