38. NK細胞と不育症
Jun
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白血球のなかのリンパ球の一種です。
粘膜免疫という外界との最前線で、
侵入物を攻撃して排除する働きを持っています。
1985年頃より、正常妊娠とNK細胞との密接な関係が
明らかにされてきました。
1995年に、NK細胞活性が約40%以上の不育症患者さんは
それ以下の患者さんに比べて、流産危険率が約3倍高かった
という前方視的研究論文を、世界で初めて、
ランセットという世界トップレベルの医学誌に私は発表しております。
それ以降、
同様な研究結果が多くの研究者により発表されています。
また、リンパ球免疫療法と、その改良療法としての
ピシバニール免疫療法の治療効果は、
高いNK細胞活性を正常化することにより得られることを
示唆する論文も発表されています。
ところで、
NK細胞活性は、いろいろな因子により影響されます。
精神・神経系からの影響としては、
緊張状態からのアドレナリン分泌により高値となり、
反対に、うつ病では一般的に低値になると言われています。
しかし、ベトナム戦争からの帰還兵に限ったうつ病患者さんでは、
逆に高値であったことが報告されています。
ホルモン系からの影響としては、
正常妊娠では低値となっていきます。
それは妊娠性ステロイドとしてのエストロゲンの影響と
考えられています。プロラクチンは逆に高値へ作用すると
考えられています。
人為的な要因からも影響されています。
NK細胞活性は、採血管の種類と、
検体を測定するまでの保存温度条件と時間により
大きく変動します。
ですから、検査会社と十分条件設定をして検査しないと、
その検査値の信頼性が損なわれてしまうのです。
Posted at 2011-06-29 22:57
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