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牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA

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第55話 ロン追悼 ⑤「アメージング・グレース 」  

  ロンを巡る長い金曜の夜が過ぎ明くる朝を迎えた。当時、私は土曜の午後に板場に立っていたので出勤したが足取りは重かった。ここ一年以上にわたり従業員たちは固唾を飲んでロンと道子さんを見守って来た。道子さんと皆に何と声をかけて良い分からなかった。私が祈ってきたことは店では周知の事実だが彼は癒されることなく逝ってしまった。「神さまは何で助けてくれなかったんだ!?」などと責められるのを覚悟した。

店に入るといきなりマネージャーをしてる女の子と出会った。「あ、ミッキーさん!昨日はお疲れ様でした!」そう言われ何のことかと思ったら、続いて「道子さんがありがとう!って言ってましたよ! 昨日ロンに祈ってあげたんですよね? 道子さんはとても喜んでましたよ。それでお礼を言っておいてと言われたんです!」 「え?!道子さんが?!ホンマに??」と我が耳を疑った。大事な夫を失ったにもかかわらず、彼女が感謝してくれるとは。。。

聞くところによると、昨夜は金曜で閉店したのが午前12時頃で、マネージャーである彼女は片付けのほかに売り上げの計算を済ませて店に鍵を閉めたのが午前1時頃だったが、そこから道子さんの家へ直行したところロンがちょうど臨終でほどなく亡くなったとのこと。安らかな最期を見届けることが出来、「皆 ミッキーさんに感謝してました」と言う。何と言う神の憐みだろうか! 無力な私は何も出来ず、ロンは癒されず、むしろ私は最後の時に大声で皆に𠮟りつけたというのに。これは正にアメージング・グレース。主は奇蹟によらず思いもかけない方法で栄光を現されたと知った瞬間だった。

それでもなお、本当にそうなのか疑心暗鬼だったが、道子さんと後日会った際にいきなり、「ミッキーさん、本当にありがとう!」と言われ又しても面食らった。「最後に彼があんなに安らかに旅立てるなんて本当に良かった。本当にミッキーさんに来てもらえて良かったわ!」と喜ばれ、こちらは「あ、はぁ、そうですか...」などと答えるのが精一杯だった。他方、店の従業員らは、死んだも同然のロンが力強く私の手を握り返した話を聞いて驚いていた。そして皆の間で厳粛な空気が流れていた。確かに神は、イエスを信じない人々に対して明確に御業を現わされたのだ。

「それは、神がその愛する方によって私たちに与えてくださった
 恵みの栄光が、褒め称えられるためです。」                                
              エペソ人への手紙1章6節
10-17-2021   つづく。。。

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