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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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逝き頃

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若い頃に
通っていた定食屋の暖簾をくぐった
すでにオヤジさんは居なかった
おかみさんが店を継いでいて
 

 あのひと
 俺は五十で逝くと若い時から
 言ってたんだけど
 本当に五十になってすぐに
 ぽっくり逝ったのよ
 

なぜだか納得している私がいた
らしい、悲しみよりも
オヤジさんは最期までカッコいい
なんて思ったくらいだ
 

まだ二十代だった私は
その定食屋によく通っていた
うまい、安い、そして大盛り
トンカツ定食やカレーを頼むと
刺身の切り身を
小皿でサービスしてくれた
いただきます、ご馳走様は
毎回、店内に響くほど大きな声で
お礼のつもりでしていた
 

定食屋が閉まる時間になると
オヤジさんは
 

 おお兄ちゃん
 暖簾下げるから
 ちと待ってくれ
 スナックだ
 飲みに行くぞ
 

もちろん気前のいいオヤジさんの奢り
繁盛している定食屋だったので
タクシーも使い店をハシゴした
私はカラオケ担当で歌いまくっていた
なんだか夢のように思いつつ
オヤジさんは私と飲みに行って
楽しいのかな、
そう思った時に聞いてみたら
 

 よくわかんねえけど
 兄ちゃん面白しれえよ
 俺とは別者だ
 

菅原文太似のオヤジさんは
軟弱そうな私との違いを
楽しんでいたのかも知れない
 

オヤジさんからその当時
月に生命保険を二十万円ほど
支払っていると聞いたことがあった
バブル経済期とはいえ
自分が死んだ時のために
そんなにお金を使うことの意味が
よく分からなかった
 

有言実行
保険金は家族のためだったのだ
しかし
なぜ五十歳で逝こうと決めていたのだろう
またその通りにしてしまう
哲学はどのように育まれたのだろう
その不思議もよく分からない
 

そして
オヤジさんの強い眼差しと輝きは
今も私には眩しいくらい
脳裏に焼きついている
 

オヤジさんの逝き方に
男の意地を見せられ
その境地に私はとても及ばない
怖さにまだ縛られている
 

ただ
逝きたい時に逝くと決め
オヤジさんのように
やはりぽっくりと
そこは別者でないことを証明し
私の逝き様を
雲の上のスナックで伝えたい
 

まだオヤジさんに追いついてない
しばしお待ちあれ
 
 
#詩

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