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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

thread
このまま終わる
夢の続きの目覚めは
心の貧しさに潰されてしまう
怒りの中で虚しさが嘲笑っている

ピーピーピーピーと
渇き切った喉は笛のように
押さえきれない穴から
嘆きを漏らし俺が俺を聴く

まだ魂は身体の中にある
闘い切っていない後悔を包み
轍に嵌りグルグルと
泣いているクソ芝居に浸っている
そんな馬鹿じゃないだろ俺は

ほら
限りある時間への焦りが
蝕んで掘られてゆく穴から
新たな音階を生むではないか

そこに言葉を乗せればよい

今が始まりで今が終わりだ
一手一歩一心
過去も未来にも執着なく
この刹那に生きるも死ぬもなく
今ここで奏でればそれでいい
#詩

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お月さま

thread
そうかいそうかい
あんたは悲しいんじゃの
そんな時はここへ来ればいいさ
お月さまが出ている夜には
わしはいるから話を聞かせてくれ

そうかいそうかい
ふたりの間に風が吹けば
心も冷え込んでしまうからの

そうかいそうかい
それでお互いを思うようになり
悲しいことでもないかもよ
ほら 今もあんたは
相手のことを考えているじゃろ
そこから新しい自分を
見つけることもできるだろうし
それにほらっ
わしと話すきっかけにもなったし
やはりひとはひとと
話さないと冷え込んでしまうの

そうかいそうかい
いろいろと思いがあるんじゃの
あんたは優しいから
悲しくなったりするんじゃの

そうかいそうかい
相手も今ごろあんたのことを思って
いろいろ考えているじゃろ

そうかいそうかい
ありがとうな
わしもあんたと話していたら
寂しさが吹き飛んだよ
感謝 感謝じゃよ
お月さまが出た日には
またあんたの笑顔も見たいからの
それじゃまっとるよ

#詩

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踊る文字

thread
文字が降るとき
体から心が抜けだしては
液晶の光で踊りだす

解放された僕が
いっぱい溢れ
君にはまだ見せられない
ヘンテコな踊りに
クスッと笑っている

あまりにもの
僕らしさの恥ずかしさを
気にしながら
僕にある世間体に
縛られているというか
守られているというか

僕の中にいる君は
僕を丁寧なひとに変える
その歓びに文字たちは
踊る 踊る 踊る

#詩

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暮れる僕

thread
回り過ぎた後の虚しさに
夕陽が落ちて
繰り返しの日々を重ねても
僕はまだ昨日のまま
昨日のそのまた昨日のまま
明日を知らない

乾いた空気が
僕の嫌いな過去を蒸発させ
心が軽くなったのなら
楽しい旅が出来るのだろうか
きっと見られなくなった景色が
恋しくなるのかもしれない
ああ、それすらもない世界に
涙も忘れてしまうんだな

前に後退
後ろに前進するそんな僕に
重たくなる心を逃す
覆い染めてゆく温もり

生きている実感だけを与えて
汚れを清い筆で色づけ
僕をここに存在させている

#詩

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土手にて

thread


私の時間は繋がり
土の上の尻に
冷たい地球が染み込み
ひとり此処にいる

濁りのない青空
綺麗だと思い込もうと
何処かに書いてある
正解を探している

重なる日々の厚み
己で招いた過ちの濁り
消せない痛みが
罪悪とバランスとり
苦しみに救われ
まだ生かされている

反響させる懺悔
私の器から漏れない
善がりの醜態を
此処で知らされる 


#詩

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十二歳

thread

詩が書けなくなった時
詩が書けなくなった詩を書き
やはり詩を書いているのだから
僕は詩に救われている

気持ちがなくなれば
何も表現することは出来ないが
生きている限り気持ちはここにあり
自分を見つめ続けることが出来ている

残念ながら
僕が詩を書くきっかけとなった
十二歳の詩人は気持ちをこの世で詩として残し
大空へ飛び去っていた
ひとり ただくずれさるのを まつだけ
詩集の表紙には
紙ひこうきの絵とこの言葉が書かれていた
その衝撃を未だに忘れることはない

どうしようもない気持ちを書いて良いんだ
そして優しく鋭く知的で格好良い詩だと感じていた
十二歳で詩を書くことを終える詩人がいて
十二歳で詩を書き始めた僕がいた

詩では命を救われなかった詩人の詩から
張り詰めた空気にある新しい景色を見せてもらった
僕にとって暗闇の中にある輝きに満ちた世界
きっと僕と同じように救われた者たちがいただろう
意味のない命などないということだ
 
僕はこれから先も詩を書き続けるだろう
そしていつの日か曇り空の上
もしその詩人と出会うことが出来たのなら
微笑んでありがとうを伝えたい

#詩

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十九の秋に

thread
駅前をふらつけば
夢みることを否定される
どうせそんなもんだよ
俺なんてと
ため息を逃がし

望んだ抜け殻が
吸い込んだ焦げた匂い
落ちた花びらが語り出す
咲くことも知らない
俺の踏まれて黒ずんだ夢

強くなければならない
俺らしくない俺を感じて

吹かれたひと葉の
行き先を追えば高い空
立ちくらみと涙
生きていく
難しさともどかしさ

項垂れた先の
踵を引きずり進めれば
それでも
を楽しむかのように
落ちてきた枯葉が
カラカラと笑っている

#詩

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自己愛

thread
偽物の僕なんていないのだから
僕は本物の僕なんだけれど
本物の僕ってどんな僕なんだろう

僕に僕がずっと重なって
自由に自由が重なって
あんまり自由じゃなくなって
僕に僕の不自由が顔を出しながら
生きていることを味わう

怒らないといけない時に笑って
泣かないといけない時に笑って
けっきょく
笑わないといけない時に笑えず
そんな僕がいて

僕が僕に気を遣っている僕がいて
そうしたい僕がいて
本当の僕がどんどん解らなくなるけど
それでも僕が僕を許せている
僕はまだ僕を愛している

#詩

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時間重ね

thread
またね

二度と聞かぬまたねに
小石の耳栓はポトンと落ち
君のさよならは爽やかだった

僕の中にある時計は今
軒の下の雨宿りで止まって

君のいない僕の時計は
寂しさより静かで冷たくて
瞳に波うつ涙に滲んでは
君の姿を探し

君への愛を考えた時
君と違う時間を自ら流れること
この救いを騙されたように
信じて生きて行くしか

僕の中にある時計は
想い出が邪魔するだろうけど
君から教えてもらった
ほんとうの僕の姿に苦笑いして
ハアーと息を吐き出して

また回り出す秒針が聴こえる
僕が君への愛を知った音となって

#詩

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おやすみ

thread
倒れ込んだ夜に
このまま
起きることがなくても良いか

なんて思っちゃいけない気持ちより
すべて真っ黒になって良いという気持ちが
くるくると回り始める

気がなくなってしまうことの恐怖より
脳は甘いクリームを味わいながら
幸せだったかどうかも曖昧になって
目が覚めた先の面倒から
遠く遠く
どこまでも遠く寂しさのない
孤独の果てに行きたくなっている

わからないから怖いというが
もうわからなくても怖くなくて

やり切っただろう幻想を枕に
もう良いんじゃないか
もうこの辺で良いんじゃないかと
充実がこんなところで
にょきにょきと芽を出すのだから
口は緩んでよだれが垂れているのだろう

喜びもなく苦痛もないこの状態から
このまま行ってしまおう

#詩

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