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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

自己愛

thread
偽物の僕なんていないのだから
僕は本物の僕なんだけれど
本物の僕ってどんな僕なんだろう

僕に僕がずっと重なって
自由に自由が重なって
あんまり自由じゃなくなって
僕に僕の不自由が顔を出しながら
生きていることを味わう

怒らないといけない時に笑って
泣かないといけない時に笑って
けっきょく
笑わないといけない時に笑えず
そんな僕がいて

僕が僕に気を遣っている僕がいて
そうしたい僕がいて
本当の僕がどんどん解らなくなるけど
それでも僕が僕を許せている
僕はまだ僕を愛している

#詩

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時間重ね

thread
またね

二度と聞かぬまたねに
小石の耳栓はポトンと落ち
君のさよならは爽やかだった

僕の中にある時計は今
軒の下の雨宿りで止まって

君のいない僕の時計は
寂しさより静かで冷たくて
瞳に波うつ涙に滲んでは
君の姿を探し

君への愛を考えた時
君と違う時間を自ら流れること
この救いを騙されたように
信じて生きて行くしか

僕の中にある時計は
想い出が邪魔するだろうけど
君から教えてもらった
ほんとうの僕の姿に苦笑いして
ハアーと息を吐き出して

また回り出す秒針が聴こえる
僕が君への愛を知った音となって

#詩

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おやすみ

thread
倒れ込んだ夜に
このまま
起きることがなくても良いか

なんて思っちゃいけない気持ちより
すべて真っ黒になって良いという気持ちが
くるくると回り始める

気がなくなってしまうことの恐怖より
脳は甘いクリームを味わいながら
幸せだったかどうかも曖昧になって
目が覚めた先の面倒から
遠く遠く
どこまでも遠く寂しさのない
孤独の果てに行きたくなっている

わからないから怖いというが
もうわからなくても怖くなくて

やり切っただろう幻想を枕に
もう良いんじゃないか
もうこの辺で良いんじゃないかと
充実がこんなところで
にょきにょきと芽を出すのだから
口は緩んでよだれが垂れているのだろう

喜びもなく苦痛もないこの状態から
このまま行ってしまおう

#詩

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昇る前に

thread
固まった身体は痛みの中
もう限界だ、と手を雲へ伸ばし
どうかこれ以上、苦しまずに連れて行ってくれ

張り付いた喉、膨らむ患部、激痛、縛られた意志
運命は残酷に自分を躊躇なく壊して行く
未練ばかりの人生でも早く早く、と

声に出来ない叫びが伝わったのか
医師の処方により萎えた藁を握りしめながら
流し込まれた麻薬に……

姑息の間(ま)にひとつ願っている
朦朧とした記憶にある家族に会いたい、と

     ✳︎

 お父さん
 涙を流しているよ
 みんなのことが解っているみたい

覚えのある声、温もり
薄っすらと開けた目から
光と優しい感情

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
大丈夫だよ、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
ありがとう、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
幸せだったよ、が

 お父さん
 お父さん

口の動きで聴こえているだろうか
嬉し涙だよ、が

#詩

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夢で逢えたね

thread
あれっ
ナナに水と餌を
最近やってないなあ
やばいやばい
今まで一日たりとも
忘れたことがないのに

それにしても
どこにいるだ
ナナ ナナ ナナ
名前を呼んでみても……

おいおいそこかっ
クローゼットの中とは
どうしてこんなところに

それにしても
痩せこけてしまったな
ごめんよ

俺は何をしていたんだ
ごめんよナナ
ほら食べてくれ

徐に伏せしたまま首を立て
水を飛ばし
餌をムシャムシャと
食べ始めた

良かった
ほんとうに良かった
お前の元気が何よりだ

いつものように
寄り添ってこないけれど
それでもいいよ

さあ
ナナの好きな散歩に行こう
ほら行くぞ
ナナ ナナ ナナ……


カーテンの隙間から
眩しい光とともに朝が来た
ナナ
逢えて嬉しかったよ

#詩

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#手を

thread
僕らが平和な時
大地から雲へ
涙が上がっている

飛べないのに
空へ手をひろげ
微笑み

君らが苦しい時
雲から大地へ
涙があふれている

泳げるのに
手が頬で固まり
泣いて

僕らの手を
君らの手に
添える時なんだ

#詩

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ヒマワリ

thread
飛び交う塊りの
悲痛の叫びに画面が暴れ出し
まだ青空を見上げていた
君の微笑みが落とされてゆく

さしのべる手を探している
さしのべられる手を探している
この黒い苦しみに光る矢は
救いに絶望を刺そうというのか

嘆きが喉元につまる時
そこにどんな声を当て叫べば
血の滲みた地に再び
黄色い花が咲くのだろう

君からもらった種は
ポケットでこんこんと応える
祈らずにそれを掬えない
希望を撒かずにはいられない

#詩

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背後占い『字念屋』「和」

thread
ごきげんよう
この度はメールでお申込みいただき
誠にありがとうございます
コロナ禍ということもありまして
字念屋もリモートでの占いを開始しています
直接にご対面できないのは残念ですが
画面越しでもあなたの背後にある念字は
十分に見ることができますのでご安心ください

