嘘八百
Jan
8
でも単なるコメデイーでなく、込められたいくつかのメッセージも受け取りました。海外に出た日本文化の宝が日本に戻りたいと泣いている。確かに明治維新や戦後に数多くの文化財が海外に流失していますね。国宝が日本で観れないのはどこかやるせない気がします。
それよりも贋物を作成していた陶芸家。そのために個性が消えて感性が鈍り、落ちぶれた作家になっていました。最後の贋作は、自分で感じる渾身の作品を作りだす。多くの工芸作品は昔の作家や作品に縛られている部分がありすぎるのでは?というアンチテーゼ?
温故知新。昔だからできた作品。逆に伝統工芸の基本は踏襲しながらも現代だからこそできる作品もあるはず。それが数十年、数百年後にはすごい評価を受けるものになる可能性もありますね。どんなに頑張っても数百年前と環境も生活慣習も違えば、同じものができること自体がおかしいのかもしれません。映画最後にはそんなことも感じ、考えさせられるものでした。
年末にかけて急に茶器に興味が湧きました。それも黒焼き。故郷は萩焼で有名ですが、黒焼をネットで調べているうちに黒楽焼に行き当たり、すると出会ったこの映画でした。一方では、一昨年亡くなった親友の親父さんからもらった黒焼の茶碗に正月実家で手にして持ち帰りました。毎日正月以降、お茶やコーヒーもこの茶碗で飲んでいます。
何だか色々なことが繋がって観るべくして観た映画だったのかもしれません。