「峠」という漢字は、日本で考え出されたそうです。
山の上りと下りの堺目だということがよく分かります。
峠といえば、恐ろしいお話がつきものですね。ひっそりとした峠に佇むと、魔界への入口が開いているような気分に陥ります。
それでは、ここで景望のむかしばなしをいたしましょう。
むかし、むかし。
ある峠の茶屋は、半夏生で覆われていました。
旅人は、この峠の茶屋を半夏生茶屋と呼んでいました。
半夏生茶屋の横には、道祖神が祭られています。
旅人は、道祖神に手を合わせてから、半夏生茶屋に立ち寄ります。
どんなに暑い日でも、この峠の半夏生茶屋の椅子に腰かけると、すっーと何処からともなく涼しい風が吹いて、ほっと一息できるのでした。
この半夏生茶屋の名物は【葛蓬】です。
半透明な葛饅頭の中に緑色の蓬餡が涼やかに包まれています。
蓬は、鬼が嫌う薬草でもあります。
半夏生茶屋の看板娘の名は、お千夏ちゃん。
元気な笑顔で旅人たちを迎え、送りだします。
過去の重荷を背負った人々が、峠に辿りついて、そこで旅の安全を願って道祖神に手を合わせ、半夏生茶屋で休憩し、また、先の見えない未来へと歩み出すのです。
今日も峠の半夏生茶屋は、満員御礼です。
とっぺんはらりのすっすっすっ。
<峠>
夏至から十一日目にあたる日から、五日間を「半夏生」といいます。
農作業がひと段落して、休憩を取った時期、また、毒草や大雨を用心した時期でもあります。
今日はちょうど一年の折り返し点です。
あらためて、一年の旅路の幸せと無事を祈りましょう。
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Posted at 2009-07-01 22:14
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Posted at 2009-07-02 10:44
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