不育症の原因を検査して見つけ、
その原因に対して治療することが私たちの仕事です。
でも、
理想的な治療をしたとしても、
一回の妊娠につき、
約20%弱の赤ちゃんは流産という運命を背負った、
数週間だけのわずかな命だけをもらった
赤ちゃんなのです。
ですから、私と私のスタッフは、
病気を治すというより、
赤ちゃんのもらった寿命をまっとうしてもらえるように、
お手伝いさせていただいていると考えています。
「不育の人を看護する」 ことが最終的な目標なのです。
検査について不安があり、
治療についても、不安があり、
妊娠中には、恐れの感情と同居して、
日々を過ごされたことと思います。
そのときの支えになれるのは、
基本的には、夫であり、家族であり、不意仲間であり、
そして、主治医であると思います。
しかし最近では、
不育専門の助産師、看護師
が育ってきています。
最新の着床障害、不育症に関する専門知識を身につけ、
助産師、看護師として、ご本人と医師の間に入り、
各論的、個別的な相談、カウンセリングを、
看護という視点から
受け持っているのです。
それが、いわゆる
「支持的精神療法」 となっていると思っています。
その能力を最大限に発揮する場面のひとつとして、
不幸にも再度流産されたとき、
その原因分析よりなにより、
ご本人の心の隅に寄り添ってあげ、
流産手術前後の細心の心配りをし、
つらい現実を何とか乗り切っていただけるよう、
たとえ結果が悪くても、
少しでも納得していただけるよう、
夫と同様に、ときには夫以上に、
頼りになる存在になることができるのです。
この状況においては、医師は脇役でしかありません。
「不育を治す」
と同時に、また、ときにはそれ以上に
「不育の人を看護する」
ということが、非常に大切であると思います。
当院で流産手術をされた人ならば、
その違いを感じられたことと思います。
特にスタッフの助産師さんの看護には、
「看護の真髄」
を感じられたのではないでしょうか。
ただ、助産師ゆえに大きな壁を感じているようです。
できれば、
このブログをみられた人からの
助産師さんへの励ましのお言葉がいただけたならば、
どんなにか心強いことでしょう。
医師は治療、看護の一端を担っているにしかありませんから。
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Posted at 2009-10-23 01:33
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