まな板を使わず 刃物をナメて使い 隙ありと切られてしまう 久しぶりに指を少し切る たいしたことはないが 痛みに思い出す 肉体を守るため 鋭利なモノには気を付けろ と 滲む血を眺め 絆創膏はどこにあるのか そう思いながら 赤く染まって 日常の時間は止まる 理由のある痛みは わかりやす囁く お前は間違っている と 今 鍋をつかむ指の 絆創膏が剥がれかけると 悔しさに貼る 絆創膏を探していた
古(いにしえ)の古の 古の空箱の 素敵な物語の 欠けらの 欠けらの パンっと 破ってと 君がいうと どこかへ飛べると 飛べると 不思議な 黄ばんだ紙の匂いのような 懐かしいような 夢のような 軽やかな もう浮いている 浮いている 君は知っている 知っている 僕も知っている 君を知っている 知っている よ
痛みが走るカラダ その中で元気が叫ぶ 俺は今を生きて 納得を飲み込めれば もう目覚めなくても本望な覚悟は 違う次元で詩を綴らせるはずだ 追う納得という奴は 掴めそうで掴めないから 俺の心中を引きちぎり バラバラにしては 不完全燃焼のカスで山を盛る 嘆いている暇は俺にはない 有限のカラダに 有限の魂からの消える恐怖を 塗り潰しながら今がある ひとが感じる俺の魂など 真実のモノではない 追求する表現者は 自分に自分を近づける生きモノ いつ死のうが 納得に近づく矢印になり リアルタイムに投身しなければ 痛みの中から やっと見つけた鍵穴に 俺を差し込むだけだ そこが始まりでだろうが 終わりであろうが