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もの言う牧師のエッセー 再投稿

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第359話 西日本豪雨④「 神様のボート 」
 
   岡山県真備町の中心地から西に1・5キロほど離れた60世帯ほどの小山集落。7月7日の午前5時前頃、化粧品代理店を営む71歳の井川博之さんの自宅に流れ込んだ水は、じわじわと高さを増していき、ついに2階のベランダも浸水し、万事休す。 とその時、「お父さん、舟が来とるが!」と妻の久子さんが叫んだ。出窓の方を見ると、何と釣り船のような無人のボートがスーッと近づいて来ているではないか。「助け舟じゃ!」。すがる思いで夫婦は乗り込んだ。
 
空が明るくなってくると、顔見知りの住民たちが屋根の上や2階の窓枠につかまりながら、助けを求めていた。井川さん夫妻はボートに積んであった棒で水をかき、集落の家々を回りながら10人ほどを次々とボートに乗せ、みんなで洗濯ざおや木の枝を使って水をかきながら自宅から600メートルほどのところにある小高い丘を目指した。ボートは到着する直前に人数オーバーで転覆したが、駆けつけた人たちによって全員が救助された。
 
ボートに乗った73歳の女性は、自宅2階の窓枠にしがみついているところを助けられた。「あと2、3分遅かったら、だめじゃった。ボートが近づいて来たときは、神様に見えたわ」。ボートは井川さんの自宅の向かいにある自動車整備会社に数年間放置されていた廃船だった。「まさに、神様がくださった命の舟じゃったねえ」としみじみと振り返る井川さんを見て、
 
「わずか8人の人々が、この箱舟の中で、水を通って救われた。」  
              第一ぺテロの手紙3章20節、
 
という有名な「ノアの箱舟と大洪水」の逸話を思い出した。なおこの箱舟は、後に登場する救い主キリストを表し、水は彼に従うことを決心した者が受ける洗礼を表す。このたび“水を通って救われた人々”が、イエスを心から信じることを願いつつ、また、日本中で一人でも多くの人たちが“助け舟“であるイエスに救われることを祈る。      
2018-10-11

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