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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

暮れる僕

thread
回り過ぎた後の虚しさに
夕陽が落ちて
繰り返しの日々を重ねても
僕はまだ昨日のまま
昨日のそのまた昨日のまま
明日を知らない

乾いた空気が
僕の嫌いな過去を蒸発させ
心が軽くなったのなら
楽しい旅が出来るのだろうか
きっと見られなくなった景色が
恋しくなるのかもしれない
ああ、それすらもない世界に
涙も忘れてしまうんだな

前に後退
後ろに前進するそんな僕に
重たくなる心を逃す
覆い染めてゆく温もり

生きている実感だけを与えて
汚れを清い筆で色づけ
僕をここに存在させている

#詩

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「諦めない奴には誰も勝てない」と、野球の神様が言った

thread
忘れてしまう
と、いうよりも
最初から覚えていないのか……

液晶画面の上
アプリで英単語の問題にチャレンジ
数秒前に間違った英単語の意味を
すでに……と、忘れている

そもそも英語を話す機会など
そんなにある訳でもなく
海外へも頻繁に行ける訳でもなく
たまに英語で道を聞かれたなら
数少ない知っている単語を並べて
どうにかなっているし
もう英語はいいんじゃないのか
と、逃げそうになる

そんな諦めかけていた時
英語を勉強するいい教材を見つけた
野球のメジャーリーグだ
液晶画面からの迫力プレーに
陽気なアメリカ人の生の英語を聞き
白熱した試合を楽しみながら
アメージング
なんて叫んでいる私がいた

ベースボールとビールと英語
これなら続けられる
まあ、ビックフライ オオタニサン
みたいな侍英語が飛び交うが
それはそれで楽しい
アメリカではベーブルースと同じように
神様扱いされる日本の選手がいて
ベースボールを盛り上げている姿に
私は元気をもらっている

The sky is the limit !
司会者がその選手に対して
語った言葉はグサっと私にも刺さった

そうだそうだ
私の英語力が増す可能性だって
きっと無限大なはずさ
英語という敵は最強だけど
この勝負、楽しみながら
諦めずに勝てそうな気がしている


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土手にて

thread


私の時間は繋がり
土の上の尻に
冷たい地球が染み込み
ひとり此処にいる

濁りのない青空
綺麗だと思い込もうと
何処かに書いてある
正解を探している

重なる日々の厚み
己で招いた過ちの濁り
消せない痛みが
罪悪とバランスとり
苦しみに救われ
まだ生かされている

反響させる懺悔
私の器から漏れない
善がりの醜態を
此処で知らされる 


#詩

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十二歳

thread

詩が書けなくなった時
詩が書けなくなった詩を書き
やはり詩を書いているのだから
僕は詩に救われている

気持ちがなくなれば
何も表現することは出来ないが
生きている限り気持ちはここにあり
自分を見つめ続けることが出来ている

残念ながら
僕が詩を書くきっかけとなった
十二歳の詩人は気持ちをこの世で詩として残し
大空へ飛び去っていた
ひとり ただくずれさるのを まつだけ
詩集の表紙には
紙ひこうきの絵とこの言葉が書かれていた
その衝撃を未だに忘れることはない

どうしようもない気持ちを書いて良いんだ
そして優しく鋭く知的で格好良い詩だと感じていた
十二歳で詩を書くことを終える詩人がいて
十二歳で詩を書き始めた僕がいた

詩では命を救われなかった詩人の詩から
張り詰めた空気にある新しい景色を見せてもらった
僕にとって暗闇の中にある輝きに満ちた世界
きっと僕と同じように救われた者たちがいただろう
意味のない命などないということだ
 
