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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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大事に履く

thread
白い靴を白く履くと 
心地よい景色が色づき 
振り子のように落ちる萌ゆる葉
目に入る模様は心を弾ませる 
 
空の青さと靴の青いライン 
繋がる上と下は平らになって
いつもと違う二センチ浮く地面 
葉を壊さなぬよう歩けている 
 
靴紐に絡んだ秋とともに 
どこまでも歩ける気がすれば 
誰に感謝すればいいのだろうと 
支えてくれたひとを巡る 
 
少し汚れた白い靴を脱ぎ 
今日の想い出を拭きとれば
明日へに沁み込む夢の道しるべ 
気はゆくゆくとゆく 
 
#詩

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秋のLove&Peace

thread
枯葉と枯葉を擦り合わせ
乾いた空気にくるくると回りながら
その匂いは君の嗅覚に間違いなく
アートなセンチメンタルとして
今年もキャッチされました
 

心地よいネガティブは微妙な雰囲気で
なんだか柔らかで温かいモノに
包まれながらも見えています
しゅんしゅんしゅんと
鳴いているのが聞こえてきます
 

この世にはもう優しいひとしか
いないという話になって
とげとげの光なんてもう要りません
暑さで狂った頭を冷やすには
この寂しさが必要だったりします
 

乾いた何のためにが描き始めます
君の許せないと君以外の許せないの戦いは
お互いの何を消してゆくのの戦いになり
君以外の痛みは君の痛み
香ばしいアートは夢ではないのです
 
 
#詩

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重い違い

thread
らしくの始まりは
風に吹かれても風を感じず
水面に手を入れても感覚がなく
そこにいたことも何かをしたことも
何も無いところで僕に起こる
 
らしく自体が僕自身にはなく
誰かに見える点線で枠が描かれ
その型取について聞かされ
僕は誰かと比べられてしまう
双方の現実は重なることを知らない
 
らしくの僕はあなたにあって
あなたのらしくは僕にあるのだから
鬼ごっこは続いてしまう
あなたにある僕らしさに囚われて
何が楽しいというのだろうか
 
らしくの終わりは頭の重さに
その言葉だけ記憶喪失してしまう
裸足のままあっちへそっちへこっちへ
僕は力が抜けて歩けることを知り
一番大切から遠ざかるほどに心地よい
 
 
#詩

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自分の声

thread
日に暖められたベンチに座り
娘から自分には似合わないからと
5000円で買わされたヘッドフォン
ボリュームを真ん中より2つ上げ
イギリスのルーズなロックを流している
 

自転車で風を切る学生
「イケてないおじさん」
 

ボールを蹴り通り過ぎる若者
「おっさんの足が邪魔だな」
 

犬を散歩する夫婦
「そっちはダメよ。怖そうなひとがいるから」
 

杖をつき歩く老人
「わしはそこに座りたいんじゃ、どいてくれ」
 

声の聞こえない他人なのに
自分に他人の声として聞こえてくる
気を遣った自作の舞台ではひとりになれない
そんな自分をもまだ嫌いにならないのは
幼き頃に微笑んだエクボの想い出があるからだろう
 

時間は手にしていたタブレットへ涙を落とす
亀を傍観し玉手箱もなく曜変天目のような青は
怪しく液晶の上を流れた悔し玉
終わっちゃいないのに終わりにしている
聞こえてくるのは「チクショウ」と「何で」
消えてゆくのは「どうでもいいか」
そして今に焦り前向きを探している
 

もう砕けている脊椎
唾液で薬を流し込めば次の一歩を
歩けるという確信に騙されて
ベンチに張った根に肉片を散りばめ
立ち上がれた現実にヘッドホンを外す
 

ああ聞こえてくる
 恐れるな自分を可愛いがるな自分を
 恐れるな自分を可愛いがるな自分を
 恐れるな自分を可愛いがるな自分を
 

初めて聞こえた言葉に歩けそうな気がして
冷たくもある自分への愛により今
創めの一歩が歩けている
 
 
#詩

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自分の詩について書いたので

thread
自分のようで自分でない詩もやはり自分の詩で いつのまにか書いて
いた詩も書かなくちゃと捻り出した詩も自分の詩で 自由なのにどこ
かで縛られたい思いがあって書いている詩も書かされている詩も書き
たい詩も自分の詩で 自分の詩になんじゃこりゃって思ったり最高だ
なって思ったりこりっめちゃ恥ずかしいって思ったりと詩を書いてい
て楽しんだり落ち込んだりで 詩を書いているんで 充実なので で
 もう少し他の詩人の作品を読んで勉強しなければと思いつつもそれ
はそこそこにして詩を書いてしまうもので なんだかんだ考えながら
も詩を書いてしまうので 書きたきゃ書けばいいじゃんっていわれる
だけの話しなんだけどそこんところについての詩ってなんだろうと書
きたいわけで そう思う反面この詩をだれか書くのを止(と)めてと思
っていても今ひとりで黙々と文字を打ち込んでいるのだから止(や)め
られない止(と)まらないというのも詩で けっきょくこのだらだら書
いているのも自分の詩で そろそろこの詩も上手くまとめなきゃとい
うことで 自分の詩とは自分が書いた詩ということは間違いないこと
で おいおいそりゃ説得力ゼロだなも自分の詩なので そういうこと
で 書いたので あしからずということで 
 
