極貧時代に買えなかったもの
Jan
20
13年前、渡米して最初にした仕事は、友人からの紹介で受けたterranovaという自然派コスメブランドの棚卸でした。といっても大した仕事ではありません。指定された小売店に行って、棚の製品を整え、数を数えて報告するだけ…1週間に1回の出動な上、30分もあれば済むので稼ごうにも稼げませんでした。量としては、「仕事」とは言えないかもしれませんね。
あの頃、応募した企業は約1000社。全て書類で落とされ、1社だけ、面接まで行きましたがそこもダメでした。
追い詰められていました。金銭的にも孤独にも。
それでせめてこの30分の仕事だけでも丁寧にしようと、毎回心を込めて棚の整理をしていました。terranovaは海や雨、土など自然がモチーフのさまざまな香水を扱っていたので、毎回、キラキラ輝くボトルから一つ選び、サンプルをつけて帰るのが小さな幸せでした。
どれもうっとりするような素敵な香りでしたが、わずか20ドルの香水も当時の私に買えるわけがなく。
あれから色々なことがあり、自分の会社を再びアメリカでも立ち上げ、幸い事業は安定しています。
そこで今月、ふと思い出したのがterranovaです。サイトを開いて、あの時買えなかった20ドルの香水を買ってみました。プルメリアの香り。www.terranovabody.com
夫が「宅配が届いたよ」というので、「これは私へのご褒美なんだよ」と言いながら箱を開けました――手の平に乗った小さなボトルは、不思議とあの頃以上にキラキラ輝いて見えます。
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私とリチャードさんの対談もぜひお読みください。
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