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ムーンナイトセレナーデ (秋元)

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ムーンナイトセレナーデ (秋元...
  朝、昼、晩の寒暖の差が日を追うごとに増してきているようだ。ジャケットのボタンを留めようとして、街灯と街灯の狭間を照らすかすかな光にふと気づいて見上げた空に、思わずこちらから微笑み返したくなるように、月が満面の笑みを浮かべこちらを見ていた。

 微笑み返したくなった自分に滑稽さを感じて今度は吹き出したくなる始末。清廉な気持ちもまたたく間に消え去ってしまったが、背後にひかえるまたたく星といっしょに夜道を照らし、自分の後先左右とついてくる透明で柔らかな存在は、何かしら抱擁感と懐かしさを覚えるものだった。

 輝くばかりの朝日がやがてその姿を見せるとわかっていても、それまでの時間がとても長いと感じるときがある。つらいこと、悲しいこと、明日になればと願うときがある。布団にもぐりこんで眠ってしまうこともできず、ぼんやり窓の外をながめ、やがて空に浮かぶ星や月を眺めて慰撫された記憶がかすかに蘇る。反対に、楽しいキャンプの夜に眺めた満天の空は、明日への期待を倍加させてはくれなっかただろうか。そこにはやはりいっしょに月がどこかで微笑んでいた気がする。


  昨今、希望を無くした子供達の痛ましい事件が、大人のケースに隠れて新聞の隅に載ることが少なくない。胸のうちを誰にも打ち明けることもできず、うちひしがれた幼い心を思いやるに何ともせつなくやるせない。子供達には皆それぞれに眩しいばかりの未来が待っている。暗く方向を見失いがちな夜、光に溢れた明日を迎えるまでの間、常に傍を離れずに、微笑みながらそっと道を照らす、そんな存在としての大人のあり方が問われているのではないだろうか。 


 さてさて、清廉から感傷へと気持ちが移りかけてしまったが、受験生達の孤独もいよいよ募る時期である。この厳しさも子どもの成長にとって大切な経験だと信じている。がしかし、彼らを優しく受け止め、その後そっと背中を送り出す、そんな役割を誰かが担わなければならない。


 話がさらに飛び、月と言えば小説や音楽、映画のタイトルではとてもロマンテイックな響きだが、ムーンライテイング(moonlighting) と言うと、夜働くとか、第二の仕事といった意味だそうである。うーん、我々の仕事は月の下で働く夜がメインだ。急に悲哀が押し寄せる。が、それでもまた新しい一日がもうじきやってくる。きっと晴天だ。

           (秋元)
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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