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牧師、バイカー、鮨職人として シェア from LA

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牧師、バイカー、鮨職人として ...
第5話「無料葬式」

    まだ教会を始めたばかりで宗教法人を取得する前のこと。出来たばかりの教会の宣伝の意味も込めて地元の日系新聞で奏楽者やボランティアを募集したことがあった。で、かかって来た電話が、「あの~、ミッキー先生でいらっしゃいますかぁ?」と頼りない感じの日本人の初老のオッサンの声。「はい。そうですけど。。」と応じると、「あの~、ボクの母さんが94歳で先日 死んだんですけどぉ、先生、すいませんがタダで葬式してもらえませんかね~。ボクぅ、お金ないんです。実はホームレスで仕事もなくて、今は彼女の家に転がり込んでる次第でして。。。」 教会を運営してると こんなのばっか。以前の私ならともかく今はイエスさまにお仕えする身。やらな しゃーない。場所を聞いたところ、何と往復100キロはある。もちろんガソリン代もこっち持ち。

聞いたところ、すでに火葬して骨壺だけあり、LAの とある場所で埋葬される手続きなっているのだが、埋葬の際に葬式を行い、その後すぐにその骨壺を”埋める“とのこと。と言うことは野外であり、夏の猛暑の中、私は真っ黒のガウンを着て炎天下で司式せねばならない。でもブツブツぼやくことは控え、神を信頼した。なぜなら、こんな”アホ“なことは神の御心でなけれ起きないからだ。そして、これが私にとって初めての葬式の奉仕となった。奏楽用のMidiキーボードとその台、聖書やガウンを車に積み込み、祈りつつ現場に向かい初めて“オッサン“と対面。もちろん彼はキリスト者ではなく、彼の母が教会へ通っていた時に”運転手“をしてたので礼拝に出ていただけとのこと。

列席者は”オッサン”と彼の若い彼女と彼女のお姉さん、奉仕を手伝ってくれた私の教会のメンバーの男性と私の5人だけ。墓地は東京ドームが数個入るほどの巨大な場所。雲一つない真夏の青空。水を持ってくるのを忘れ、喉がカラカラになるなかキーボードを設置し「アメージンググレース」を全員で賛美。続いて詩篇23篇の朗読と説教、ほどなく終了した。「先生、ありがとうございました。金を工面したら真っ先に献金します。」などと言っていたが、彼が教会に来ることは一度もなかった。よくある話だ。

何でこんな事が起こったのかとしばらく思い巡らしていたが、数か月後にその理由がはっきりした。教会の法人化である。アメリカで教会を法人化するには、まずビジネスライセンスとNPO(非営利団体)の許可をもらう。それは容易いが問題は献金に関する「非課税認可」だ。認可するのは市や州政府ではなくIRS(国税庁)であり、首都ワシントンDCにある連邦政府だ。最近の日本でもそうだが、NPOの休眠枠がヤクザや詐欺師に使われることが多く、今は認可を得るのが相当難しい。こちらが正当な教会であることを証明させるために様々な質問があったが、何とそのうちの一つが「葬式の経験の有無」であった。まだある。その半年後、ある方から大きな葬式を依頼されたが、”オッサンの母さん”の葬式時の式順などが役立ち大いに感謝された。全てに意味があった。アホではなく収穫となった。

「こういうわけですから、兄弟たち。
 主が来られる時まで耐え忍びなさい。見なさい。
 農夫は、大地の貴重な実りを、秋の雨や春の雨が降るまで、
 耐え忍んで待っています。」  ヤコブの手紙5章7節

葬式は無事に行われ、教会の法人化も出来たが、まだ大きな仕事が残っている。”オッサン”の救いだ。忍耐しつつ祈る日々は続く。貴重な実りを期待しつつ。     5-16-2019

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