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Search results for "#字扶桑"
  • つゆ草のねんねこ

    草の小籠に ふじ額いのつゆ草 ねんねこよ  沖まで きょうは浅瀬だな  ひかって ひかって  めにしみるな たんぽぽの 綿毛のふとんで ねんねこよ   風にねて 風にねて  ほっと ひとつ飛べばな 自在の夢のつぎつぎ ねんねこよ  鳥のねぐらの岩棚で  かえらぬ卵も  ねんこよ  お、おおおお ねん...
  • 貝と生まれて人に眠る

    烈しい防御の紀元から 薄いセルの瞳 ひとつ ほどけ くるぶしの夢から 身を這い出しわたしの五月の寝床で おまえを柩とするという 乱暴な五月の指先で わたしの舌が混紡にほどけ つややかな貝の 渦巻きをなぞると わたしの脚のあいだに 貝は眠り 世界の未明を るるる 僅か回した あれは明滅する烏 ゆらふら...
  • 阿比(あび)と阿千(あち)

    あの日 夕陽の阿比と ふたり 真っかな氷(シガ)コにとけて 何処まンで                                    何処まンでも ながれていった 阿比は 鬼ユリかげろうもえて 阿千は オヒメになりてえな 岸と岸の 真ん真んなかで ふたり 真っかな氷コになって 何処まンでも ...
  • 草冠川

    夏の蕚(うてな)が 揺れるたび 風は 梢にとまり カガヤキノイタダキデ よぞらを裂く マタタクカラユレナイ草 霧(き)れない野 カタコユリ 小舟の水尾は むらさきで打たれる 岸は水に コトリ ほどけて 瑠璃 さえずる まわるカガヤキ 草群がる川...
  • 樞(くるる)

    渚に消えた匂いを 林で愛しあう百葉箱の時限 テトテト テトテト 巻の円陣を抜け出す章が 朝霧と溶岩に見るいちめんの秒 うちあげられた窪みに 海胆は むらさきの宵宮 ワタシハ誰カ マダ誰モ居ナイ ワタ沁ミ出デ 月ニ光レバ 波がくれば 窪の底 揺らぐ音に 絡操(カラクリ) 鴨居は紅く 男が流れつく昔 *...
  • 南無狐狐

    夕べ荊原(ばらはら)は淋しいかと 狐にたずねる もみじの簪まだあるか 恋しければという道は コンと鳴けば 無明の甘さ 切って落とされる 村はずれは南無妙 南無狐狐 狐狐媽媽 南無媽媽 南無妙 媽媽狐狐 南無妙 南無媽媽 南無南無媽媽 南無妙 媽媽南無 南無妙 荊原を過ぎれば 石ノ上 看板の剥がれたペ...
  • 兕(けもの)たちの市

    法と月光を 踏み分けて 岩と星 兕(けもの)たちの市に 人買いはやってくる クローバーの群落ごとに あるいは早くも 兕の背に揺れて まだ誰も触れていない児は もぐらの仔どもらの上にいびきかく 木を組んで櫓をたてて 人買いは一晩中、酒をのんだり、手で頭を掻いたりしている あたたかい海霧(ガス)の匂いを...
  • 海霧の館

    イヌイという町で 「やあ海霧がでてきたな」 「おお そろそろ帰るとするか」 夕日が沈めば 船頭と網元が挨拶をした 兕(けもの)森で迷っても 「やあ海霧よ  帰るとするよ」 乾いた落ち葉が ぬれるところで耳にする 「きつねのぶどうはあったかい」 「さるのこしかけで寝てたのかい」 風に零して 男たちは笑...
  • 歴盗

    お前様につくってもらいたい お前様の好きなようにつくってもらいたい いつでもいいものがあれば そのいつを いつと決めるのがここではむつかしいのじゃ いつでもいい だれのものでもない どこにうまれおちようとも 天に爪先だてても滸呂裳(ころも) (モモンガが 飛ぶん とき モモンガで 在るん のです 神...
  • 反魂

    親指と人指し指のくらがりで ごろすけほうと ふくろうが鳴けば 浜のはずれの家から 精悍な男の影が岬へと歩いていく 三年目の秋 滸呂裳(コロモ)は死んだ おれは 何をするのだか考えちゃいなかった 流れ着いて 奇跡というのか たいした奇跡だった あいつは目が悪かった それで 何でもおれの思いが動けば ぼ...
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