#詩

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日めくりの日

thread
僕にある景色は
風の指が
優しく日めくり
昨日が剥がれ
今日が揺れだす
 
凸凹一本道の
進む先には
青に青が重なり
どこまでも
どこどこまでも
 
来る来るまわる
一日一日
変わるものと
変わらぬものとが
手をふり育んで
 
#詩

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てってけて

thread
ゼニ銭いって
俺が金欠気味で
何とか生きて
ほんで笑っちゃって
これ欲しくなって
想像であんたと話して
そんなわけないって
あんたが言って
どうなって
こうなって
ああなって
そうなるんかいって
最高って歌ちゃって
音痴な生き方って
まあいいって
まあいいって
だからまあいいって
俺がめちゃ運良くて
あんたがめちゃ運悪くて
ほんで話し戻って
頼む頼むカネ貸して
あとで返すのかって
俺が銭ゼニいって
金欠気味で
えっ苦しめって
俺の正義って
チョッキンって
冷てえ音して
頼む頼む金カネ貸して
何でどうしてダメって
そりゃそうだって
想像話しは終わって
初めまして
俺たち初めまして
あんた方どこさって
そんで行かないでって
付いてくるなって
さよならって
行ってしまうのかいって
話を聞けって
俺は悪いヤツじゃないって
てなわけで
落としたって
あんたのサイフだって
 
 
#詩

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会 話

thread
手術後の組織検査で良性だったと
退院した彼は言っていた
十四キロも痩せた身体には
過酷な病院生活が刻まれていた
 
久しぶりに話す彼は
以前と変わらない口調だったが
無理に平静を装った感じは
繕った言葉に聞こえた
 

その話の流れに乗るしかなかった
彼の世界を壊したくなかったし
きっと疑い深い私が勝手に
思い込んでいるだけなんだ、と
だから私は言った
お互い長生きしましょうよ、と
 

だか彼は再入院をしていた
生きたかったんだ
抗がん剤治療をしていると家族から聞く
彼なりの考え、思いがあっての先日の会話
私は心の中でどうか、と願っていた
 

そして訃報が届く
一瞬、時間が止まると
彼の笑顔ばかりが浮かんでくる分
悲しみと悔しさが襲ってきた
 

病院では苦痛を
取り除いてもらえたのだろうか
最期は家族に囲まれただろうか
 

お別れ会
彼に幸せだったよね、と
話そうと決めていたが
出棺の前に彼の闘い抜いた顔を見て
がんばり過ぎだよ、と
私は泣き崩れてしまった
 

それでも
数日前は会話に笑顔があったと
家族から話が聞けた
 

悔しさの中で折り合いを探しつつ
棺を支え持つ悲しさに
ゆっくり休んでください、と
話の続きを始めて
 
 
#詩

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沁み線

thread
とくに故人様へ
線香を焚いているわけではなく
その煙と香りを楽しむために
作業台の片隅に一本が立っている
 

娘には線香くさいといわれ
最近はフルーツの香りがしたり
甘いキャンディやコーヒー牛乳の
香りがするものを焚いている
 

線香の箱には最後の一本
若い頃 タバコを吸っていた時のように
最後の一本に不安定な気持となり
インターネットで次の線香を注文する
 

自分のために線香を焚いているが
たまには故人様へ手を合わせないと
バチが当たるのではないか
仏様に見られている気がして
 

少し疲れているのだろうか心が
そこに線香の煙と香りが沁み込んでくる
生きている己に今日も癒しの一本は
何処かに繋いでくれるのだろう
 
 
#詩

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ちゅら海

thread
砂浜に成りかけのサンゴは
手足がまだ生えていて
これからどれだけの時間を掛けて
体を散りばめてゆくのだろう
 

寄せては返す波を枕に
ピチピチと笑う鳥のさえずり
クルークルーと歌う風の囁きを
聴いているのだろう
 

 気持ちいいでしょ
 これ以上の癒しはないでしょ
 なくなることも
 南の島では幸せになってしまう
 

ひとりになった寂しさは
少しずつ少しずつ削れながら
誰かが何処かで微笑む
思い出に重なってゆくのだろう
 

粉々になったさよならは
あなたを美しさで抱きしめて
此処にいることの
素晴らしいさを伝えるのだろう
 

 気持ちいいでしょ
 これ以上の癒しはないでしょ
 なくなることも
 南の島では幸せになってしまう
 
 
#詩

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