ベネフィシャリー登録で大失敗!3年越しの相続!
Apr
19
よく、プロベートを避けるためにベネフィシャリー登録を利用するケースがありますが、これだったらプロベートの方が断然マシ、という最悪なケース。
アメリカの大手上場証券会社の年金口座 (IRA) や銀行口座を持つ米国居住の日本人が他界。登録されていたベネフィシャリー(受取人)は日本居住の妹。その妹はご高齢で認知症。妹の後見人からご依頼をいただき弊社で手続き開始が2021年の3月。
ちなみに、この方が他界されたのは2019年11月でしたが、弊社にお問い合わせがあったのは2021年の3月。日本の相続人は、アメリカの手続きは何をどうしていいのか分からず・・・いうケースが多いです。
他の証券会社と銀行口座の残高は問題なく、スムーズに回収できました。
問題はこの〇〇証券会社!!(裁判を起こしているので記録は公ですから、ここで会社名を開示してもいいんですけど・・・依頼人のプライバシー保護のため控えます。)
外国(日本)の後見人制度が分からないのか、〇〇証券会社の担当者は「お手上げ〜」という感じで次々へと(案件放棄?で)代わり、2年以上が経過。この間色々ありましたけど、3歩進んで3〜4歩戻り、とゼロ地点(いや、マイナス地点と言っても過言ではない)へ逆戻りを繰り返し2年以上が経過。
ちょっと話が進んだと思えば、「後見人を立証する書類の原本を提出してください」と。いやいや、もう、2021年の6月にFedExで提出していますよ!と何度も説明。さらにフォローアップのため、コピーをEメールでも送っています。何度も。
東京法務局から取り寄せた「後見人登記事項証明書」の謄本に、外務省のアポスティーユ付きで翻訳も備えて提出しました。もちろん、その他の必要書類も全て、完璧に提出しています。
それでも受け取っていないと主張する〇〇証券会社。FedExで提出したので、受け取りのサインもあります、と抗議すると、「あ〜見つかりました〜」と。ふざけています!
「後見人登記事項証明書」が日本の書類であるため、どう対応して良いのか分からないのか?、途中で担当者との連絡が途切れ、何度連絡をしても一向に繋がらない。しばらくすると、別の担当者が張り切って「Don’t worry!私に任せて!」と連絡をしてきましたが、また「後見人を立証する書類の原本が必要だから送って」と!ゼロ地点に逆戻り・・・8人以上?(カウント忘れました)担当者が次から次へと消えていきました。
一時は、受取人のパスポートのコピーを要求され、後見人制度に入っている方のパスポートを申請することが不可能であることを説明しても知らん顔。特例を認められるか上司に確認します、と言ったまま連絡が途切れ消えていく担当者。
この繰り返しが続き、2年以上が経過。
最終的には埒があかなく、〇〇証券会社を起訴。訴えられて慌てた法務部から、亡くなった方の口座を扱うEstate Departmentに圧力が掛かったようで、やっと手続きが進み、昨日、受取人の日本の銀行口座に送金する手続きが完了しました。
しかし、妹が受け取るべきだった遺産は、弁護士料や裁判費で大幅に目減りしてしまいました。
この〇〇証券会社は絶対にお勧めしません!他にも、これまでに数件(相続関連で)トラブルがありました。
プロベートを避けるためにベネフィシャリーを登録しておけば安心!というお考えの方が多いようですが、その限りではありません。先ずは(弊社でなくてもいいので)ご自身の状況にあったアドバイスを受けて、適切なプランニングをして下さい 。
ともあれ、着金確認が出来次第、安心してぐっすり眠れます。でもその前に、3年間頑張ってくれた弊社のアソシエイツ弁護士、スタッフ、関連証券会社の担当者、契約訴訟弁護士、と皆でお祝いします!
弁護士 佐 野 郁 子
弁護士法人 佐野&アソシエーツ
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弁護士資格:ニューヨーク州 ・カリフォルニア州・ハワイ州
* YouTubeチャンネル『アメリカの弁護士が教える!簡単動画解説』: https://bit.ly/3sKXbVk
* 生活情報誌『ライトハウス』連載コラム『相続トラブルシリーズ』:https://www.sano-associates.com/連載コラム/
* 『ハワイに住む』連載コラム『相続失敗ルシリーズ』:http://hawaiinisumu.com/article/2633
* 連載コラム『現地の専門弁護士が教える:アメリカにある財産の相続対策』:https://bit.ly/3ewID4i