僕はこれから先も詩を書き続けるだろう
そしていつの日か曇り空の上
もしその詩人と出会うことが出来たのなら
微笑んでありがとうを伝えたい

#詩

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十九の秋に

thread
駅前をふらつけば
夢みることを否定される
どうせそんなもんだよ
俺なんてと
ため息を逃がし

望んだ抜け殻が
吸い込んだ焦げた匂い
落ちた花びらが語り出す
咲くことも知らない
俺の踏まれて黒ずんだ夢

強くなければならない
俺らしくない俺を感じて

吹かれたひと葉の
行き先を追えば高い空
立ちくらみと涙
生きていく
難しさともどかしさ

項垂れた先の
踵を引きずり進めれば
それでも
を楽しむかのように
落ちてきた枯葉が
カラカラと笑っている

#詩

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自己愛

thread
偽物の僕なんていないのだから
僕は本物の僕なんだけれど
本物の僕ってどんな僕なんだろう

僕に僕がずっと重なって
自由に自由が重なって
あんまり自由じゃなくなって
僕に僕の不自由が顔を出しながら
生きていることを味わう

怒らないといけない時に笑って
泣かないといけない時に笑って
けっきょく
笑わないといけない時に笑えず
そんな僕がいて

僕が僕に気を遣っている僕がいて
そうしたい僕がいて
本当の僕がどんどん解らなくなるけど
それでも僕が僕を許せている
僕はまだ僕を愛している

#詩

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時間重ね

thread
またね

二度と聞かぬまたねに
小石の耳栓はポトンと落ち
君のさよならは爽やかだった

僕の中にある時計は今
軒の下の雨宿りで止まって

君のいない僕の時計は
寂しさより静かで冷たくて
瞳に波うつ涙に滲んでは
君の姿を探し

君への愛を考えた時
君と違う時間を自ら流れること
この救いを騙されたように
信じて生きて行くしか

僕の中にある時計は
想い出が邪魔するだろうけど
君から教えてもらった
ほんとうの僕の姿に苦笑いして
ハアーと息を吐き出して

また回り出す秒針が聴こえる
僕が君への愛を知った音となって

#詩

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おやすみ

thread
倒れ込んだ夜に
このまま
起きることがなくても良いか

なんて思っちゃいけない気持ちより
すべて真っ黒になって良いという気持ちが
くるくると回り始める

気がなくなってしまうことの恐怖より
脳は甘いクリームを味わいながら
幸せだったかどうかも曖昧になって
目が覚めた先の面倒から
遠く遠く
どこまでも遠く寂しさのない
孤独の果てに行きたくなっている

わからないから怖いというが
もうわからなくても怖くなくて

やり切っただろう幻想を枕に
もう良いんじゃないか
もうこの辺で良いんじゃないかと
充実がこんなところで
にょきにょきと芽を出すのだから
口は緩んでよだれが垂れているのだろう

喜びもなく苦痛もないこの状態から
このまま行ってしまおう

#詩

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昇る前に

thread
固まった身体は痛みの中
もう限界だ、と手を雲へ伸ばし
どうかこれ以上、苦しまずに連れて行ってくれ

張り付いた喉、膨らむ患部、激痛、縛られた意志
運命は残酷に自分を躊躇なく壊して行く
未練ばかりの人生でも早く早く、と

声に出来ない叫びが伝わったのか
医師の処方により萎えた藁を握りしめながら
流し込まれた麻薬に……

姑息の間(ま)にひとつ願っている
朦朧とした記憶にある家族に会いたい、と

     ✳︎

 お父さん
 涙を流しているよ
 みんなのことが解っているみたい

覚えのある声、温もり
薄っすらと開けた目から
光と優しい感情

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
大丈夫だよ、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
ありがとう、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
幸せだったよ、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
嬉し涙だよ、が

#詩

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夢で逢えたね

thread
あれっ
ナナに水と餌を
最近やってないなあ
やばいやばい
今まで一日たりとも
忘れたことがないのに

それにしても
どこにいるだ
ナナ ナナ ナナ
名前を呼んでみても……

おいおいそこかっ
クローゼットの中とは
どうしてこんなところに

それにしても
痩せこけてしまったな
ごめんよ

俺は何をしていたんだ
ごめんよナナ
ほら食べてくれ

徐に伏せしたまま首を立て
水を飛ばし
餌をムシャムシャと
食べ始めた

良かった
ほんとうに良かった
お前の元気が何よりだ

いつものように
寄り添ってこないけれど
それでもいいよ

さあ
ナナの好きな散歩に行こう
ほら行くぞ
ナナ ナナ ナナ……


カーテンの隙間から
眩しい光とともに朝が来た
ナナ
逢えて嬉しかったよ

#詩

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