はい、よろしくお願いします
とても素敵なお嬢さまね
えくぼがとても可愛らしくて
みなさんから好かれるのが
表情からもすぐにわかります
すでにあなたの中核文字が想像できますけれど
しっかり見ていきますね
では目を閉じてリラックスしてください

……はい、目を開けてください
くっきりと見えました
あなたの中核文字は「和」です
「禾」は稲穂で「ノ」のところを見ると
頭がずいぶん垂れていますね
実るほど頭を垂れる稲穂かな、という
ことわざは聞いたことあるでしょ

はい、その通りです
立派な人ほど謙虚な姿勢でいる
そのようなことわざですね
相手を「和ませ」「和らげ」「和ませる」といった
もうそこにいるだけで仏様のような
ひとを穏やかな心にさせてしまうのですから
素敵な「和」の中核文字をお持ちです

それはたいへん素晴らしいことですよ
みなさんが癒されている証拠です

そうでしたか
悩んでいらっしゃるようですね
世間の時間の流れについて行けず
とても疲れてしまうのですね
将来に不安もある、と

「和」の中核文字をお持ちの方は
おっとりされていますから
みなさんの考えや行動について行こうとすると
ストレスがかかってきます
その焦りが悪循環になってしまい
するとあなたの「和」もくすんでしまい
あなたがあなたらしく笑顔でいれなくなります

ひとは時計で計れない時間があり
それぞれの時間の流れがあります
世間の時間にばかり合わせて行こうとしますと
心が疲れてしまいます
今まで懸命について行こうと走ってきたのですから
大学生なりに許す限りかもしれませんが
立ち止まったり
ゆっくりと寄り道などされてもいいと思いますよ
あなたがあなたに微笑むような
時間のお過ごし方をお勧めします
みんなが先に進もうが
あなたがあなたの道を進むことが大事です
ひとの道を進むことはできません

いろんな世界を見て感じ
ご自身探しをされると良いと思いますよ

そうでしたか
来週からお花屋さんでアルバイトをされるのですね
それは素晴らしい経験になりそうですね
慣れぬことがあるかもしれませんが
その中で楽しみを見つけながら
自分がどんなことに喜びを得るのだろう
そんなところを探ってみてくださいね

そうです、その微笑みを大事にしてください
ひとを和ます幸せを感じながら
慌てず焦らず今はご自身を見つめることです

元気が出てきましたか
それは良かったです

ありがとうございます
そうおっしゃっていただけると
こちらとしてもたいへん励みとなります

では本日のリモートでの占いは
これくらいにしておきましょうかね

まだまだ寒い日は続きますが
風邪など引かれぬよう温かくお過ごしください

この度は字念屋へご来店いただき
誠にありがとうございました
またのお越しを楽しみにお待ちしています
ごきげんよう

#背後占い字念屋の詩 #詩

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白い糸

thread
君の上着から一本の白い糸
背中に垂れるそれを引っ張ってみた

シュルルル

君は萎み始め
白い糸の先には何もなくなった
僕は白い糸を捨て駅へ向かう


電車の天井から一本の白い糸
まさかと思ったけど引っ張ってみた

シュルルル

電車は夜空に吸い込まれて
白い糸は風に飛んだ
僕はレールを歩き自宅へ向かう


玄関のドアに一本の白い糸
家が消えそうだけど引っ張ってみた

シュルルル

今度は土に吸い込まれてしまった
白い糸を僕の胸に当ててみたら
くっ付いてしまったようだ


僕の胸から一本の白い糸
僕が消えそうだけど引っ張ってみた

シュルルル 

僕の身体は白く細長くなり
君の背中に垂れ下がっていたんだ
誰か僕を引っ張ってくれ

#詩

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雨の入(い)る

thread
液晶画面にある
一日のニュースは
すべて読んでしまう

追われる密集から
逃れたい空洞存在を
車窓の外に求めている
今夜も雨がない

此処に居る身を
誰もいない
湿る森に置き
暗い惻隠が欲しい

癒しのルーティン
音楽のアプリからは
ひとつしか表示されない
検索履歴の「雨の音」

ちぃぱっちぃぱっ
ちぃぱっちぃ
ちぃぱっちぃちぃ

ガラスに映る
役立たずの
言葉が象る顔を
目を閉じ遠ざける

其処へ向かう
恥も悔いも消え去り
孤独の微笑みが
くり抜いた筒の器

ちぃぱっちぃぱっ
ちぃぱっちぃ
ちぃぱっちぃちぃ

濡れ鼠になる

#詩

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