月曜日からル・マン入りして、感染症のために普段とは異なるスケジュール・段取りを経て、いよいよ金曜日まで終了した。 1人の男が「2020年の還暦歳男はル・マンにでようかなー?」 と、焼肉屋で冗談交じりの話から数年。 そこから、厳しいトレーニング、緻密なスケジュール、階段を上がり続けて、本当に今、世界3大レースであるル・マン24時間レースに、しかもアマチュアが乗ることのできる最速マシンLMP2クラスで、出場している。 楽な道ではなく、出場を控えた直前ギリギリまで色んなヒヤヒヤの連続が見てとれるが、周りの温かく強固なサポート、共に戦う2人の若いドライバーが速いだけでなく、ドライバーとして他人に敬意を払える、紳士的でかつフレンドリーな素晴らしい逸材であったことが本当に嬉しい。 山中氏がレースを初めてから、微力ながら長年そばで支えてきたつもりだが、このアマチュアドライバーとして最大最高の夢か結実したいま、1日、1時間、1分1秒が愛おしくて、明日を迎える事実が切なく感じる。 レーススケジュールは淡々と過ぎ行くものだから。 1人のレース屋としても、この名誉な一瞬を、この目にしかと焼き付けておきたい。 今日までのスケジュールをこなし、ふと力が抜けた瞬間に見せる表情は、やはり疲労などのストレスを感じさせる。 しかし、この尊くて厳しい階段を昇る決断を下したのはご本人の意思。 そして、とりあえずだが… 明日を迎えれば、その後どんなに苦しくても日曜日の14時30分には全てから一旦解放される。 願わくば、もしもレースの神が居るならば、どうかそのご加護が有らんことを願うばかりだ。 もうここまで来れば、無事を祈る事しかない。