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posted 2019-11-25 19:10
現代詩の小箱 北野丘ワールド
by
キューちゃん
2008年に出版した処女詩集である。詩集の自費出版はまともに有名出版社から出すと100万円以上もする。若いころから仕事が定着せず、職を転々としてきた私には蓄えというものがほんの少ししかなかった。現在は終刊してしまったが『現代詩図鑑』というアンソロジーをだしていたダニエル社からソフトカバーで有名出版...
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posted 2019-11-25 19:07
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
花むぐりが 黄色の粉に埋まってゆく 木枠の硝子が強く鳴っている 納屋でさがし物 がらくた たからもの 蜘蛛がのそり とびのいて こんにちわ 窓の下にリンゴ箱 となりは石炭箱 ああ風がはやい 光さしてはすぐ翳る ほら光 ...
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posted 2019-11-25 19:05
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
ひと夏の背なかを 夜の指さきがなぞり わたしの心臓を 座標の軸に えがいた軌跡を存在というのなら 血液を一垂らしして 瞳がひらく 時を費やし 熟れた実をたべあるいた 内部の充実を わたしのものとして それでは何に 捧げたらよいだろう 氷のかけらが 膝のうえに落ちて フーコーの振子が青ざめてとまった...
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posted 2019-11-25 19:03
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
どこを眠っていたのだろう きのうの混沌が 透明な袋におさまっている 失礼 小用 赤いビニールのスリッパ 素足の熱 どうしてもすごせないと思った夜を とおりぬけてしまった (なにしよう) 紐をひっぱるとじぶんが戻ってくる 欠伸をする 目尻がぬれる しろっぽけた光のなかで 瞳がとまる 胸が鳴る 自律して...
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posted 2019-11-25 19:00
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
内緒よ ゆず よるに うごくものいる ゆず 眠ってる 知らないうちに こっそり新月と密約かわすものがいる かあさんいたい 乳首いたい にゅうがんかもにゅうがんかもしれないよ かあさん ゆず 遊んでおいで 手まり ごむ段 石けり まっくろになって しろつめ草の影に淋しくなるまで 外は...
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posted 2019-11-25 18:55
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
こどもよ なんにでもいそがしいままが じぶんのままが いつかしんじつのやさしいままとなって どあをあけてあらわれるのを まって ついにこなかった こどもよ いっしょう むかえにはこない りっぱになれば きっとと なんぜんかいかのくうそうに つつまれとけゆく しろいくりいむ いっしょうを こどもよ ど...
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posted 2019-11-25 18:51
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
雪。雪のぼんぼり。 雪。ゆっくり。とおくは速く。 雪。ねえ、みて。 みあげると、ほら、どこまでもいくよ。 粒子のなかを、どこまでもいくよ。 ふふ。 ふふふ。 雪。輪郭ふたつ。 雪。つもる朝までは。...
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posted 2019-11-25 18:49
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
わたしの単眼で あなたは夢みる あなたはわたしの夢みる 凪の小舟で荒岩を くるりめぐる 夢の御覧 キラキラとほほ照る 銀紙 うろこ波 虚空に映えて その向こうでレンズが調節されて 小舟からみえるあたりだけ 閉じられた密な無音ばかり わたしの像力は 突如やさしく慎重に あなたを襲う あなたが新しい休息...
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posted 2019-11-25 18:43
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
夕暮れまで そうして 二階の硝子窓は ひらかれたまま 青空の瞳は HBのトンボの羽に 濃く染みて 数式の真上を ついてくる 幻術みたいに さざ波の光と影で 辿る解 浜の右辺の流木に 象嵌の羽はとまり よみがえりの信仰を胸に 鉛筆は目を閉じ 木の柩に横たわる いいかげんに髪を 結びも 切りもしないで ...
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posted 2019-11-25 18:40
現代詩の小箱 北野丘ワールド
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キューちゃん
ばら色に割れた アンデスの少女の額が 氷の塔をつきやぶり 銀のスプーンの先端で仰むく 千年のぬれた喉 りんごん ムラサキの口火の肌に ほっと憩う 薄羽のつけ根の振動 おりてくるものに逢うための 階段だけの開放塔 硝子質のストローは切断面から炎えあがる 焼失した学名の菌床で 毛深い女神の樹液色の爪がの...