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知ることで見えてくる

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知ることで見えてくる
以前、「石井式」という幼児教育の現場にいたことがあります。1~2歳児から漢字を見せて読ませていく独自の方式は、幼稚園の先生などからは「幼児に漢字を読ませるなんて」と非難されがちでしたが、そのコンセプトである「単語を知っていることで、それを見たときに認識でき、感じることができるようになる」というのは、よく分析されたものだと今も常々思います。

例えば「わびさび」という単語は日本人にも分かりづらいものですが、この単語を知ったことで、それがどういうものなのか少なくとも想像ができるようになります。うまくいけば京都の石庭を見たときに、ぼんやり感じていた「わびさび」が急激に明確になって心にストンと落ちてくるかもしれません。逆にこの単語を知らなければ、気付かずに通り過ぎてしまうことでしょう。

私はかつてソウルの西江大学韓国語研究院で学びましたが、外国語を学ぶときはよく、「突然見える」ならぬ「突然聞こえる」という体験をするものです。「xxx」という単語は全く聞こえたことがなかった単語で、「こんなの実際に使うのか」と思うほどだったのに、実際に習ってみると、いろいろなところでその単語が飛び交っていることに急に気付くのです。

私の中で一番衝撃が大きかったのは、犬を飼い始めた後の世界の変わりようでした。仕事ばかりで、ビルの立ち並ぶオフィス街を忙しく歩いていた頃、私の目にはどのような動物も見えていませんでした。存在しないと思っていたのです。それが、犬を飼い始めたら、自分の周りにいたモノクロの動物がカラー画像となり、生き生きと歩き始めました。あそこにも、ここにも犬や猫がいるし、空には鳥が飛んでいた!

見える前と見えた後は、まるで違う次元の世界のように感じるし、こんなに今生き生きと見えているものが何故昨日まで全く見えなかったのだろうと不思議になります。

まだ今は見えていないものがたくさんあると思います。

周囲の人々と私は一見同じ次元で生きているように見えても、実は見えているものと聞こえているものが違う異次元にいます。だから一瞬聞いて驚くような誰かの概念も、すぐにダメだ、こうだと決めつけるわけにはいきません。そしてより多くの次元にチャンネルを合わせるには、より多くの概念やモノ、コトに触れていかなければならないと思うのです。

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